eぶらあぼ 2018.5月号
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82第4回高松国際ピアノコンクール優勝記念 古ふるみ海行やすこ子ピアノリサイタル日本人初制覇の快挙を果たした逸材が早くも凱旋公演!文:萩谷由喜子5/9(水)19:00 浜離宮朝日ホール問 全日本ピアノ指導者協会03-3944-1583http://www.piano.or.jp/concert/yp/10s/vol19/ ピアノ・ファンなら、古海行子の名をご存知の方も多いだろう。今春、昭和音楽大学3年生に進級したばかりの20歳の古海は、少女時代から多くのシーンで活躍してきた。筆者は2015年ワルシャワで開催された第17回ショパン国際ピアノコンクールで彼女の名と演奏を記憶したが、その彼女と再び出会ったのは、この3月、香川県高松市で開催された第4回高松国際ピアノコンクールの取材時だった。32の国と地域から332人が応募して41名が出場許可され、20名、10名へと絞られていく。そこから選ばれたファイナリスト5名中の最年少が古海だった。リストのピアノ協奏曲第1番という、短いながらテクニックの詰まった個性的な協奏曲を選んだ彼女は、輝きのある明澄な音で起伏に富んだ演奏を繰り広げ、見事優勝の栄冠を勝ち得た。これは同コンクール創設以来、初めての日本人優勝という快挙でもあった。 その余韻冷めやらぬ5月9日、彼女の凱旋リサイタルが浜離宮朝日ホールで開催される。コンクールの第2次審査で快演したシューマンのピアノ・ソナタ第3番ヘ短調を核として他に数曲を独奏し、さらに、コンクールの第3次審査で審査員たちから高く評価されたシューマンのピアノ四重奏曲変ホ長調も聴かせる、というプログラムだ。旬の高松の覇者が、独奏者、室内楽奏者という二つの顔を披露する一期一会の機会となる。ぜひ、多くの方にお聴きいただきたい。©BANAZO神と音と写“神域”写真と即興音楽が前代未聞のコラボ!文:藤本史昭6/3(日)15:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp/ 山岸伸といえば写真愛好家なら知らぬ者はないポートレート・フォトの大巨匠。特に現在50代から60代にかけての男性は、若かりし日、少年/青年誌のグラビア・ページにクレジットされた彼の名を目にした人も少なくないはずだ。その山岸が近年取り組んでいるのが、賀茂別雷神社(上賀茂神社)、靖國神社など“神域”の撮影。通常は足を踏み入れることのできない俗世と隔絶された異空間を、唯一無二の感性で写し撮ったその写真は、後世への貴重な記録であると同時に、観る者の心に強い情動をもたらす芸術作品として大きな反響を呼んでいる。 そんな彼の神域写真と音楽がコラボする前代未聞のコンサート「神と音と写」がHakuju Hallで行われる。これは、スクリーンに映し出される山岸の作品を見ながら演奏者が即興演奏を繰り広げるというもので、写真と“共演”するのはサクソフォンの平野公崇とピアノの山田武彦。ご存知のとおり、この2人はクラシックに軸足を置きながら他ジャンルも縦横に行き来する音楽家で、とりわけ即興演奏に関しては名にし負う達人だが、写真という普段の演奏ではあまりインプットされることのない視覚情報から、果たして彼らがどのようなインスピレーションを受け取り、それをどう具現化し、そうして発せられた音は写真とどう共鳴し、観客の心にどのような作用を引き起こすのか…。写真ファン、音楽ファン、そして神社仏閣ファン、必見必聴のコンサートだ。平野公崇©ノザワヒロミチ(CAPSULEOFFICE)山田武彦 ©佐藤 亘山岸 伸

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