eぶらあぼ 2018.5月号
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201コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報ぶらPAL今月の注目公演公演情報7月+夏の音楽祭(その1)の見もの・聴きもの2018年7月の曽そし雌裕ひろかず一 編●【7月の注目オペラ公演】(通常公演分) 若干マニアックではあるが、ベルリン州立歌劇場で上演されるシャリーノの「Ti vedo, ti sento, mi perdo(君を見て、君を感じて、私は我を忘れる)」や、シュトゥットガルト歌劇場で世界初演される細川俊夫の「Erdbeben.Träume(地震・夢)」といった現代作品は注目公演。他方、古楽系ではベルリン州立歌劇場とチューリッヒ歌劇場で競合するモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」が要注目。前者はファソリス指揮ベルリン古楽アカデミーの演奏、後者はビエイトの演出が興味を呼ぶ。同じビエイトの演出作品ではベルリン・コーミッシェ・オーパーのシュレーカー「烙印を押された人々」も一押し。人気アーティスト系では、ネトレプコがベルリン州立歌劇場のヴェルディ「マクベス」(これにはドミンゴも出演)、バーデン・バーデン祝祭劇場のチレーア「アドリアーナ・ルクヴルール」(ゲルギエフ指揮)に出演するが、チケットはおおむね完売か。ヴィリャソン、フォークトの出る「魔笛」(バーデン・バーデン祝祭劇場)、ムーティ指揮のヴェルディ「マクベス」(フィレンツェ)あたりなら間に合うか。●【7月の注目オーケストラ公演】(通常公演分) 7月のオーケストラ公演では、ケント・ナガノ指揮バイエルン放送響のメシアンとブルックナー、E.ツー・グッテンベルク指揮バンベルク響のモーツァルト「レクイエム」、ロト指揮のケルン・ギュルツェニヒ管(パユ独奏のマヌリのフルート協奏曲)、藤村実穂子の出演するルイージ指揮フィルハーモニア・チューリッヒのメンデルスゾーン「エリア」などが要注目公演。同じチューリッヒでダントーネ指揮ラ・シンティッラ管が演奏するカルダーラのシンフォニア第3番「アベルの死」やポルポラの「サルヴェ・レジナ」も珍しい。●【夏の音楽祭】(7月分)〔Ⅰ〕オーストリア 「ザルツブルク音楽祭」(7月分)では、ケント・ナガノがモントリオール響と演奏するペンデレツキの「ルカ受難曲」や、サヴァール、ヘレヴェッヘ、ルクスらの指揮する一連のコンサート・シリーズ「Ouverture spirituelle・Passion」が面白そう。イザベル・ファウストのヴァイオリン、フォン・デア・ゴルツのチェロ、ベザイデンホウトのチェンバロによるトリオもこのシリーズに属している。オペラでは、ウェルザー=メストの指揮、ウィーン・フィルの演奏によるR.シュトラウス「サロメ」の人気が高い。ベアート・フラー作曲の音楽劇「Begehren」も注目作品。 一方、湖上オペラで有名な「ブレゲンツ音楽祭」では、昨年に続いて湖上で上演される「カルメン」より、祝祭劇場で演奏されるゴルトシュミット「ベアトリーチェ・チェンチ」の方が個人的には興味を惹く。シュティリアルテ音楽祭は、ピアノのエマールと古楽のサヴァールが今や中心アーティスト。ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスは、アーノンクール時代にチェンバロを弾いていたシュテファン・ゴットフリートが事実上の後継指揮者となっている。風光明媚な場所で開催されるケルンテンの夏音楽祭では、古楽アンサンブル、ラ・ヴェネクシアーナが聴きもの。〔Ⅱ〕ドイツ 「ミュンヘン・オペラ・フェスティバル」では、キリル・ペトレンコの振るワーグナー「パルジファル」と「ニーベルングの指環」ツィクルスが圧倒的人気で、チケットはすでに完売。彼はプッチーニの三部作(外套/修道女アンジェリカ/ジャンニ・スキッキ)も振るが、これが予想に反して素晴らしい(昨年12月にプレミエを出し同劇場の「STAATSOPER.TV」でも配信された)。こちらも重要公演。 「バイロイト音楽祭」の今年のプレミエはティーレマン指揮の「ローエングリン」。当初噂されていたエルザ役でのネトレプコのバイロイト・デビューは結局なくなったが、それでもチケットは他の演目を圧倒して即完売状態(代金が他の演目より高いにもかかわらず!!)。また、昨年で終了した「リング」から「ワルキューレ」だけをドミンゴの指揮(彼は歌わない)で再演するという企画もあるが、さてバイロイトの目指すものは何だろうか。「シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭」では、本来NDRエルプ・フィルと共に開幕演奏会を振るはずであったろうヘンゲルブロックが同オケの音楽監督を辞任してしまったため、手兵のバルタザール・ノイマン・アンサンブルを率いてシューマンの「ミサ・サクラ」をハンブルク、リューベック、キールの主要3会場で演奏するという皮肉な(しかし楽しみな)結果となった。また、エッシェンバッハの指揮する同音楽祭管弦楽団演奏会には五嶋みどりが出演してシューマンのヴァイオリン協奏曲を弾く。なお、この音楽祭に加え「ラインガウ音楽祭」「キッシンゲンの夏音楽祭」には、話題のピアニスト、グリゴリー・ソコロフが登場する。ちにみに、ドイツで行われる極めてマニアックなロッシーニの音楽祭「ロッシーニ・イン・ヴィルトバート」も毎年紹介しているが、今年も「結婚手形」や「とんでもない誤解」などの初期作品を含めて、意欲的な企画・公演が展開されるている。また、本文中では独立しては記述できなかったが、「メクレンブルク=フォアポンメルン音楽祭」(festspiele-mv.de/)にも、ソヒエフ指揮ベルリン・ドイツ響他の人気アーティストが登場する。〔Ⅲ〕スイス 本文中には、特にスイスの音楽祭として記述したものはないが、スイスの7月中の音楽祭として、グシュタートの「メニューイン音楽祭」(http://www.gstaadmenuhinfestival.ch/)、ヴェルビエの「ヴェルビエ音楽祭」(http://www.verbierfestival.com/)などを紹介しておきたい。〔Ⅳ〕イタリア イタリアではローマ歌劇場の夏の企画である「カラカラ浴場跡」でのオペラ公演が面白い。また「マルティナ・フランカ音楽祭」は、例年意欲的な曲目選択で、玄人好みの音楽祭路線を継承している。今年もヴァッカイの「ジュリエッタとロメオ」やコロンナのオラトリオ「エリシャの預言」などめったに実演に接する機会のない作品と出会うことができる。〔Ⅵ〕フランス 「ボーヌ・バロック音楽祭」は、相変わらず古楽系随一の夏の音楽祭。今年もスピノジ、エキルベイ、ニケ、マクリーシュ、ヤーコプス、ダントーネ、ローレルといった有名指揮者陣が勢揃いするほか、本年の特徴としては、ロッシーニやモーツァルトの有名オペラをラインナップして、古楽オタク的な音楽祭のイメージを若干和らげようとする印象を受けること。「エクサン・プロヴァンス音楽祭」は、秋から新国立劇場音楽監督となる大野和士指揮のプロコフィエフ「炎の天使」(オケはパリ管)が要注目。もちろん、他にもピション指揮の「魔笛」、ルクス指揮のパーセル「ディドとエネアス」、ミッチェル演出のR.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」など好企画が並ぶ。アダメク作曲のアカペラ・オペラ「7つの石」も興味をそそる。「モンペリエ音楽祭」ではボルドー国立歌劇場のプロダクションであるミンコフスキ指揮のオッフェンバック「ラ・ペリコール」が楽しそう。「ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティバル」はピアノ好きには必見・必聴の音楽祭。〔Ⅷ〕イギリス〔Ⅸ〕北欧 イギリス「グラインドボーン・オペラ・フェスティバル」では、ヘアハイムの演出によるドビュッシー「ペレアスとメリザンド」、クリスティの指揮するヘンデル「ジュリオ・チェーザレ」、フィンランド「サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル」では、日本のオケにも客演しているハンヌ・リントゥ指揮のヴェルディ「オテロ」、スウェーデン「ドロットニングホルム・オペラ・フェスティバル」では勅使川原三郎の演出・振付になるラモー「ピグマリオン」が面白そうだ。(以下次号)(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)
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