eぶらあぼ 2018.2月号
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178CDCDCDCD適正律クラヴィーア曲集第1集・第2集 第7番~第12番/武久源造スーパー・サウンド・コレクション アニメ吹奏楽/オリタ ノボッタ&シエナ小杉太一郎の純音楽 Ⅱ/小倉啓介&オーケストラ・ニッポニカダマーズ生誕90年によせて/山田磨依J.S.バッハ:適正律クラヴィーア曲集第1集より(チェンバロによる)第7番~第12番、同第2集より(フォルテピアノによる)第7番~第12番、同第1集より(フォルテピアノによる)第8番 前奏曲武久源造(チェンバロ/フォルテピアノ)ドラえもん組曲、キューティーハニー、天才バカボン、魔法少女アニメ組曲、銀河鉄道999-Jazz Ver.-、スーパーロボットアニメ集、世界名作アニメ組曲、あしたのジョー、キャンディ・キャンディオリタ ノボッタ(指揮)シエナ・ウインド・オーケストラ 他小杉太一郎:交響楽、舞踊音楽 日本の太鼓 第三輯「綾の太鼓」小倉啓介(指揮)芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカダマーズ:ソナチネ、出現、夜明け、序奏とアレグロ/ドビュッシー:喜びの島/デュカス:ラモーの主題による変奏曲、間奏曲と終曲/ハーツェル:蒲公英(タンポポ)山田磨依(ピアノ)コジマ録音ALCD-1170 ¥2800+税エイベックス・クラシックスAVCL-25948 ¥3000+税SalidaDESL-010 ¥3000+税ソナーレSONARE1037 ¥2400+税バロック音楽で重要な要素を成すのが、「アフェクト(情緒内容)」。当時の音楽学者ヨハン・マッテゾンは「調性ごとに異なる情緒を表現している」とする“調性格論”を示した。そして、武久源造は「適正律(平均律)クラヴィーア曲集」が、「これにほぼ一致している」と主張。そんな彼の「適正律」録音第2弾は、より鮮烈さを増している。前作と同様、第1集はチェンバロで番号順、第2集はフォルテピアノで逆順に収録。あくまで自身の“感情”を尊重し、全体の均衡を保ちつつ、緊張感を制御。緻密で知的な計算の下で行われていながらも、時に鬼気迫る効果をももたらす。    (寺西 肇)吹奏楽ポップスの新定番コンビによる第3弾はアニメ史上屈指の名ソングが大集合。ジャジーな新旧ドラえもんテーマに始まり、マンボな天才バカボンに、昭和の女子と男子を夢中にした“魔法少女アニメ”と“スーパーロボットアニメ”を4作品ずつセレクトしたセクションなど秀逸。極めつけは「世界名作アニメ組曲」で、教会の鐘の響きを入れた「フランダースの犬」、カントリー&ウエスタンな「あらいぐまラスカル」、ヨーデル風のブリッジが印象的な「アルプスの少女ハイジ」、壮大な「母をたずねて三千里」と、作品別に心憎い編曲が光る。締めの「キャンディ・キャンディ」も必聴!(東端哲也)小杉太一郎(1927-76)は戦後、映画・テレビなどの劇伴で活躍した作曲家。民謡などの節回しを生かした純音楽も残しているが、戦後の前衛ブームの中ではあまりスポットが当たらなかった。室内楽に続く第2弾は2010年に発見された管弦楽2曲を収録。初期の「交響楽」は雄大な第1楽章、懐かしさを香らせる緩徐楽章、息の長いフィナーレなどが印象的。江口隆哉の舞踊に付けた「綾の太鼓」は、躍動感が豊かなパレットで彩られている。師・伊福部昭の影をとどめながらも、そこには小杉ならではの個性もまたはっきり刻まれている。ご子息の発案による録音で、関係者の熱い思いがひしひしと伝わってくる。 (江藤光紀)本盤の注目は今年生誕90年を迎えたダマーズの作品。高度な技巧が散りばめられつつも、それを“難しさ”と感じさせない自然な音楽運びが魅力で、優れたピアニストであった彼ならではの作品が並ぶ。その魅力は山田の演奏技術の高さによって一層の輝きを見せている。彼女の音色は柔らかく響くが、凛とした佇まいを感じさせる芯のある音色も併せ持ち、詩的な要素に満ちたダマーズの作品から様々な表情と色彩を導き出しているのだ。またハーツェルの「蒲公英」は、山田の美音と幅広い表現力が、磨き上げられた技術の上に成り立つものだということを実感させる。       (長井進之介)

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