eぶらあぼ 2018.10月号
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64日本フィルハーモニー交響楽団 コンチェルト × コンチェルト!! Vol.29/28(金)19:30 東京芸術劇場 コンサートホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911/カジモトイープラス0570-06-9960http://www.japanphil.or.jp/CDデビュー25周年記念 田部京子 ピアノ・リサイタル(シューベルト・プラス特別編)12/19(水)19:00 浜離宮朝日ホール問 カジモトイープラス0570-06-9960 http://www.kajimotomusic.com/CD『グリーグ: ピアノ協奏曲 他』オクタヴィア・レコードOVCT-00150(SACDハイブリッド盤)9/26(水)発売©Akira Muto田部京子(ピアノ)25年を振り返る、思い出深い選曲取材・文:飯田有抄Interview 繊細なタッチと瑞々しい響きで聴き手の心をつかむ田部京子。今年は彼女のCDデビュー25周年に当たる。ショパン作品集の発表以来、30枚以上のアルバムを作り続けてきた。 「初めてのレコーディングは今でも鮮明に覚えています。自分で演奏中に聴いていた音と、モニタールームで聴く録音とのギャップにかなり驚きました。マイクはとても鋭敏に音を拾うことを知り、一音たりとも意志のはっきりしない音があってはいけないと、洗礼を受ける思いでした」 シューベルト7枚のほか、ブラームスやメンデルスゾーン、シューマンといったドイツ・ロマン派ものを多くリリースしてきたが、直近5枚のうち3枚はモーツァルト。協奏曲のライヴ録音にも積極的に取り組んでいる。9月の日本フィル(藤岡幸夫指揮)のコンサートでは、一晩で協奏曲を2曲演奏するが、前半はモーツァルトの第21番で、自作のカデンツァも披露する。後半はグリーグの協奏曲だ。 「グリーグは若い頃からオファーが多く、私にとって最も演奏回数の多い協奏曲ですが、モーツァルトとの組み合わせ、そして集中力の増す後半で演奏するのは新鮮。いつもとは違う感覚で弾けるのではと楽しみです」 同曲は6月に小林研一郎指揮・東京交響楽団と演奏したライヴ録音のCDがまもなくリリースされる。 一方、12月の25周年記念リサイタルでは、思い入れの深い3曲をプログラミングした。 「ショパン『前奏曲 op.45』は、デビュー盤で録音した作品。久々に演奏しますが、私の中で熟してきたこの曲への思いを込めたいと思います。同じ調性で続くシューマンの『交響的練習曲』は17歳の時に日本音楽コンクール本選で弾いて以来、デビューなど節目で弾いてきた大切な曲。99年にCDを出しましたが、本当はその3年前に録音をする予定でした。けれどもレコーディング初日に不慮の交通事故に見舞われ頸部を負傷。半年間、演奏活動を休止、ピアノに触れられない辛い日々を過ごしました。復帰後あらためて録音し、思い出深いアルバムとなりました。 シューベルトのソナタ第21番は、デビューから3枚目のアルバムで、初めて自分の意向で選曲した作品。当時は、魂を削るようにして細部の美しさを追い求めていましたが、歳月とともに常に発見があり、全体を俯瞰して捉えられるようになりました。私にとってライフワークとも言える曲です」 今後は北欧やフランスのレパートリーも視野に入れながら、過去に録音した作品も改めてレコーディングしたいと話す。 「人生は有限、優れた作品は無限。時に新風を交えながら録音を続けたいと思います」11/13(火)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター  03-5840-2222http://www.toppanhall.com/イリア・グリンゴルツ(ヴァイオリン)20世紀ロシア2大巨星の名作でさらなる深化を聴く文:江藤光紀©Tomasz Trzebiatowski 昨年、グリンゴルツはパガニーニとシャリーノを組み合わせた独奏超難曲プロをさらりと弾いてのけ、観客の度肝を抜いた。音楽が技術的な困難さを超えて、いわば無重力空間に解き放たれたようにイマジネーションの翼を広げたのだ。 さて、今年は故国ロシアの作品をひっさげ、トッパンホールに15年ぶりに登場する。前半はショスタコーヴィチ「ヴァイオリン・ソナタ」。長く暗い瞑想の間に硬質なリズムを刻むスケルツォが挟まれ、晩年のショスタコーヴィチの精神の深淵をのぞかせる。後半はストラヴィンスキー作品集。「火の鳥」「ナイチンゲール」「妖精の接吻」(ディヴェルティメント)といった名作バレエやオペラのナンバーを中心とした多彩な小品を並べており、重厚な前半から一転して軽やかさや透明感を演出してくるに違いない。 ピアノはペーター・ラウル。すでにグリンゴルツとは共演も多く、ストラヴィンスキーは二人でデュオの全集まで録音している。強力なパートナーと共に深化を続けるグリンゴルツの今を聴け!

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