eぶらあぼ 2018.10月号
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200CDCDCDCD玲央 Encounters:邂逅/LEOベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集Vol.1/ワン&リシャール=アムラン吹奏楽のための交響曲/長縄洋明&ジャパン・ウィンド・プレイヤーズ双子素数/低音デュオ大塚茜:邂逅―六段とSerenadeによる―/吉岡孝悦:箏のためのアラベスク/清水脩:三つの詩曲/沢井比河流:土声(どせい)/沢井忠夫:ファンタジア/今野玲央:鏡/久石譲(冷水乃栄流編):One Summer's Day(あの夏へ)LEO(箏/十七絃箏)髙木凜々子(ヴァイオリン) 他ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第6番~第8番アンドルー・ワン(ヴァイオリン)シャルル・リシャール=アムラン(ピアノ)保科洋:風紋(原典版)/クリフトン・ウィリアムズ:ファンファーレとアレグロ/ヴォーン・ウィリアムズ:イギリス民謡組曲(「海の歌」付き)/ミヨー:フランス組曲/ヒンデミット:吹奏楽のための交響曲長縄洋明(指揮)ジャパン・ウィンド・プレイヤーズ徳永崇:感情ポリフォニー/湯浅譲二:ジョルジオ・デ・キリコ/山本和智:高音化低音/高橋悠治:明日も残骸 しいんと ぼうふらに摑まって/川上統:児童鯨/木下正道:双子素数Ⅰ低音デュオ【松平 敬(声/バリトン) 橋本晋哉(テューバ/セルパン)】日本コロムビアCOCJ-40413 ¥2222+税ANALEKTA/東京エムプラスPAN28794 ¥2857+税マイスター・ミュージックMM-4039 ¥3000+税コジマ録音ALCD-118 ¥2800+税今年4月の『情熱大陸』出演でも注目を集めた藝大邦楽科「現代箏曲」専攻・在学中の新星、待望の2ndアルバム。厳格なる定番箏曲「六段」とシューベルトの歌曲「セレナーデ」をヴァイオリンとのデュオで統合させた1曲目のタイトル曲「邂逅」からして、10代から20代へと移ろう多感な時期に瑞々しく成長を遂げた姿を見せつけてくれる一枚。若手箏奏者から絶大な支持を集める沢井比河流「土声」(こちらもヴァイオリンと)も素晴らしいが、後輩たちによる箏群との室内協奏曲風の「ファンタジア」(沢井忠夫)や自作曲「鏡」も必聴。締めを飾る久石譲ナンバーも見事。(東端哲也)2015年にケント・ナガノの指揮によってサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲をリリースし、高く評価されたモントリオール響のコンマス、アンドルー・ワンによる新譜。これもまた極めてハイ・レヴェルの名演だ。豊穣な美音に端正なフレージングを伴ったその演奏は、言葉の最良の意味で「オーソドックス」、正に曲の美しさを素直にありのまま堪能できる。殊に最初に収録された第6番のソナタが素晴らしく、地味なこの曲を入念に描き出し、傾聴させられる。終楽章の変奏における構築性など見事なものだ。サポートのシャルル・リシャール=アムランも文句なし。 (藤原 聡)冒頭に収録された保科洋「風紋」の第1音にして、そのサウンドの深遠さに耳を奪われるだろう。既存の枠を超えた吹奏楽の発展と普及を目指し、2014年に若手奏者たちが結成した「ジャパン・ウィンド・プレイヤーズ」。第3弾アルバムは、秋山和慶の薫陶を受けた俊英指揮者、長縄洋明を迎えて。彼らがこだわる「吹奏楽によるオリジナル作品」ばかり5曲を取り上げた。鉄壁のアンサンブル力と、それが一丸となって繰り出される変幻自在なアーティキュレーション。異なるフレーズが現れるごと、まるで舞台の場面転換のように、劇的に色彩が移り変わってゆく。“吹奏楽の底力”を知らしめる1枚だ。(笹田和人)松平敬と橋本晋哉による異彩を放つユニット「低音デュオ」約3年ぶりの新譜もまた「斜め上」から攻めて来る。1曲目の徳永崇「感情ポリフォニー」からしていきなりホーミー歌唱が登場して面食らうが、収録曲全6曲共に声/バリトン+テューバ&セルパンといった“地味な”編成から驚くほどに多彩な音響と世界観を現出させている。先述曲では特異な音響と複雑なテキスト朗読(朗唱)のポリフォニーを、川上統「児童鯨」ではその名の通りその鳴き声を、木下正道の「双子素数Ⅰ」では言葉の意味作用と数理的に形成された旋律とのせめぎ合いを聴く。ともかく聴いていただくしかない。 (藤原 聡)
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