eぶらあぼ 2018.5月号
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43オーストラリア室内管弦楽団(ACO) 特別公演 Australia now 2018大胆不敵! 世界を席巻する南半球発のニューウェーブ文:オヤマダアツシヴィヴァルディ「四季」 5/29(火)19:00バルトーク「弦楽のためのディベルティメント」 他 5/30(水)19:00よみうり大手町ホール問 読売新聞東京本社ホール企画部03-6739-5838 http://yomi.otemachi-hall.com/ オーストラリアが、未知の演奏家たちや作曲家たちの宝庫であることを知る人は、まだまだ少ない。好奇心さえあれば新鮮かつ創造性に富んだ演奏や作品を聴くことができるのだが、残念なことに日本でその音楽に接するチャンスが少ないことも事実だ。それゆえ『オーストラリア now 2018』と題された文化交流プログラムの一環として、5月末に来日公演を行うオーストラリア室内管弦楽団は、ぜひとも聴いておくべき存在だといえる。 1970年代より活動を続けているオーストラリア室内管は、ヨーロッパ室内管弦楽団をはじめとする多くの室内オーケストラと同様に注目されている。バロックから現代まで幅広く多彩なレパートリーを有し、それらを柔軟に組み合わせてプログラムを組むなど、その先鋭的な活動はもっと評価されていい。 今回の来日公演でもまず5月29日には、アラブのウード(リュートのルーツ的な弦楽器)およびリック(打楽器)による演奏を交えてヴィヴァルディの「四季」を。不思議なコントラストから生まれる実験的なコンサートを行う。その一方で5月30日のコンサートでは、アンサンブル能力の高さと豊かな音楽性を証明するバルトークやJ.S.バッハ、このオーケストラのために書かれたヴァスクスの瞑想的かつ劇的なヴァイオリン協奏曲風の「愛の声」ほかを演奏。好奇心旺盛な方であれば、オーストラリアの音楽シーンに開眼する印象的な二夜になるはずだ。©Wolter Peeters飯森範親(指揮) 東京交響楽団反ナチ・オペラ《白いバラ》、ついに本邦初演!文:江藤光紀第660回 定期演奏会 5/26(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp/ 第二次世界大戦が激しさを増すさなか、ヒトラーのお膝元、ドイツ・ミュンヘンで反ナチ活動を行った学生たちがいた。ゲシュタポに捕らえられた彼らは騒乱の罪で即座に処刑されるが、その活動は戦後、「白いバラ」抵抗運動として広く知られていく。 ことの顛末は書籍や映画など様々に語られているが、作曲家、プロデューサー、劇場支配人として辣腕を振るってきたウド・ツィンマーマン(オペラ《兵士たち》で知られるB.A.ツィンマーマンとは別人)はこれを2度にわたりオペラに仕立ている。これが《白いバラ》だ。 今回日本初演されるのは2人の歌手と15人のアンサンブルのために書かれた1985年版。運動の首謀者として真っ先に捕まったショル兄妹の刑執行に至るまでの心の動きを強い緊張感で克明に描き、世界中で再演されている。 また、シュトゥットガルト州立歌劇場の専属歌手・角田祐子がゾフィー役を歌うのも見どころ。ドイツのオペラ界を席巻する角田は日本ではまだまだ知られていないが、その実力を体感する絶好のチャンスが到来した。ゾフィーの兄ハンスを歌うクリスティアン・ミードルはすでに役を手中にしており、ドイツでの活動経験豊富な飯森範親のタクトの下、密度の濃い共演が期待できる。 前半に演奏されるヘンツェの「交響的侵略~マラトンの墓の上で~」(2001)は1950年代に書かれたバレエ音楽「マラトン」を下敷きに、絢爛たる音の絵巻物を万華鏡のように繰り広げる、一種の巨大管弦楽のコンチェルト。15分の持続をひたすら爆走する、アドレナリン大放出のパワフルかつゴージャスな音楽だ。クリスティアン・ミードル飯森範親 ©S.Yamagishi角田祐子 ©Martin Sigmund

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