eぶらあぼ 2018.7月号
140/177
155コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報今月の注目公演公演情報ぶらPAL第1位 バーナビー・マーティン(イギリス)「量子」(賞金100万円)第1位 パウロ・ブリトー(ブラジル/アメリカ)「STARING WEI JIE TO DEATH 〜シンフォニック・ エヴォケーション、中国の故事による」(賞金80万円)第2位 ルーカス・ヘーヴェルマン=ケーパー(ドイツ)「量子真空」(賞金60万円) 第2位 ボ・リ(中国)「SLEEPING IN THE WIND」(賞金60万円) 「武満徹作曲賞」は東京オペラシティ文化財団が、より創造的な音楽文化の可能性を育むため、世界の次代を担う若い作曲家に新しい音楽作品の創造を呼びかけている作曲コンクール。審査員が一人の作曲家であるユニークさ、そして受賞者たちの活躍により世界的に知られている。20回目となる今回はウンスク・チンを審査員に迎え、世界40ヵ国143作品から4作品が本選に進んだ。 ウンスク・チンは「審査において、強烈でしっかりとした構成力、技能、個性、他と一線を画すような発想などが大切な指針となりました」とコメント。第1位を受賞した2名について「バーナビー・マーティンさんの『量子』は、彼独自の世界が繰り広げられ、洗練された和声の使い方、複雑なストラクチャーを駆使し、オーケストラから引き出す豊かな色彩がとても印象的。パウロ・ブリトーさんの『STARING WEI JIE TO DEATH〜シンフォニック・エヴォケーション、中国の故事による』は4つの異なる楽章で構成されていますが、その簡潔さに驚かされた。不要な情報はひとつもなく、同時にシンフォニー・オーケストラが持つ可能性をフルに引き出していた」と講評を述べた。 19年度はフィリップ・マヌリを審査員に迎え、6月9日に本選演奏会が行われる。武満徹作曲賞http://www.operacity.jp/concert/award/■第4回東京国際ヴィオラコンクール 結果発表 5月26日から6月3日まで上野学園 石橋メモリアルホールで開催された第4回東京国際ヴィオラコンクールの入賞者が以下の通り発表された。第1位 ルオシャ・ファン(中国) 第2位 セジュン・キム(韓国)/ジーユー・シェン(中国) 同コンクールは、世界でも数少ないヴィオラ音楽の祭典“ヴィオラスペース”の活動の一環として2009年に創設。以後3年毎の開催を続けており、今回が4回目。アジア太平洋地域における初のヴィオラ単独の国際コンクールでもある。今回は、22の国と地域から83名の応募があり、予備審査により選出された演奏家32名がステージに立った。審査委員長は今井信子、副審査委員長にアントワン・タメスティ。そのほかハリオルフ・シュリヒティヒ、パメラ・フランク、野平一郎が審査委員を務めた。 今井は「今回も前回に増してレベルが高いコンクールでした。加えて課題曲も9曲と多く、皆、決死の覚悟で遠くまで来てくれたと思います」とコメント。また、タメスティは「“比べる”ということが大変難しかった。審査委員も聴きながら、感動し成長することができたと思いました。個人的に、ヴィオラという楽器がここまでの高みにくることができたということが実感でき嬉しかったです」と述べた。東京国際ヴィオラコンクールhttp://tivc.jp/■訃報:ハンス=マルティン・シュナイト氏 バッハ作品をはじめとする宗教音楽の権威として知られるドイツの指揮者、ハンス=マルティン・シュナイト氏が5月28日に死去した。87歳。 1930年、バイエルン州キッツィンゲン生まれ。ライプツィヒで育ち、10歳で聖トーマス教会合唱団メンバーに。ミュンヘン音楽演劇大学で学んだ後、63年からはヴッパータール交響楽団の音楽監督を20年以上務めた。また、カール・リヒターの後を継ぎ、84年から2001年まで永年にわたりミュンヘン・バッハ合唱団・管弦楽団の芸術監督を務め、宗教音楽家としての地位を不動のものとした。 日本にも縁が深く、1990年に初来日。2002年には、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者に就任。その後、07年から09年まで同団の第3代音楽監督を務めた。また、教育者としては、ミュンヘン音楽演劇大学で指揮と教会音楽を教えたほか、東京藝術大学でも客員教授を務めた。 バッハ、シュッツ、モーツァルト、メンデルスゾーンなど教会音楽の録音多数。また、神奈川フィルとも、ヴィヴァルディ「四季」、ベートーヴェン「運命」「田園」などのCDをリリースし、合唱ファン、オーケストラ・ファンの双方から愛された。撮影:青柳 聡
元のページ
../index.html#140