eぶらあぼ 2018.5月号
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66川崎・しんゆり芸術祭 アルテリッカしんゆり2018 トリオ・リベルタ刺激的な“愛と官能”のサウンドを文:宮本 明4/30(月・休)14:00 麻生市民館問 アルテリッカしんゆりチケットセンター044-955-3100http://www.artericca-shinyuri.com/ ヴァイオリン石田泰尚、ピアノ&ヴォーカル中岡太志、サクソフォン松原孝政。クラシックをバックグラウンドに持つ3人の名手が、その枠に捉われることなくマルチな領域で活動する「トリオ・リベルタ」。今年10周年を迎える「川崎・しんゆり芸術祭(アルテリッカしんゆり)」(4/21~5/13)に出演する。 「アルテリッカしんゆり」は小田急線・新百合ヶ丘駅を中心とする川崎市麻生区周辺を会場に、毎年ゴールデン・ウィークをはさんだ日程で開かれるアート・フェスティバル。昭和音楽大学や日本映画大学、さらには日本オペラ振興会(藤原歌劇団・日本オペラ協会)や劇団民藝などが本拠を置く土地柄を反映して、オペラ、コンサートから、バレエ、演劇、伝統芸能、落語まで幅広いプログラムが繰り広げられる。年を追うごとに規模を拡大し、今年は31演目40公演。開催初年は8人だった市民ボランティアも約200人まで増え続け、地元住民にも密着したイベントとして定着している。 2014年以来連続出演して、このフェスの顔のひとつになりつつあるトリオ・リベルタ。もともとは00年に、ピアソラを演奏するために結集した3人だが、タンゴにとどまらず、この変則的な編成であらゆるレパートリーをバリバリ弾く。今回は「愛と官能」がテーマ。彼らのルーツであるピアソラから、シャンソン、マーラーやラフマニノフまで、お行儀よく並んだ音符を聴くのとは違う、クールでエロスと官能に満ちた世界に浸らせてくれるはず。スタンディングも歓声もありだろう。神奈川フィルハーモニー管弦楽団 みなとみらい小ホール特別シリーズ親密な空間でのブランデンブルク協奏曲全曲演奏文:山田治生第1回 7/19(木)、第2回 7/20(金)各日19:00 横浜みなとみらいホール(小)問 神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107 http://www.kanaphil.or.jp/ 昨年11月にモンテヴェルディの大作オペラ《ポッペアの戴冠》を指揮し、12月には神奈川フィルの「第九」で急病の鈴木秀美の代役を急遽務め、今年2月にはバッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会に指揮デビューしてバッハの「ヨハネ受難曲」を振るなど、目覚ましい活躍を続ける鈴木優人。そんな彼が、神奈川フィルで今年から始まる「みなとみらい小ホール特別シリーズ」の第1回と第2回に登場する。 同シリーズは、小ホールの親密な空間を使った、神奈川フィルの室内オーケストラによるコンサート。最初の2回で、バッハの「ブランデンブルク協奏曲」全曲(第1回が第1、3、5番、第2回が第2、4、6番)とストラヴィンスキーの「プルチネルラ」組曲(両回とも)を演奏する。バロックを得意とする鈴木ならではのプログラムといえよう。 「ブランデンブルク協奏曲」では、近年、若手実力者が加わった神奈川フィルの主力メンバーのソロが楽しみである。「プルチネルラ」組曲は、ペルゴレージら18世紀イタリアの楽曲を土台にした擬古典的な作品。6月に調布国際音楽祭で優人の父・鈴木雅明がフェスティバル・オーケストラで同じ曲を指揮するだけに、“父&子”での聴き比べもできるので興味津々だ。鈴木は、前述の「第九」だけでなく、昨年4月の音楽堂シリーズで、バッハ「チェンバロ協奏曲」、ハイドン交響曲第101番「時計」、ベートーヴェン「レオノーレ」序曲第2番を共演するなど、神奈川フィルと厚い信頼関係で結ばれている。親密な空間での神奈川フィルの新シリーズに注目したい。鈴木優人 ©Marco Borggreve左より:松原孝政、石田泰尚、中岡太志

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