eぶらあぼ 2018.10月号
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198CDCDSACDCDHAZAMA Sway in Silence/八巻志帆小沢麻由子 プレイズ ドビュッシーチャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 他/上岡敏之&新日本フィルナイトフォール/アリス=紗良・オット八巻志帆:utter、Dolphins、Quelle、断片、inwardly、“Waltz” einer kleinen Katze、Calendula、overflow、mélancolie manège、REW.、Sway in the air、and humid...八巻志帆(バスクラリネット) 林正樹(ピアノ) 萬恭隆(ベース) 則武諒(ドラム)ドビュッシー:前奏曲集第1巻、ボヘミア風舞曲、舞曲(スティリー風タランテラ)、ロマンティックなワルツ、レントより遅く(ワルツ)、「傷病兵の衣」のために、燃える炭火に照らされた夕べ 他小沢麻由子(ピアノ)ラフマニノフ:交響詩「死の島」チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」上岡敏之(指揮)新日本フィルハーモニー交響楽団ドビュッシー:夢想、ベルガマスク組曲/サティ:グノシエンヌ第1番・第3番、ジムノペディ第1番/ラヴェル:夜のガスパール、亡き王女のためのパヴァーヌアリス=紗良・オット(ピアノ)コジマ録音ALCD-3114 ¥2800+税ナミ・レコードWWCC-7875 ¥2500+税オクタヴィア・レコードOVCL-00671 ¥3200+税ユニバーサル ミュージックUCCG-1808 ¥2800+税音やリズム、グルーヴ感は、そこにある。なのに、なぜか感じる静けさ。その手触りは、実に心地よい。八巻志帆は仙台出身、相愛大に日本で初めて設置された「バスクラリネット専攻」の一期生として学び、ジャンルに拘らず、多様な側面から “バスクラ”のソロ楽器としての可能性を追究し続ける。クラシカルなアルバム2枚に続き、彼女が向かった先は、ピアノとドラムを伴うジャズの世界。まず、温かい音色と豊かな表現力には、「こんな楽器だったとは」と驚くはず。それぞれが異なる色合いを湛えた、八巻の自作12曲。聴く者の心は柔らかにほぐされ、やがて、平安に満たされてゆく。(寺西 肇)小沢麻由子の新譜は没後100年となるドビュッシーの作品集。傑作「前奏曲集」第1巻全曲をアルバム前半に収め、後半はドビュッシーの最初期の作品「ボヘミア風舞曲」から、最後のピアノ曲「燃える炭火に照らされた夕べ」まで、珍しい小品も含む10曲。音域・声部によって、硬質な響きと暖色系のタッチとを鮮やかに使い分け、極めて明晰に、きめ細かくドビュッシーの美的世界を再現。無意味なルバートや曖昧模糊とした処理は一つもない。クリアに整理してこそ、ドビュッシーの音楽がもつ詩的な世界がかぐわしく立ち上ることを、小沢の演奏は伝えている。 (飯田有抄)上岡&新日本フィルの5枚目のCD。今回も「既成概念を排し、一から楽譜を読み直して音にする」という上岡のポリシーを如実に反映した、鮮度の高い演奏が展開されている。「死の島」は、各音が有機的に綾なす精緻かつ艶やかな好演。「悲愴」は、冒頭から(最後まで)1音1フレーズが再創出され、ベタな民族色や大仰さなど皆無の凄絶な表現が震撼をもたらす。第2楽章は鬱々とワルツを踊り、第3楽章は怒りと悲しみを懐に抱いて行進するかのよう。そして第4楽章で全てのベクトルが集約され、著しく明確なコントラバスの終焉が戦慄を与える。ぜひご一聴を! (柴田克彦)明確なコンセプトに基づく絶妙なプログラミングのディスクを発表し続けるアリス=紗良・オットの新作には、直接的に“夜”を描いた作品はもちろん、心静かに聴きたい作品が並ぶ。「夜のガスパール」ではオットの高い技巧が存分に発揮され、彼女の持ち味であるクリアな音色も相まって、非常に立体的な演奏に仕上がっている。特に「オンディーヌ」の透明感のある響き、粒のそろったタッチが素晴らしい。同じくラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」やドビュッシー、サティの作品では、柔らかさや甘さといったものを極力排した“媚びない”音色と音楽運びに誠実さを感じる。 (長井進之介)
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