eぶらあぼ 2018.7月号
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45秋山和慶(指揮) 東京交響楽団世代を越えて名手たちが織り成す“三重奏曲”の醍醐味文:山田真一東京オペラシティシリーズ 第104回7/22(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp/ ベートーヴェンの三重協奏曲は数あるクラシック音楽の名曲の中でもとりわけ目立つ存在だ。異なる3つの楽器のソリストと指揮者が、この曲ほどがっぷり四つに組んで演奏しなければならないことはなく、それだけに花形の3人のソリストと共に誰が指揮をするかにも関心が集まる曲だ。またそのような性格上、実は実演を耳にする機会は多くはない。それを7月の東響の東京オペラシティシリーズで、北村朋幹、横坂源、山根一仁という今日本で大きく注目を集める若手ソリストたちと、日本を代表する名マエストロ秋山和慶という組み合わせで聴くことができる。 1991年生まれの北村はベルリンで学び、ベートーヴェン国際ピアノコンクールで第2位入賞と古典をしっかり弾きこなす力量を持つ。86年生まれのチェロの横坂はミュンヘン国際コンクールで第2位、ジャン・ギアン=ケラスにも師事した経験を持つ実力派。一方、最も若い山根は95年生まれで、ミュンヘンでクリストフ・ポッペンに師事するなど今後の活躍が期待されるフレッシュなヴァイオリニストだ。そんな3人を国内外で多くの名演を聴かせてきた秋山がどのようにリード或いはサポートしていくのかが楽しみだ。 共に取り上げられるベートーヴェンの交響曲第1番は、のちのベートーヴェンと較べられ若書きと思われがちだが、発表当時は同時代の作曲家や評論家を驚かせた革新性を持つ。トリプルと同じハ長調の交響曲を秋山がどう料理するかにも大いに注目だ。演奏会の開始を告げる序曲「コリオラン」(ハ短調!)も聴き逃せない。秋山和慶 ©N.Ikegami飯守泰次郎(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団円熟の名匠がもたらす崇高な音楽体験文:柴田克彦第317回 定期演奏会7/13(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ これは、オーケストラ公演では滅多に聴けないプログラムだ。東京シティ・フィルの7月定期で、ブラームスの「ネーニエ(悲歌)」とブルックナーのミサ曲第3番が演奏される。合唱を主体とした独墺の名作が揃った上に、指揮が同楽団の桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎となれば、見逃せるはずがない。 「ネーニエ」は、ブラームスが交響曲第2番と第3番の間の充実期に、友人を追悼して書いた作品。シラーの詩による合唱+管弦楽曲で、死者の生命の浄化を歌った感動的な名品だ。ブルックナーのミサ曲第3番は、交響曲第1番に続く時期に書かれた、全6曲・1時間弱の大作。4人のソリストと合唱、管弦楽による壮大かつ敬虔な音楽で、彼の声楽作品のみならず、古今のミサ曲の中でも屈指の傑作と称されている。いずれも日本での生演奏は少なく、関係が微妙なロマン派の大家二人が40代に残した声楽作品の比較も含めて、貴重な一夜となる。 今や重鎮格の飯守は、今年1月の同楽団定期におけるブラームスの交響曲や新国立劇場の《フィデリオ》等で、重厚かつ濃密な演奏を聴かせているだけに、このところ充実著しいシティ・フィルと共に奏でる独墺音楽の真髄・深奥への期待は大きい。さらには、「ドイツ・レクイエム」「テ・デウム」など二人の作品に実績があり、昨年9月の「天地創造」でも大きな成果をあげた東京シティ・フィル・コーアと、二期会の実力者を揃えたソリスト陣も心強い限りだ。そして会場の東京オペラシティはこの種の合唱音楽にこの上ない空間。ここはぜひ、日常では味わえない厳粛・荘厳な音体験に浸りたい。飯守泰次郎 ©金子 力北村朋幹 ©TAKUMI JUN横坂 源 ©ワーナーミュージック・ジャパン山根一仁 ©K.Miura
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