eぶらあぼ 2017.11月号
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69ニコライ・ホジャイノフ(ピアノ) with 若き日本の俊英たちソロとアンサンブルで煌めく鮮烈な才能文:高坂はる香11/2(木)13:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/ 独自の世界観と音へのこだわりを持ち、2012年の初来日以来、日本のファンを増やし続けている、ロシアのニコライ・ホジャイノフ。彼が11月、東京オペラシティで行われるアフタヌーンコンサートシリーズに登場し、ショパンやリストに加え、日本の俊英との室内楽で、平日の午後を彩るプログラムを届ける。 ホジャイノフが注目を集めるようになったのは、18歳でファイナリストとなったショパン国際ピアノ・コンクールがきっかけ。内側からにじみ出すような詩情あふれる表現で聴衆を惹き込んだ。今回はそのショパンから、バラード第1番や英雄ポロネーズ、ノクターン第7番、第13番と、繊細な表現力と華やかな音の両方が堪能できる曲目をセレクト。リストの「スペイン狂詩曲」では、持ち前の粒立ちのよい音を生かした演奏を聴かせてくれるだろう。 そして後半では、ヴァイオリンの山根一仁、チェロの伊藤悠貴という、今、世界に羽ばたく若手として注目を集める2人と組んで、室内楽曲のマスターピース、チャイコフスキーの「偉大な芸術家の思い出」を披露する。ホジャイノフが日本の若手と組んで室内楽を演奏するのは、今回が初めて。ロシアの音楽史を支えてきたモスクワ音楽院で長らく学んだホジャイノフが、同年代の気鋭2人といかにその音楽性を分かち合い、作品を仕上げるのか。初対面の彼らの掛け合いがどうなっていくのか。未知数の楽しみがある。 ロマン派のピアノの名曲とチャイコフスキーの大曲を一度に味わう、盛りだくさんの午後となりそうだ。山根一仁 ©K.Miura神戸国際芸術祭 2017 銀花の音色世界的名手が集結する室内楽の祭典文:笹田和人ベートーヴェンからの贈り物 12/8(金)14:00 神戸市立北神区民センター ありまホール至極のピアノ四重奏 12/9(土)15:00 シーサイドホテル舞子ビラ神戸 あじさいホールアンサンブル・ラロ with 神戸市室内合奏団 12/10(日)15:00 神戸文化ホール(中)問 神戸市民文化振興財団078-361-7241 http://www.kobe-bunka.jp/new/kobemusicfestival2017/ 初冬を迎えた港町に、“銀花の音色”が響きわたる。ウィーン・フィルのメンバーとして活躍する気鋭のチェリスト、ヘーデンボルク・直樹を音楽顧問に迎え、2006年にスタートした「神戸国際芸術祭」は、今やミナト神戸の風物詩の一つとして定着。11回目の今年も、ヘーデンボルク率いるピアノ四重奏団「アンサンブル・ラロ」をはじめ、世界的な名手たちが結集、ここでしか聴けない“名曲の花束”を届けてくれる。 芸術祭のメインは、「アンサンブル・ラロ」と神戸市室内合奏団が共演するステージ(12/10)。プログラムは、時に社会性も孕みつつ、独創的なサウンドを構築する現代ラトビアの鬼才ペトリス・ヴァスクス(1946~)の作品が核に。「ラロ」のピアニスト、ダイアナ・ケトラーを中心に、弦楽合奏との「沈黙の果実」や「夏の夕暮れの音楽」(ピアノ・ソロ)の響きの世界を味わう。さらに、日本センチュリー響首席チェリストの北口大輔らを交えたエネスコ「弦楽八重奏曲」や、「ラロ」のヴァイオリニスト、アレクサンダー・シトコヴェツキーとヴィオリストのラズヴァン・ポポヴィッチをソロにモーツァルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」も披露される。 また、北口や国際的ヴァイオリニストの川田知子が、「ラロ」のメンバーと共に、ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」(弦楽五重奏版)ほか傑作を披露する『ベートーヴェンからの贈り物』(12/8)や、「ラロ」がヴァスクスとブラームスの佳品を紡ぐ『至極のピアノ四重奏』(12/9)の両ステージも。折しも神戸開港150年の節目だけに、例年以上の名演が期待できよう。神戸市室内合奏団ニコライ・ホジャイノフ伊藤悠貴 ©Charlotte Fieldingアンサンブル・ラロ

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