eぶらあぼ 2018.2月号
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70左より:二塚直紀、山本康寛、竹内直紀、清水徹太郎びわ湖ホール四大テノール 東京公演3/11(日)14:00 東京文化会館(小)問 びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 http://www.biwako-hall.or.jp/ 実力と「笑い」を兼ね備えたびわ湖ホールの超人気ユニット「びわ湖ホール四大テノール」(BST)が、3月、待望の東京単独公演を行なう。清水徹太郎、竹内直紀、二塚直紀、山本康寛。関西を代表する4人のれっきとしたオペラ歌手たちが名曲を熱唱するほか、楽曲をコント仕立てにしたり、あるいはコントそのものの中に歌を盛り込んだり。客席爆笑の公演の様子はテレビを通して関東にも伝えられていたが、いよいよその全貌がヴェールを脱ぐ。 BSTは2010年、当時「びわ湖ホール声楽アンサンブル」のテノール在籍メンバーだった4人で結成した。 「『ラ・フォル・ジュルネびわ湖』の無料公演で依頼されたのがきっかけです。『笑いを』というオファーではなかったのですが、全員関西の大学出身ということもあって、替え歌だとか、最初から今の原型は、勝手に(笑)できあがっていましたね。1回だけのつもりでしたが、お客さんの反響がすごくて、終わった直後にはもう、1年後の出演が決まっていました」 現在はソロ歌手としても活躍中の4人。メンバーの中で一番若手の山本は、4月の藤原歌劇団公演のロッシーニ《ラ・チェネレントラ》で王子ドン・ラミーロ役に抜擢されている。 「オペラ歌手として、アリアや歌曲を高い水準で示したうえでの笑いです。真面目に歌い、真面目に笑わせる。これが大前提。だから実は僕らの売りは笑いではなく、アカデミックな音楽と笑いの“幅”なんです」 たとえばチラシの曲目にある〈大都会〉はクリスタルキングの1980年の大ヒット曲。印象的な“h”や“c”の高音を、もちろん原調で、クラシカルに輝くテノールの競演で聴かせてくれるから、それだけでも大興奮なのだけれど、そこにコントをかましてくるからたまらない。聴こえてくる声と、目に映るコント姿とのギャップに大ウケ必至。原曲を知らない世代のハートもがっちりと摑む貪欲な笑いを提供できるのは、やはり関西人のなせる技だろう。 「東京は大丈夫かなと、ちょっとドキドキしてます。関西は笑いに厳しい半面、『笑いたい』というDNAも強烈にあるので」 和声的には高域に密集したテノール4人だが、4声でハモるオリジナル・アレンジも豊富。また、レッジェーロの山本のほか、ドラマティコ、リリコ、リリコ・レッジェーロと、異なる声質のテノールが揃っているので、それぞれの歌うアリアも自ずと異なるキャラクターの選曲・表現になる「テノール百科」的な要素も。 「歌いやすい曲ではなく、各自の限界を出し切るような高水準のプログラムで東京に乗り込みます。笑いを東京のクールな目で見定めつつ、存分にお楽しみください」第469回 日経ミューズサロン小澤真智子 with アロン・ヤブナイ 旅するヴァイオリン濃厚な情熱で彩るラテン・サウンド文:笹田和人 しなやかな感性を武器に、ジャンルという垣根を軽々と飛び越えるヴァイオリンの小澤真智子が、クラシックからジャズまでマルチに手掛けるグラミー賞受賞ピアニスト、アロン・ヤブナイを伴って日経ミューズサロンに登場。ピアソラ「ブエノスアイレスの四季」全曲を核に、ラテンの熱いサウンドを聴かせる。 東京藝大を経て、ギルドホールとジュリアード両音楽院に学び、メキシコのプロ楽団でコンマスを務めるなど活躍の後、ニューヨークを拠点に活動。脚でステップを踏みつつ演奏する2/19(月)18:30 日経ホール問 日経ミューズサロン事務局  03-3943-7066http://www.nikkei-hall.com/「タップヴァイオリン」をはじめ、独自の音楽スタイルを追求。2015年には「アーバン・タンゴ・トリオ」を率いてミューズサロンに登場、完売するほどの人気ぶりだった。 今回は、イスラエル出身で作・編曲家としても活躍するヤブナイと共に。「ブエノスアイレスの四季」「オブリビオン」「リベルタンゴ」とピアソラ、昨年が生誕120年だったヘラルド・ロドリゲスの「ラ・クンパルシータ」、小澤の自作など、濃厚な情熱とロマンティシズムに彩られた名旋律の数々を弾き尽くす。山本康寛(テノール/びわ湖ホール四大テノール)BST(Biwako Super 4 Tenors)と呼んでください!取材・文:宮本 明Interview

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