eぶらあぼ 2018.5月号
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49ジョアン・ファレッタ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団20世紀アメリカ音楽の諸相をめぐって文:山田治生♯15 ルビー〈アフタヌーン コンサート・シリーズ〉5/18(金)、5/19(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp/ アメリカを代表する女性指揮者の一人であるジョアン・ファレッタが新日本フィルの「ルビー」(アフタヌーン コンサート・シリーズ)に登場する。彼女は、現在、バッファロー・フィルとヴァージニア交響楽団の音楽監督を務め、ナクソス・レーベルに近現代作品やアメリカの管弦楽曲の録音を数多く残している。 今回の来日でも、オール・アメリカン・プログラムを披露する。バーバーの交響曲第1番は、コープランドの第3番と並んで、アメリカの交響曲のなかで最も著名なものといえるだろう。ブルーノ・ワルターもレパートリーとした20分弱の単一楽章の交響曲。ガーシュウィンのピアノとオーケストラのための作品といえば、「ラプソディ・イン・ブルー」が思い出されるが、ガーシュウィンはその後本格的なピアノ協奏曲を書いている。「ラプソディ・イン・ブルー」ではオーケストレーションをグローフェに助けてもらったが、「ピアノ協奏曲 へ調」では自身でオーケストラ・パートも書いた。ガーシュウィンにとって、相当の意欲作である。日本を代表するジャズ・ピアニスト、山下洋輔の即興的な独奏も楽しみだ。アーロン・ジェイ・カーニス(1960年生まれ)は、調性に基づく美しい作品を書く、現代アメリカの作曲家。「ムジカ・セレスティス」も静謐で感動的な作品だ。そして締めくくりは、アメリカの大自然に生きる人々を描く、コープランドのバレエ組曲「アパラチアの春」。アメリカ音楽の魅力が満喫できる演奏会となるに違いない。山下洋輔 ©Jimmy & Dena Katz京響スーパーコンサート ミッシャ・マイスキー × 京都市交響楽団世界的チェリストと京響との共演が実現!文:伊熊よし子9/5(水)19:00 京都コンサートホール問 京都コンサートホールチケットカウンター075-711-3231http://www.kyotoconcerthall.org/ 「私はドヴォルザークのチェロ協奏曲を若い頃から弾いてきました。もっとも多く演奏しているコンチェルトといっても過言ではありません。コンクールでも取り上げ、あまりにも個性の強い作品ゆえ、審査員に評価されないこともありました。でも、時が経つとまた弾いてしまう。この曲は私の一部ですから」 ラトビア出身の名チェリスト、ミッシャ・マイスキーは、ドヴォルザークのチェロ協奏曲をこんな言葉で表現する。マイスキーの血となり肉となった自家薬籠中のコンチェルトが、京都市交響楽団と世界のトップアーティストとの共演が実現する「京響スーパーコンサート」で演奏されることになった。 ドヴォルザークのチェロ協奏曲はこのジャンルの最高傑作のひとつに数えられ、ハイドン、シューマンとともに「3大チェロ協奏曲」と呼ばれることも多い。曲はソリストの技巧を誇示するものではなく、オーケストラとの自然な融合のなかでチェロの持ち味が存分に発揮できるように書かれ、古典形式に根を下ろした楽想から豊かな色彩が生み出されていく。 今回はオール・ドヴォルザーク・プログラムで、広上淳一と京響が演奏する交響曲第8番で幕開け。この曲はチャイコフスキーとの親交を深めていた時代に書かれ、ロシアで国外初演も行われた。郷土色満載で、民族舞踊的な主題が印象的である。ボヘミアの素朴で、自然に根差した美しい旋律は聴き手の心にゆったりと浸透してくる。その妙味を堪能したい。広上淳一 ©Greg Sailorジョアン・ファレッタミッシャ・マイスキー ©Hideki Shiozawa

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