eぶらあぼ 2018.7月号
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55小曽根 真 & エリック・ミヤシロ“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団バロックとジャズのいいとこ取りのステージ文:藤本史昭9/29(土)17:00 東京文化会館 9/30(日)15:00 オリンパスホール八王子問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp/ ジャズとクラシックのマリアージュを小曽根真がスリリングに演出する“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団。過去、ピーター・アースキンやゴンサロ・ルバルカバ等の超一流ジャズマンをゲストに迎えてきたこのコンサートに、今回はトランペット奏者のエリック・ミヤシロが登場する。 自身の「EMバンド」をはじめ小曽根のビッグバンド「No Name Horses」、そして「侍BRASS」など八面六臂の活躍をするミヤシロ。そんな彼が今回挑むのは、なんとタルティーニのトランペット協奏曲(第1・3楽章)だ。「バロック音楽は奏者が装飾音をつけたりメロディを変えたりとアドリブの要素が強く、ジャズに近い」と語る彼が、あの技巧的な協奏曲をどのように料理するか、ジャズ、クラシックいずれのファンも見逃すわけにはいくまい。一方の小曽根は、「ラプソディー・イン・ブルー」と並ぶガーシュウィンの代表作「ピアノ協奏曲 ヘ調」を披露する。「これはガーシュウィンがはじめてオーケストレーションまで自分で手がけた曲。やりたかったことがてんこ盛りの1楽章、ブルースの2楽章に対し、3楽章はあっという間に終わってしまうので、アドリブを入れながら作曲者が言いたかったであろうことをふくらませて弾くのが好き」という言葉どおり、ジャズのスリルに満ちた演奏になるのは必至。指揮はエドウィン・アウトウォーターが務める。 また第2部は、恒例のジャズ・セッション。互いの手の内を知り尽くした2人だが、それゆえの“うれしい裏切り”にも大いに期待できそうだ。東京ニューシティ管弦楽団生誕100年記念 バーンスタイン アメリカン・シアターミュージックバーンスタインのヒットメロディを存分に文:東端哲也第119回定期演奏会 8/5(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京ニューシティ管弦楽団チケットデスク03-5933-3266 http://www.tnco.or.jp/ 東京ニューシティ管弦楽団は、今年生誕100年を迎える、米国が生んだ偉大な指揮者&作曲家、レナード・バーンスタインの作品を8月の定期演奏会でとりあげる。公演日である8月5日は奇しくもバーンスタインが1985年に被爆40年を悼む「平和コンサート」を開くため、広島を訪れていた日でもある。 音楽家として社会的なメッセージを発信する活動も盛んに行っていたバーンスタインだけに、エンターテインメントの殿堂であるブロードウェイ作品にも愛と慈しみの精神が深く刻まれていることを、この機会にじっくりと考えてみるのも悪くないかもしれない。 指南役はアメリカ音楽の魅力を伝える第一人者として、クラシックというジャンルを超えて活躍するソプラノで、バーンスタインとの出会いがキャリアの原点だったという柴田智子。初のミュージカル作品である『オン・ザ・タウン』のダンス・ナンバーを再構築して、3曲からなる組曲にした〈3つのダンス・エピソード〉から、「ミサ」、『ウエストサイド・ストーリー』の王道メドレーまで、今回の多彩で魅惑のプログラムは企画・構成を担当した彼女なくしては実現できなかったかもしれない。 ミュージカルやオペラで大活躍中のテノールの大田翔や「ミサ」の出演経験があるバリトンの大山大輔など、活動の幅を拡げて活躍する才能ある若手の起用も彼女らしい。指揮者は近年めざましい実績を重ねつつある三ツ橋敬子。もうひとりのアメリカ音楽の雄、ガーシュウィン(生誕120年)作品が聴けるのも嬉しい。小曽根 真 ©大杉隼平エリック・ミヤシロ ©大杉隼平柴田智子大田 翔大山大輔三ツ橋敬子 ©大杉隼平
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