eぶらあぼ 2018.7月号
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33ルドヴィク・モルロー(指揮) 読売日本交響楽団真夏に相応しい極彩色のサウンド炸裂!文:オヤマダアツシ第208回 土曜マチネーシリーズ 7/28(土) 14:00第208回 日曜マチネーシリーズ 7/29(日) 14:00東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp/ つい先頃、次期常任指揮者(セバスティアン・ヴァイグレ)を発表し、新しい時代を迎える読売日本交響楽団。しかし、シルヴァン・カンブルランとの約8年間で得た色彩的なサウンドが、失われることはないはずだ。それを再確認したくなるようなコンサートが、フランス(リヨン)生まれのルドヴィク・モルローを指揮台に迎えた7月末の定期演奏会。シアトル交響楽団の音楽監督を務め、ベルリン・フィルやサイトウ・キネン・オーケストラほか世界各地の主要オーケストラにも客演。しかし首都圏で聴けるチャンスはまだ稀少という、40代のマエストロだ。 プログラムは、真夏の気分を盛り上げるガーシュウィンのラテン系ナンバー「キューバ序曲」でスタート。小曽根真がソロを弾くスリリングな「ラプソディ・イン・ブルー」は、究極のエンターテインメントにして、もはやクラシック音楽界の至宝だといえるだろう。ドビュッシーの官能的な「牧神の午後への前奏曲」で気分をクールダウンした後は、心と身体が前のめりになるエネスコの「ルーマニア狂詩曲第1番」でヒートアップ。そしてフィナーレは、すべての熱狂と色彩がコンサートホールにあふれるラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲。 これぞ、オーケストラの色彩感! というプログラムは、ジャズやポピュラー音楽ファンも含むクラシック音楽ビギナーにも、夏休み中の吹奏楽プレイヤーたちにもおすすめだ。小曽根 真 ©篠山紀信東京二期会オペラ劇場、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2018 《魔弾の射手》東西《魔弾》の競演、この夏実現!文:室田尚子佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2018《魔弾の射手》7/20(金)、21(土)、22(日)、24(火)、25(水)、27(金)、28(土)、29(日)各日14:00 兵庫県立芸術文化センター問 芸術文化センターチケットオフィス0798-68-0255 http://www.gcenter-hyogo.jp/freischutz/東京二期会オペラ劇場《魔弾の射手》7/18(水)18:30、19(木)14:00、21(土)14:00、22(日)14:00 東京文化会館問 チケットスペース03-3234-9999/二期会チケットセンター03-3796-1831http://www.nikikai.net/ ドイツのロマンティック・オペラの扉を開いたといわれるウェーバーの《魔弾の射手》。しかし残念ながら、これまで日本で全曲が舞台上演される機会はあまりなかった。それがこの7月、なんと2団体がこの音楽史に残る記念碑的作品を取り上げるのだ。 ひとつは佐渡裕指揮で毎年話題のプロダクションを上演している兵庫県立芸術文化センター。演出には本場ドイツからミヒャエル・テンメを迎え、ドイツ・オペラの正統的な舞台を生み出す。主人公マックスに世界的ヘルデン・テノールとして知られるトルステン・ケールとクリストファー・ヴェントリスをダブル・キャスティング。他にも、現在もっとも注目を集めるソプラノ小林沙羅や、現在ドイツを中心に活躍するバリトン髙田智宏など、国内外で話題の歌手陣が集結。「これぞドイツ・オペラ」というプロダクションになることは間違いない。 一方、東京二期会はハンブルク州立歌劇場との共同制作で、ペーター・コンヴィチュニー演出によるプロダクションを上演する。1999年にハンブルクで初演されたこのプロダクションは、コンヴィチュニーの名を世界に知らしめた代表作。現代演劇に影響を受けた空間の扱いや様々な仕掛けが満載の、いかにもコンヴィチュニーらしい刺激的な舞台だ。今回は歌唱はドイツ語、セリフは日本語による上演で、ハンブルク版からさらにバージョンアップしたものになるという。アガーテの嘉目真木子はじめ大沼徹、片寄純也など、二期会の強力な歌手陣はもちろんのこと、元宝塚のトップスター大和悠河が悪魔ザミエルを演じるという、キャスティングにも期待大だ。 どちらも見逃せない!左より:佐渡 裕 ©飯島 隆/トルステン・ケール/小林沙羅 ©NIPPON COLUMBIA/片寄純也/嘉目真木子 ©T.Tairadate/大和悠河ルドヴィク・モルロー ©Lisa-Marie Mazzucco
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