eぶらあぼ 2018.10月号
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68©F.Fujimoto©FUKAYA Yoshinobu/auraY2垣岡敦子ソプラノ・リサイタル~Amore 愛の歌 Vol.5~10/12(金)19:00 Hakuju Hall問 ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 http://www.bflat-mp.com/垣岡敦子(ソプラノ)愛と宝石の煌めきに満たされる一夜を取材・文:東端哲也Interview イタリアで研鑽を積んだ叙情的で深みのある声を持つ王道ソプラノ、垣岡敦子。「オペラにおける“愛”は憎しみや欲望と表裏一体となって究極のドラマを生む原動力」と語る彼女が「愛の歌」をテーマに紡ぐ人気リサイタルも今年で5回目。 レオンカヴァッロの情熱的な朝の歌「マッティナータ」に始まる今回のプログラム、次で趣をがらりと変えて、ロマンティックで繊細の極みのようなR.シュトラウスの名歌曲「明日!」の世界に。 「私の描くこの曲のイメージは、恐らく喧嘩した翌朝、ただ黙って一緒に砂浜を歩く男女…言葉は交わさなくともお互いに理解し合い、夢と希望を持って未来へ漕ぎ出そうとしている。音の一つひとつを疎かにできない難曲ですが、穏やかな静けさの中でまどろむように愛を語る甘美なひとときを、会場の皆さんと分かち合いたいですね」 第1部の後半ではチレア《アドリアーナ・ルクヴルール》のアリアなど、リクエストの多い得意曲を披露。存在感ある歌唱と舞台映えする容姿で注目のテノール、古橋郷平とマスカーニ《友人フリッツ》から〈さくらんぼの二重唱〉なども楽しみだ。 「お客様からも古橋さんとは声の相性がぴったりと好評いただいており、関西人同士で、お互いに遠慮なく何でも話せる仲なので、舞台でも自然体で共演できるんです」 第2部はオペレッタで華やかに開幕。プーランク「愛の小径」ではピアノの村上尊志との絶妙な掛け合いも聴きどころだ。 「即興を交えてシャンソン風に楽しく歌いたい。村上さんならすべて受け止めてくれるので安心して委ねられます」 ハイライトはフランス・オペラのナンバー。甘く切ない旋律に彩られたマスネに続いてグランド・オペラの雄グノーの《ファウスト》からの名場面が登場。古橋とのデュエット曲も目玉だが、スイスが誇るラグジュアリーな宝飾ブランド「ショパール」とのコラボで本物のハイジュエリーを身に付けて歌う〈宝石の歌〉は見逃せないだろう。 「昨年も1部と2部とで、2種類付け替えで総額約2億5千万円ものハイジュエリーをショパールさんからご提供いただきました。コンサート会場では日常の煩わしいことから解放されて、皆さんに素敵な夢を見ていただきたいので、できるだけ華やかな世界を作りあげたい。今回もそんな想いから曲目や演出だけでなく、照明も衣装もトータルでプロデュースを手掛けました。もちろんそうやって衣装や舞台をゴージャスに設えても歌そのものが伴わなかったら全く意味がない。今年もあの輝きに見合った本物の歌をお届けできるよう、ベストを尽くしたい! どうかご期待下さい」古典四重奏団 ムズカシイはおもしろい!! バルトークの時代 2018〈その4〉聴き手の音楽観を根本から覆す文:寺西 肇 「弦楽四重奏曲なんて、難しい。ましてや、近代の作品なんて…」。そう思い込んでいる人にこそ、ぜひ聴いてほしい。 精鋭集団・古典四重奏団が取り組む、人気のレクチャー付きコンサート「ムズカシイはおもしろい!!」。今期は「バルトークの時代」と題し、20世紀の傑作を“解剖”しているが、10月に開く第4弾では、プロコフィエフの第2番とヤナーチェクの第1番「クロイツェル・ソナタ」、バルトークの第4番を取り上げる。 不思議なリズムに体を揺らし、バラバラだった積木が巨塔を構築した瞬間、あらゆる我々の先入観を打ち砕いその4の夜 10/23(火)19:00 その4の昼 10/27(土)14:30 近江楽堂(東京オペラシティ3F)問 ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 http://www.bflat-mp.com/てしまう。そんな偉大な芸術を形作ったハンガリーのバルトーク。親しみやすく、メロディアスなロシアのプロコフィエフ。そして、物語性と鮮烈さが際立つチェコのヤナーチェク。同時代ながら、三者三様の魅力を湛えた傑作の秘密を、チェロの田崎瑞博による分かり易く楽しいトークと、瑞々しい演奏で解き明かしていく。 このステージが、あなたの音楽観を根本から覆してしまうかもしれない。
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