eぶらあぼ 2018.7月号
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42室内楽の魅力 モーツァルトバボラーク・アンサンブル ホルンの室内楽 Ⅱモーツァルトの新たな協奏曲が出現?文:柴田克彦10/20(土)14:00 第一生命ホール 6/26(火)発売問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net/ モーツァルトのホルン協奏曲に“第5番”と“第6番”があった!? 今秋、世界最高峰のホルン奏者バボラークが、両曲を披露する。これは「室内楽の魅力 モーツァルト バボラーク・アンサンブル ホルンの室内楽 Ⅱ」と題した第一生命ホールの企画。冒頭の2曲は、比較的有名な「ロンド K.371」をはじめとする、ホルン協奏曲の断片的な楽章等を集めてバボラークが新たに室内楽版として構成した、興味津々の“新作”だ。この発想は、協奏曲第1番が2曲の合体+ジュスマイヤーによる完成作品であることをベースにしたもの。ホルンとその協奏曲を知り尽くす名手が英知を注いだ、夢のある試みといえるだろう。 バボラークは、驚くほどまろやかな音色と空前絶後の超絶技巧を有する、“何百年に一人”クラスの大奏者。その演奏は、身を任せているだけで陶酔の境地に誘われる。ベルリン・フィルの首席奏者を辞して以降の活動も充実顕著。母国チェコの敏腕奏者たちと15年以上続けている当アンサンブルでは、2016年の「ホルンの室内楽 Ⅰ」で、モーツァルトの協奏曲4曲と五重奏曲を一挙に披露し、完璧なソロのみならず、彼の柔らかな音色と繊細な弦の響きのミックスによって、管弦楽伴奏とはひと味違った精妙な音世界を創出。聴く者を感嘆させている。 今回は、CDで評価の高いライヒャのホルン五重奏曲(六重奏版)と、後期ロマン派的な作風ゆえにマイナー化した20世紀イギリスの作曲家ボウエンのホルン五重奏曲も披露されるので楽しみは多彩。しからばここは、天上的なサウンドで“モーツァルトの新作”を体感するために、こぞって足を運ぼう!バボラーク・アンサンブル(2016年来日公演より) ©大窪道治上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団今年のリクエスト・プロはロシアのロマン派名曲で文:飯尾洋一 お客様にもっとコンサートに参加してもらおう。そんなオーケストラの姿勢が打ち出されているのが、新日本フィル #592 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉。定期演奏会で来場者からリクエストを募り、そこから選んだ曲目を音楽監督の上岡敏之が指揮するというリクエスト・コンサートになっている。 今回の曲目はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とチャイコフスキーの交響曲第5番が組み合わされたロシア音楽プログラム。前回はパガニーニとベルリオーズを組み合わせたヴィルトゥオーゾ・プログラムだったが、今回はロシア音楽のなかでもとりわけ人気が高く、濃厚なロマンティシズムにあふれた二大傑作が選ばれることとなった。ラフマニノフはチャイコフスキーを敬愛しており、リクエスト・コンサートといえども、音楽史的な繋がりの感じられるプログラムになっている。 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番で独奏を務めるのは、ロシアに生まれドイツで学んだオルガ・シェプス。ECHOクラシック賞新人ピアニスト部門をアリス=紗良・オットと二分して脚光を浴び、巨匠アルフレート・ブレンデルの薫陶を受ける。すでに録音も多く、人気と実力を兼ね備えた新星といっていいだろう。 チャイコフスキーの交響曲第5番ではマエストロ上岡の自在の棒にも期待できそうだ。起伏に富んだ大きなドラマを描いてくれるのではないだろうか。 なお、同公演は新日本フィルと地域拠点契約を結んでいる岐阜の可児市文化創造センターでも開催される。オルガ・シェプス ©Uwe Arens#592 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉リクエスト・コンサート 7/27(金)19:00、7/28(土)14:00 すみだトリフォニーホール新日本フィルハーモニー交響楽団 サマー・コンサート2018 7/29(日)16:00 可児市文化創造センター問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815(7/29以外) 可児市文化創造センター・インフォメーション0574-60-3050(7/29)http://www.njp.or.jp/上岡敏之 ©武藤 章

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