eぶらあぼ 2018.7月号
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589/28(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 テイト・チケットセンター03-6379-3144 http://www.tate.jp/ジュゼッペ・サッバティーニ(テノール/バリトン)ファンが待ち望んでいた“歌手活動”を再開文:岸 純信(オペラ研究家)左:マルコ・ボエーミ 右:ジュゼッペ・サッバティーニ ここ10年、指揮活動と声楽アカデミーに専念してきたジュゼッペ・サッバティーニだが、この9月に、歌手復活コンサートとして東京で歌曲リサイタルを開催するという。今回の選曲でまず目を惹くのは、ファリャの「七つのスペイン民謡」。儚げな旋律美を、今のサッバティーニの落ち着いた声音がどう造形するか、声楽ファンには注目の的だろう。 このほか、ハンガリー人のリストによるイタリア語の歌曲集「ペトラルカの三つのソネット」では、持ち前の肌理細やかなフレージングが楽しめそう。また、プッチーニの〈太陽と愛〉のような“オペラゆかりの歌曲”も期待大。というのも、後に歌劇《ラ・ボエーム》の四重唱に転用されて有名になった一曲なので、歌詞の違いを踏まえたサッバティーニの知的な歌い分けに興味がそそられるからである。ピアノは名指揮者のマルコ・ボエーミ。気心の知れた2人が繰り広げる、のびやかな歌の世界にじっくりと浸ってみたい。7/2(月)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5281-8067http://www.nikkei-hall.com/第474回 日経ミューズサロン エマニュエル・セイソン ハープ・ソロ・リサイタル当代随一のハーピストが描く彩り豊かな音の風景文:笹田和人 力強く、卓越した技巧で、ハープに対する従来のイメージを次々に塗り替えているのがフランス出身のエマニュエル・セイソン。名門・メトロポリタン歌劇場(MET)の首席奏者も務める名手が日経ミューズサロンのステージに降り立ち、その圧倒的なパフォーマンスの全容が明らかになる。 リヨン高等音楽院に学び、2009年にはミュンヘン国際コンクールで、ハーピストとして初優勝。その大胆なプレイぶりで、ジャン・コクトーの小説になぞらえ、「ハープ界の“恐るべき子供”」と評された。06年からパリ国立歌劇場、15年からはMETで首席奏者を務める一方、ロンドン王立音楽アカデミー客員教授を歴任するなど、後進の育成にも尽力している。 今回は、バロックから近代に至る、多彩な楽曲を用意。バッハ「フランス組曲第3番」やドビュッシー「ベルガマスク組曲」など、鍵盤楽器のための傑作からの編曲を。また、グリンカ「ひばり」など“鳥”にまつわる作品を集め、聴き手を自然の中へと誘う。もちろん、トゥルニエ「森の泉のほとりにて」、ルニエ「幻想的バラード」など、ハープのためのオリジナル楽曲も、たっぷりと披露する。デュオ・リサイタル 7/11(水)19:00 ヤマハホールジョイントコンサート 7/15(日)14:00 京都府長岡京記念文化会館問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.jp/ハンス・ペーター・シュー(トランペット)ウィーン・フィルを支える名手をソロで聴く絶好のチャンス文:笹田和人ハンス・ペーター・シュー 人は言う。「伝統のサウンドを支えているのは、この男だ」と。重厚かつパワフル、しかし常に温かさを失わぬ音色で、名門ウィーン・フィル独特の響きの創出に貢献しているのが、首席トランペット奏者のハンス・ペーター・シュー。ピアノの名手・児嶋一江とのデュオ・リサイタルで、その奥の深い魅力を堪能させてくれる。 オーストリア東部ピンガウ出身。ウィーン国立音大などに学び、リンツ・ブルックナー管弦楽団の首席奏者を経て、1978年にウィーン・フィルとウィーン国立歌劇場管弦楽団へ。93年から首席奏者を務める。一方、卓越したソリストとして知られる児嶋。トロンボーンのブラニミール・スローカーら管&弦の巨匠とも共演を重ね、絶大な信頼を得ている。 ステージは、17世紀のD.ガブリエリと20世紀のピルス、古今のトランペット・ソナタが大枠に。古典派のネルーダの協奏曲や、現代のツェビンガー「ユダヤの歌によるパラフレーズ」などを披露。さらに、児嶋がソロで、ベートーヴェン「7つのバガテル」とR.シュトラウス「情緒のある風景」からの抜粋を弾く。児嶋一江 また、京都橘大学吹奏楽部とのジョイントコンサートもあり、フレッシュなタレントたちとの共演も楽しみだ。
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