eぶらあぼ 2018.12月号
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186CDCDCDCDジーバー:リコーダー・ソナタ 全6曲/小池耕平シャイン―輝く音の世界―/安田正昭トランペット・シング!/高橋敦おさむ&野田清隆オブリビオン/小暮浩史イグナツィオ・ジーバー:ソナタ第1番~第6番小池耕平(リコーダー)鴨川華子(チェンバロ)山本徹(バロック・チェロ)寺内園生:静かな風、ピアノ小曲集「宇宙船」、氷の城、イリュージョン、組曲「クリアー」、アラベスク、祈り安田正昭(ピアノ)ビゼー(カランド編):組曲「カルメン」/アーバン:ヴェルディの歌劇《シチリア島の夕べの祈り》による華麗な幻想曲/フランセ:陽気なパリ/ジョン・ウィリアムズ:ウィズ・マリス・トゥワード・ノン/バーンスタイン:『ウエスト・サイド・ストーリー』より/ガーシュウィン(トゥリン編):サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー 他高橋敦(トランペット)野田清隆(ピアノ)ピアソラ(ディアンス編):リベルタンゴ、オブリビオン/アサド:南米風変奏曲/ド・ヴィゼー(小暮編):組曲ト長調/D.スカルラッティ:ソナタ K.208(小暮編), K.209(バルエコ編)/レゴンディ:アリアと変奏第1番/ダンジェロ:二つのリディア調の歌小暮浩史(ギター)コジマ録音ALCD-1182 ¥2800+税日本アコースティックレコーズNARC-2150 ¥2500+税オクタヴィア・レコードOVCC-00146 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-4043 ¥3000+税ウィーン出身、ローマやヴェネツィアで活躍したイグナツィオ・ジーバー(1688〜1761)。日本初録音となる6つのリコーダー・ソナタを通じ、謎に包まれたヴィルトゥオーゾ兼作曲家の実像に迫る。第1番の冒頭、聴き覚えある旋律に、「ん?」と反応する人も多いはず。ここを含め、実はヴィヴァルディら他者の作品からの借用も多い。これは当時、普通のことであり、むしろ、同時代の美学を抽出する、れっきとした創作行為だった。小池耕平の温かな音色と、しなやかなプレイは、忘れられた佳品に新たな魂を授ける。チェンバロの鴨川華子とチェロの山本徹によるコンティヌオも、推進力に溢れた快演だ。(寺西 肇)パリ国立高等音楽院に学んだ安田正昭の演奏による、現代作曲家寺内園生のピアノ作品集。ヴァイオリンの印田千裕と共演した〈On the Sky〉などを収録した室内楽曲集に続くシリーズ。自身もピアニストである寺内のデリケートでファンタジックな世界が、高度な演奏技巧を散りばめつつ鮮やかに描き出されている。特に1985年に楽譜も出版されている「ピアノ小曲集『宇宙船』」は“子どものための”と銘打ちながらも曲想が実に奥深い。組曲「クリアー」もかなり哲学的。心の紋(あや)を表現した3章から成る「アラベスク」をドビュッシーの曲と比べてみるのも一興だ。 (東端哲也)都響の首席奏者・高橋の当レーベル3枚目のソロ・アルバム。クラシック作曲家のオペラやミュージカル作品を中心に、トランペットの“歌”を聴かせる内容だ。彼はさすが日本を代表する奏者だけあって、全体にブリリアントかつマイルドな音色で、ナチュラルな演奏を展開している。《カルメン》や『ウエスト・サイド〜』のおなじみのメロディも新鮮に響き、フランセの「陽気なパリ」は実にお洒落。最後のガーシュウィンのナンバーにはうっとりとさせられる。長年コンビを務める野田清隆のピアノも的確に助演。金管のCDには珍しく、肩肘張らずに楽しめる1枚。 (柴田克彦)福田進一プロデュースによるマイスター・ミュージックの「ギター・ディスカバリー・シリーズ」第4弾は第1弾の小暮浩史が再登場。標題曲であるピアソラの「オブリビオン」、そして「リベルタンゴ」をディアンスが、R.ド・ヴィゼーの組曲やスカルラッティのソナタを小暮が編曲したバージョンが収録されていたり、とその曲目にはありきたりでない工夫が施され挑戦的であるが、何よりもその演奏が秀逸だ。どの曲も歌い回しにおける趣味の良いセンスに貫かれ、さらには鋭敏な音色に対する感性も聴き逃せない(「リベルタンゴ」「二つのリディア調の歌」)。実にセンシティヴなギター。(藤原 聡)
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