eぶらあぼ 2018.5月号
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58タンブッコ(パーカッション・アンサンブル)地球の“パルス”を伝える取材・文:寺西 肇Interview あらゆる“モノ”が叩き尽くされ、多様な音の世界を創造していく。衝撃的なパフォーマンスで聴衆を圧倒、グラミー賞ノミネートも4度というメキシコの世界的パーカッション・アンサンブル「タンブッコ」が、新アルバム『大地のにおい』を発表。「私たち打楽器奏者は、色々な意味で先駆者。誰も通ったことのない道を歩んでいます」——アーティスティック・ディレクターのリカルド・ガヤルドは語る。 「常に探検し、音楽の可能性を聴衆と分かち合う。そのために、私たちを取り巻く現実世界と想像上の世界という、2つの世界を表現しようと試みます。その過程で音楽の新たな表現方法、または他ジャンルの音楽・芸術と共通する“言語”を発見する。これは音楽が何世紀にもわたって可能にしてきたことです」 1993年、メキシコ大学で学んだ奏者4人で結成。グループ名は、メキシコの作曲家カルロス・チャベズが64年に書いた、打楽器のための作品から採った。 「タンブッコが歩む道は、前衛的である場合が多く、そこで新たな音を見つけます。しかし時には過去へ遡り、素晴らしいソノリティ(響きの様態)を発見し、その作品の再解釈へ挑むのです」 新アルバムのタイトル曲は、植木鉢やボトル、パイプなどあらゆるモノを叩き、「地球が誕生した過程を“圧縮”した」という。 「楽器の性質の根幹に“パルス”(鼓動)がある打楽器は、生命の原始的なカタチを具現化したものともいえます。パルスは宇宙の至る所にあり、私たち自身にも存在します。この曲は音楽はもちろんのこと、楽器自体も様々なパルスと繋がっています」 さらに、「西洋音楽的な弦楽の表現を、どう打楽器に置き換えるかに腐心しました。その結果、どんな楽器で演奏しても偉大な音楽の価値は不変だと証明できたはずです」と自信を見せるラヴェルの四重奏曲の第2楽章、「打楽器の発展にとって重要」と評するライヒ、邦楽器を交えた松尾祐孝の作品など、全5曲を収録。目まぐるしく移り変わるパルスは刺激的で、一瞬たりとも“耳”が離せない。そして、特に感じるのは、強烈な色彩感だ。 「このアルバムは“架空のアートギャラリーへの招待状”と解釈できるかもしれません。この“ギャラリー”では作品ごとに違った色彩だけではなく、質感や技巧、絵の具の量(音量)、そして具体性と抽象性との対比をも感じることができるはずです」 「楽器」という枠組すら、超越してしまったようなタンブッコ。 「貴重なストラディヴァリウスも、楽器以前に単なる“モノ”。素晴らしい音で奏でられて、貴重な“モノ”となる。つまり、モノと偉大な楽器の違いとは、楽器(モノ)の良さを引き出す作曲家と、それを表現できる奏者がいるかどうか。優れた打楽器奏者は、すべてのモノに秘められた物語や音を引き出せなければなりません」 「京都岡崎音楽祭 2018 OKAZAKI LOOPS」での公演も要チェックだ。6/5(火)19:00 ヤマハホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント  03-3552-3831http://www.pacific-concert.co.jp/マチュー・デュフォー フルート・リサイタル欧米の頂点を極めた名手が奏でる母国音楽の真髄文:柴田克彦©ヤマハ株式会社 ベルリン・フィル&シカゴ響の欧米2強を制覇した驚異のフルート奏者、マチュー・デュフォーが、2年ぶりにリサイタルを行う。1972年パリに生まれた彼は、トゥールーズ・キャピトル国立管の首席奏者、パリ・オペラ座管のスーパー・ソロイスト、シカゴ響の首席奏者を経て、2015年9月ベルリン・フィルの首席ソロ奏者に就任し、世界最高の機能を有する2大楽団の首席の座を歴任することと相なった。 彼の強みは、圧倒的な技巧とダイナミクスに加えて、仏米独の環境に身を置き、オペラの演奏をも経験したがゆえの幅広い音楽性。その雄弁な表現力で楽曲の魅力をナチュラルに堪能させてくれる。しかも今回は、ヴァレーズ、フォーレ、ドビュッシー、ゴーベール、フランクの無伴奏曲や小品から本格ソナタに至る、近代フランス(系)プログラム。真の語法を身に付けた母国の音楽だけに、気品とエスプリ漂う王道演奏で聴く者を魅了すること間違いなしだ。ここは、333席の親密な空間に響く艶やかな音色と絶妙な節回しに、心置きなく酔いしれたい。ピアノは浦壁信二。タンブッコ・パーカッション・アンサンブル コンサート6/23(土)、6/24(日)各日13:00 ロームシアター京都 ノースホール問 ロームシアター京都075-746-3201http://www.mbs.jp/okazaki-loops/ 5/12(土)発売CD『大地のにおい』マイスター・ミュージックMM-4032¥3000+税4/25(水)発売

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