eぶらあぼ 2018.7月号
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152■第10回 浜松国際ピアノコンクール 記者発表 今年11月8日〜25日に行われる第10回 浜松国際ピアノコンクールの記者発表が6月1日に都内で開催され、実行委員会長を務める鈴木康友・浜松市長と審査委員長の小川典子が登壇した。 同コンクールは1991年にスタート。これまでに、ラファウ・ブレハッチやチョ・ソンジンなど数々のスターを輩出し、国際的にも高い評価を得ている。また、このコンクールをモデルとして若きピアニストたちの奮闘を描いた恩田陸の小説『蜜蜂と遠雷』が、直木賞と本屋大賞をダブル受賞したことでも話題を呼んだ。今年は第10回の節目を迎える。 小川は、5月下旬に行われたDVDによる予備審査の手応えを以下のように語った。 「専門委員4名で、361通りの渾身の演奏を聴き、審査は困難を極めました。匿名性を重視し、名前・経歴・国籍も伏せ、審査中は一切のディスカッションをせず、映像と音だけで審査を実施しました。11月の本番は、大変なレベルになるだろうと予想しています」 この日の会見では、出場承認者の発表も行われた。37ヵ国1地域382名の応募者の中から、21ヵ国1地域の95名が出場を承認された。優勝者には、賞金300万円のほか、国内外での演奏ツアーが副賞として与えられる。 出場者に向けて、小川は次のようにエールを送った。 「浜松から世界へ羽ばたいてほしいというのが一番です。課題曲にかなり自由な部分がありますので、コンクールを自分の色に染めることも可能。ですから、できるだけ個性を発揮して世界にそのまま通用する演奏家が現れれば良いなと思っています」 なお、計11名の審査委員のうち、当初予定されて■読響次期常任指揮者セバスティアン・ ヴァイグレ記者会見 読売日本交響楽団(以下、読響)は、ドイツの指揮者セバスティアン・ヴァイグレが2019年4月1日より第10代常任指揮者に就任することを発表した。5月28日、都内で会見が開かれた。任期は22年3月末までの3年間となる。現在、フランクフルト歌劇場の音楽監督のポストを務める傍ら国外の著名楽団に客演し、オペラとシンフォニーの両輪で活躍している。読響とは16年に初共演し絶賛され、ドイツものなど保守本流の作品の指揮を望まれての就任となった。 1961年ベルリン生まれ。ハンス・アイスラー音楽大学でホルン、ピアノ、指揮を学び、最初はホルン奏者としてキャリアをスタートさせたが「シュターツカペレ・ベルリン在籍中に、シェフだったダニエル・バレンボイムのアシスタントを務めたことがきっかけ」で指揮者の道に転向した。 そんなヴァイグレだが、読響への印象を次のように語る。 「ポテンシャルの高いオーケストラだと思います。団員が100パーセントの力を発揮する。これはドイツでもなかなか無いこと。このオケから作品に相応しい響きを引き出したいと考えています」 2019年の最初のシーズンでは、5月にブルックナー交響曲第9番、ヘンツェの「7つのボレロ」、ブラームス交響曲第4番、ベートーヴェン「英雄」など。9月にはハンス・ロットの交響曲(第1番)とメンデルスゾーン「イタリア」、マーラー交響曲第5番に取り組む。20年にはR.シュトラウスの「英雄の生涯」とブラームスの交響曲第1番も予定している。 「演目については事務局側と念入りに相談し、ドイツ・ロマン派の作品を中心に演奏します。とくにロットの作品を世に紹介するのは私の使命だと思っています。協奏曲のソリストには将来有望な新人を招きたいですね」 また「フランクフルト歌劇場と提携して、演奏会形式でのオペラを実現させたい」と抱負を述べた。読売日本交響楽団http://yomikyo.or.jp/会見から 左より:鈴木康友、小川典子 Photo:I.Sugimura/Tokyo MDE会見からPhoto:I.Sugimura/Tokyo MDE
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