eぶらあぼ 2018.12月号
85/223
82三浦一馬キンテート全国ツアー11/20岩手/キャラホール・都南公民館、11/23多賀城市文化センター11/24所沢市民文化センターミューズ、12/13名古屋/電気文化会館12/14大阪/ザ・シンフォニーホール、2019.2/24めぐろパーシモンホール3/9稲城市立iプラザ、5/24横浜みなとみらいホール※ツアーの詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 http://kazumamiura.com/CD『LIBERTANGO』キングレコードKICC-1471¥3000+税三浦一馬(バンドネオン)現代に即した新しいピアソラ像を打ち出したい取材・文:原 典子Interview バンドネオンの新たな可能性を追求する若き奏者、三浦一馬がキンテート(五重奏団)編成によるオール・ピアソラ・アルバム『LIBERTANGO』をリリース。10月末から来年にかけての全国ツアーもスタートさせている。 「キンテートとはピアソラ自身がこだわったバンド編成ですが、彼はこの編成にたどり着くまでにさまざまなスタイルを模索して、作っては壊しを繰り返しました。キンテートでは、タンゴの命ともいえるリズムを生み出す強靭な低音をコントラバスとピアノが担当し、そこにバンドネオンとヴァイオリンによる甘美なメロディが気持ちよく乗っかり、さらにエレキギターが中音域でその間をとりもちます。非常にバランスのとれた編成ですよね」 ヴァイオリンの石田泰尚、ピアノの山田武彦、ギターの大坪純平、コントラバスの黒木岩寿および髙橋洋太(曲やプログラムによって交替)と、メンバーはいずれもクラシックの第一線で活躍する名手たち。しかしその演奏は決してクラシカルなだけでなく、ときに熱気を孕み、危険な香りをも漂わせる。 「今のメンバーは、これまでのさまざまな共演を通して出会い、お声をかけさせていただいた方々ですが、皆さんピアソラやタンゴというものに興味を持って、熱心に研究してくださるんです。2000年の手前にピアソラ・ブームがあって、ヨーヨー・マやギドン・クレーメルらが取り上げたことで、クラシック界でもピアソラは身近な存在になりました。とはいえ土臭くて、触ったら火傷するような鋭さを持つピアソラ本人の演奏と、細かいところにまで神経の行き届いたクラシック奏者による演奏は、両極端というほど違うものだと思います。僕はその両方が好きなので、どちらの良さもブレンドさせつつ、新しいアプローチで、今という時代に即したピアソラ像を打ち出していくことができたらと考えています」 編曲も、すべて三浦自身で手がけているという。 「タンゴという音楽には楽譜がほとんどないので、僕が演奏するときは、自分のパートはもちろん、バンドやオーケストラのすべての楽器の楽譜を自分で作っています。そのとき資料となるのが、ピアソラ本人の演奏音源。ノイズ混じりの音源を何十種類も集めてきて、何百回、何千回と繰り返し聴いて、決まったパターンが出てきたら集計をとって…気の遠くなるような作業を全パート分やっています。編曲とはいっても、いかにオリジナルに近づけるかという意味においての編曲という感覚ですね」 オリジナルを追求しつつ、新たなアプローチを模索する三浦の真骨頂は、ライヴにおいてもっとも発揮されることだろう。12/15(土)18:30 豊洲シビックセンターホール問 TSPI 03-3723-1723http://www.tomokoshibata.com/柴田智子(ソプラノ) プロデュースStars & Hallelujah for Christmas 2018 with Juicy Boys歌に溢れるゴージャスなクリスマス文:東端哲也柴田智子 アメリカ音楽の魅力を伝える第一人者としてジャンルを超えて活躍するソプラノ、柴田智子がプロデュースする何とも彼女らしい素敵なプログラム。前半の目玉はオペラやミュージカル・シーンで活躍する現代の米国人作曲家リッキー・イアン・ゴードン作の〈Stars〉や〈Will there really be a morning?〉といった知られざる佳曲から、コンポーザー・ピアニスト森田花央里の編曲によるフォスター〈金髪のジェニー〉、そしてコンポーザー・チェリスト横溝宏幸のアレンジでシアター・ピース風に生まれ変わった〈月の沙漠〉や〈シャボン玉〉などの唱歌たち。後半舞台は一変し、クリスマスを祝う場所へ。将来を期待される若手シンガーのJeity、ユーリック武蔵、たいしろうの3人が「Juicy Boys」として登場。クリスマス曲やミュージカル・ナンバー(※今年トニー賞に輝いた『迷子の警察音楽隊』の曲あり)をソロやユニットで披露する。柴田もオペラやオペレッタを絲井勇太のベース1本で歌い上げる予定。まさに歌の贈り物!
元のページ
../index.html#85