eぶらあぼ 2017.11月号
60/203

57ワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団怒濤の熱演&庄司紗矢香との共演に期待!文:江藤光紀12/6(水)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040※ワレリー・ゲルギエフ(指揮) マリインスキー歌劇場管弦楽団の全国ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.japanarts.co.jp/ 毎回ハイカロリーな演奏で聴き手を元気にしてくれるゲルギエフとマリインスキー歌劇場管弦楽団が、今年もやってくる! 12月6日のサントリーホールでのコンサートは、彼らならではのロシアン・テイストとパワーが堪能できるプログラムだ。 演奏会はリムスキー=コルサコフの組曲「金鶏」で始まる。千夜一夜物語を主題にした「シェエラザード」の他に15作ものオペラを残すなど、絢爛たるオーケストレーションによって物語を音楽化するコルサコフの腕前は超一流。「金鶏」はオペラから編まれた組曲で、王が占い師より献上された鶏の声を表すトランペットが印象的。エキゾチックで謎めいたテイストや激しい戦いの描写など、コルサコフの魅力が存分に味わえる。 後半のベルリオーズ「幻想交響曲」も、失恋した芸術家がアヘンを飲み自殺を図って、生死の境で見た幻想がテーマになっている。妄想の中で彼は恋人を殺しギロチンにかけられ、葬儀に集まった悪魔の宴に再び彼女の姿を見出す。 マリインスキー管は歌劇場の座付きオーケストラだから、これらの曲も物語性重視の演奏になると予想。また庄司紗矢香がショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番」を取り上げるのも聴きものだ。重苦しい夜想曲で始まり、第3楽章のパッサカリアから長いカデンツァを経て怒涛のフィナーレへと突入する。技巧性に加え瞑想的な表現からじわじわとテンションを形成する幅広い表現力が求められる曲だが、ゲルギエフのことだから心境著しい庄司との共演を通り一遍に終わらすことはないだろう。手に汗握る丁々発止へと発展するはずだ。ワレリー・ゲルギエフ ©Marco Borggreveトリフォニーホール・ブラス 2017 ブラック・ダイク・バンド聴く者を唸らせる世界最高峰のブラスの響き文:オヤマダアツシ11/5(日)15:00 すみだトリフォニーホール問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 http://www.triphony.com/他公演10/29(日)北九州市立響ホール(北九州国際音楽祭実行委員会事務局093-663-6567)、10/31(火)長野/レザンホール(0263-53-5503)、11/1(水)東京芸術劇場 コンサートホール(ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040)、11/4(土)北上市文化交流センター さくらホール(0197-61-3300) まず最初に、このバンドは「英国ブラス(金管バンド)の最高峰だ」と断言してしまおう。評価と知名度はトップクラスであり、日本の吹奏楽ファンの間でも伝説的だった「ブラック・ダイク・バンド」。その“ものすごいサウンド”に日本の聴衆が圧倒されたのは、26年ぶりの来日公演が行われた2016年のことだ。 まるでコンサートホールのステージに巨大なパイプ・オルガンがあるのか? と思うような音のブレンドとハーモニー、バンド内にいる名手たちのソロ・コーナー、金管バンドのオリジナル曲から映画音楽までのバラエティに富んだプログラム。吹奏楽やブラス・アンサンブルを楽しんでいる方はもちろん、かつて演奏していた方、オーケストラで金管楽器を演奏している方には、華麗でパワフル、そしてメロウなブリティッシュ・ブラス・サウンドを、ぜひ生の演奏で体験(いや、体感!)してほしい。 すみだトリフォニーホールでのコンサートは、17年のジャパン・ツアーでラストを飾る公演。バーンスタインの「キャンディード」やスウィング・ジャズ時代のビッグバンドを再現するようなH.ジェームスのナンバー、CMなどでもおなじみになったL.シフリンやQ.ジョーンズの大ヒット・ナンバー、そしてP.グレイアムやP.ロヴァット=クーパー作曲による金管バンドのオリジナル名曲など、次々に演奏される曲はすべて聴きどころが満載だ。 ©堀田力丸庄司紗矢香 ©Kishin Shinoyama

元のページ  ../index.html#60

このブックを見る