eぶらあぼ 2018.12月号
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滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロを披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーではびわ湖ホールが主催する注目の公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jp/精鋭集団が名匠のタクトのもと宗教曲の傑作3曲に挑む文:横原千史びわ湖ホール声楽アンサンブル第68回定期公演&東京公演 vol.10 「バロック声楽作品の精華」第68回定期公演 2019.2/9(土)14:00 びわ湖ホール(小)東京公演vol.10 2019.2/11(月・祝)14:00 東京文化会館(小)いる。第70番は2部11曲からなる大規模なカンタータで、トランペットを伴った華やかな冒頭合唱で始まる。レチタティーヴォとアリアは全てのソロ・パートに割り振られる。今回参加17名のうち、ソロ登録メンバーである森季子(アルト)、清水徹太郎(テノール)、津國直樹(バス)の他、どのメンバーが歌ってもおかしくない実力をもっており、誰が独唱するのかも楽しみである。また恒例となっている本山の解説も、楽曲の時代背景や歌詞内容など多岐にわたり、作品理解を深めるのに役立つだろう。 次に歌われるのはヘンデルがローマ時代にラテン語の詩篇第110(109)篇に作曲した「主は言われた」。これも9曲からなる大規模な宗教曲である。弱冠22歳のヘンデルの瑞々しい感性と覇気の融合したような名作で、最後は三重フーガで大いに盛り上がる。 最後はヴィヴァルディの「グローリア」。最近の自筆譜の用紙研究により、1716年(38歳)作曲とほぼ確定された。この曲もトランペットの演奏で華麗に始まる全12曲から成る大作であり、構想の大きさ、楽想の豊かさ、変化に富む構成により、後期バロックを代表する宗教曲の傑作といえる。本山秀毅の円熟の指揮とびわ湖ホール声楽アンサンブルの精緻な歌唱により、バロック宗教曲の名曲を存分に堪能できるに違いない。 びわ湖ホール声楽アンサンブルの快進撃が止まらない。びわ湖ホール開館と共に創設され、今年で20周年を迎えた。オーディションで厳選されたプロのソリストにより構成され、びわ湖ホールのオペラ公演では、毎回驚異的な水準でソロや合唱(と演技)を披露する。その高い能力は広く評価され、新国立劇場その他のオペラ公演などにも参加するようになってきた。独自企画の演奏会の他、全国各地の演奏会、学校公演、アウトリーチと、今や、多忙を極める人気集団なのだ。この声楽アンサンブルでの活動は若手声楽家の実践経験を積む場でもあり、活動期間を終了した歌手は今や50名を超え、ソロ登録メンバーとなり、各地のオペラ公演や演奏会のソリストとして頻繁に招かれている。 びわ湖ホール声楽アンサンブルが独自企画で最も力を入れている定期公演と東京公演が来年2月に開催される。指揮は桂冠指揮者の本山秀毅。京都市立芸術大学と旧西ドイツ国立フランクフルト音楽大学で学んだ本山は、創設翌年からこの声楽アンサンブルを指揮し、2001年7月からは専任指導者として指導にも努め、合唱の技倆を鍛え上げてきた。同アンサンブルを知り尽くした最も相性の良い指揮者である。現在は大阪音楽大学学長という要職にも就いている。 今回の定期公演と東京公演のプログラムは、管弦楽伴奏付きの大規模なバロック宗教曲。オーケストラは最近とみに力をつけているザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団が担当する。 最初はバッハのカンタータ第70番「目を覚まして祈れ、祈りて目を覚ませ」。バッハは京都バッハ合唱団を主宰する本山の得意とするところであり、声楽アンサンブル第4回定期公演から度々取り上げ、彼らのレパートリーとなってバッハ、ヘンデル、ヴィヴァルディの3つの力作が並ぶ壮観なプログラムびわ湖ホール声楽アンサンブル
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