eぶらあぼ 2018.5月号
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51第11回 トッパン チャリティーコンサートカール=ハインツ・シュッツ(フルート) & シャルロッテ・バルツェライト(ハープ)音楽のチカラで人々の輪を広げたい!文:笹田和人6/1(金)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター 03-5840-2222http://www.toppan.co.jp/charityconcert/ 途上国での識字能力の向上を支援するため、世界的な総合印刷企業である凸版印刷が開いている「トッパン チャリティーコンサート」。その第11回には、フルートのカール=ハインツ・シュッツ、ハープのシャルロッテ・バルツェライトという“ウィーン・フィル首席コンビ”が登場し、バロックからタンゴまで、名旋律の数々を紡ぎ上げる。 明治33年の創業以来、印刷を通じて、情報や文化の普及・発展にも力を注ぐ凸版印刷。チャリティーコンサートは2008年から毎年開催され、その収益をユネスコ・アジア文化センターに寄附し、カンボジアでの識字能力向上のための教育支援を成功に導くなど、着実に成果を挙げている。 シュッツは11年にウィーン・フィルと同国立歌劇場管の首席奏者となり、名ソリストとして、さらにウィーン・リング・アンサンブルのメンバーとしても、卓越した技巧と音色を披露。かたや、バルツェライトは十数年にわたってウィーン・フィルで活躍、その女性奏者の先駆けでもあり、折々に印象的な美音を刻んできた。 この日のステージは、ヘンデル「ソナタ ハ長調」で幕開け。サン=サーンス「幻想曲」やドップラー&ザマラ共作の「カジルダ幻想曲」、クラ「二重奏による組曲」、ピアソラ「タンゴの歴史」、バルトーク(アルマ編)の「ハンガリー農民組曲」と、ある時は美しい旋律を前面に、ある時は技巧を凝らし、色彩豊かな音の花を咲かせてゆく。日本でもファンが多い2人の共演だけに、名演を大いに期待できよう。シャルロッテ・バルツェライトピエタリ・インキネン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団“イタリア”にちなむ爽快で冴えたプログラム文:飯尾洋一第701回 東京定期演奏会6/15(金)19:00、6/16(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 http://www.japanphil.or.jp/ 首席指揮者ピエタリ・インキネンと日本フィルが6月の東京定期演奏会で披露するのは、メンデルスゾーンとシューベルトを並べたロマン派音楽のプログラム。これまでブルックナーやワーグナーといった大曲で評判を呼んできたインキネンだが、今回はロマン派時代にあって古典的スタイルをリスペクトした二人の作曲家をとりあげる。 キーワードは“イタリア”。シューベルトのイタリア風序曲第2番、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第2番と交響曲第4番「イタリア」の3曲が演奏される。シューベルトのイタリア風序曲第2番は、当時ウィーンで大旋風を巻き起こしていたロッシーニからの影響がうかがえる作品。内気なシューベルトが底抜けの陽気さを装うかのような面白さがある。イタリアからの風に吹かれたシューベルトに対して、メンデルスゾーンは自らイタリアに赴いて現地の芸術や自然に触れた作曲家。旅先から受けたインスピレーションは、交響曲第4番「イタリア」という大傑作に結実した。イタリアの舞曲サルタレッロが用いられた終楽章はスリリング。インキネンと日本フィルのコンビが清新な演奏を聴かせてくれることだろう。 メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第2番で独奏を務めるサリーム・アシュカールは、近年デッカ・レーベルでこの曲をシャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とともに録音した実力者。多面的な性格を持つこの協奏曲の魅力を存分に味わいたい。サリーム・アシュカール ©Luidmila Jermiesカール=ハインツ・シュッツピエタリ・インキネン ©堀田力丸
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