eぶらあぼ 2018.5月号
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44 ©鈴木 恵ミハイル・プレトニョフ(指揮) ロシア・ナショナル管弦楽団チャイコフスキー:歌劇《イオランタ》(演奏会形式) 他6/12(火)18:30 サントリーホール大西宇宙 バリトン・リサイタル 6/19(火)19:00 浜離宮朝日ホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/ ニューヨークのジュリアード音楽院で4年間学び、2015年より名門シカゴ・リリック・オペラに所属。アンサンブル・キャストとして活躍しつつ、全米で放送された世界初演オペラ《Bel Canto》には主要キャストで出演も果たした、バリトンの大西宇宙。 「リリック・オペラは劇場が大きく、定番の人気作品から現代ものまでレパートリーも幅広い。スタッフや聴衆の耳も肥えています。最初にいただいた大きな役はオネーギン。途中降板した歌手に代わって終幕だけの出演でしたが、それで信頼を得て、いろんな役をやらせてもらえるようになりました」 そんな期待の若手バリトンが6月に来日し、プレトニョフ指揮&ロシア・ナショナル管によるチャイコフスキーの歌劇《イオランタ》(演奏会形式)でロベルト公爵役を演じ、その1週間後には待望の本格的なソロ・リサイタルに挑む。ピアノは筈井美貴。 「チャイコフスキーのオペラの、どこかクセのあるバリトン役を演じるのが楽しみです。また、浜離宮朝日ホールでのリサイタルは、米国での8年に及ぶ修業時代の集大成になるようなプログラムを組みました」 リサイタルの曲目で先ず目を惹くのは、シェイクスピアのテキストに20世紀前半、英国のフィンジが作曲した5曲からなる「花束を捧げよう」や、3曲からなるラヴェルの「ドゥルシネア姫に想いを寄せるドン・キホーテ」などの連作歌曲。 「大学院の後に通った養成スタジオで演劇メソッドの指導を受けました。特にシェイクスピアの長い台詞はみっちり憶えさせられたし、フランス語はジュリアードの隣のMETから来たコーチに厳しく仕込まれました。もともと、世界中から才能が集まるニューヨークでなら、様々な言語で多様なジャンルを学べると思って留学先に選んだのです」 オペラ・アリアもプーランク《ティレジアスの乳房》のプロローグや、コルンゴルト《死の都》第2幕の〈私のあこがれ〉(ピエロの唄)に加えて、ベルカント・オペラやモーツァルトまで、多彩にして盛り沢山。 「やはりイタリア語のオペラは外せない。《コジ・ファン・トゥッテ》と《ドン・ジョヴァンニ》は舞台でも演じました」 注目はロシアもの。リムスキー=コルサコフやラフマニノフの歌曲にチャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》のオネーギンのアリアまで圧巻だ。 「昨年11月に55歳の若さで亡くなられたロシア人のバリトン、ディミトリー・ホロストフスキーさんが昔から僕の憧れ…何と誕生日も同じなのです! 彼から多くのことを学びました。シカゴでお会いした時のことが今も忘れられません。今回の公演を彼に捧げたいと考えています」シューベルト・プラス 第4回 田部京子 ピアノ・リサイタル鮮やかなドイツ・ロマン派の響き文:飯田有抄 田部京子の「シューベルト・プラス」が今年も開かれる。2016年、シューベルトの命日である11月19日にスタートし、翌年の7月、そして再び命日と続けられ、来たる6月22日に4回目を迎える。過去3回はシューベルトの晩年のソナタ(第18、19、20番)を1作ずつ取り上げてきたが、今回はコンサートの幕開けに「4つの即興曲D935」を聴かせる。4曲でひとまとまりの大きなソナタとも捉えられるシューベルト晩年の大曲を、リリカルで内省的な田部のピアノがじっくりと伝えてくれるだろう。“プラス”6/22(金)19:00 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/©Akira Mutoと銘打つとおり、本シリーズではシューベルトの作品に加えて、古典・ロマン派の優れた作品も紹介される。今回登場するのは、メンデルスゾーンとシューマンという同時代人。田部はメンデルスゾーンの「夏の名残のばら」による幻想曲、そしてシューマンの「謝肉祭」という、両者の若かりし時代の作品を選んだ。鮮やかなるドイツ・ロマン派の響きにも酔いしれたい。話題の新星バリトン、本格“来日公演”が実現!取材・文:東端哲也Interview大西宇たかおき宙(バリトン)
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