eぶらあぼ 2018.2月号
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滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロも披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーではびわ湖ホールが主催する注目の公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jp/びわ湖ホール・新国立劇場提携オペラ公演《トスカ》7/21(土)、7/22(日)各日15:00 びわ湖ホール 大ホール本でもすでにカヴァラドッシや《アイーダ》のラダメスを披露し、甘く強靭な美声で聴衆を虜にしている。スカルピア役のクラウディオ・スグーラは、イタリアを代表するバリトンのひとりで、今まさに“歌い盛り”を迎えている歌手。堂々とした美声と抜群の演技力で、ヴェルディやプッチーニのドラマティックな役柄に力量を発揮する。 指揮者にも注目の若手が登場する。イタリア・オペラを得意とした名指揮者マルチェッロ・ヴィオッティを父に持つロレンツォ・ヴィオッティ。ここ数年でザルツブルク音楽祭やフェニーチェ歌劇場など有名どころに次々とデビューし、これからが期待されている昇り竜だ。脇役陣には日本人の実力派を起用し、隙のないキャスティングが完成した。管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団。 《トスカ》は美しいアリアや劇的な瞬間に加え、第1幕フィナーレの合唱も聴きどころだが、今回は合唱にびわ湖ホール声楽アンサンブルが、新国立劇場、びわ湖ホール公演を通して参加するのも嬉しいところ。びわ湖での公演は新国立劇場での公演を終えてからなので、じっくり歌い込んだ成果を披露してくれることだろう。さらに、美しい琵琶湖のほとりの日本を代表するオペラハウスに降臨する、究極のイタリア・オペラ。これを見逃す手は、ない。 プッチーニの《トスカ》は絶大な人気を誇るオペラだ。1800年のローマを舞台に、手に汗握る物語と美しく劇的な音楽が手を取り合い、一瞬たりとも飽きさせない。〈歌に生き、愛に生き〉、〈星は光りぬ〉などヒットメロディも満載。「オペラは退屈」というイメージから最も遠いオペラ、それが《トスカ》である。 その《トスカ》が、満を持してびわ湖ホールに登場する。しかも演出は、開場20年を迎えた新国立劇場の数々の舞台のなかでも、ゼフィレッリ演出の《アイーダ》と並んで絶大な人気を誇る超豪華プロダクションだ。イタリアの“美”を知り尽くしたイタリア人、アントネッロ・マダウ=ディアツの演出は、オペラの舞台に設定されているローマの名所を忠実に、そして壮麗に再現し、一瞬でドラマのなかへと連れて行ってくれる。第1幕幕切れの「テ・デウム」の壮大なスケールには、心身が震えること間違いなし。こういう舞台が見たかった! これこそオペラ! オペラファンだけでなく、誰もがそう思うはずだ。 そして今回はキャストが素晴らしい。主役3人に、世界中でこの役を歌って絶賛されている歌手が勢ぞろいするのだ。トスカ役のキャサリン・ネーグルスタッドは、アメリカが生んだ大型ソプラノで、スケール感と情感豊かな美声を武器に活躍。トスカは彼女の名声を国際的にした十八番の役柄の一つで、20年以上歌い込んでいる。カヴァラドッシ役のホルヘ・デ・レオンはスペイン出身で、昨今貴重なスピント系のテノールとして世界中でひっぱりだこ。日まずは豪華な配役が大きな魅力オペラ指揮者の“サラブレッド”ロレンツォ・ヴィオッティの妙技プッチーニの傑作オペラが、新国立劇場が誇る豪華プロダクションと世界的キャストでびわ湖ホールに登場!文:加藤浩子びわ湖ホール・新国立劇場提携オペラ公演《トスカ》左より:ロレンツォ・ヴィオッティ ©Ugo Ponte/キャサリン・ネーグルスタッド ©Tanja Niemann/ホルヘ・デ・レオン/クラウディオ・スグーラ ©Je Busby

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