eぶらあぼ 2017.11月号
45/203

42ホセ・カレーラス テノール・リサイタル2017 Intima いとしいひと“レジェンド”が贈る愛の歌文:笹田和人11/18(土)19:00 サントリーホール問 ビザビジョン03-5778-3403 http://visavision.co.jp/他公演11/21(火)大阪/ザ・シンフォニーホール(06-6453-2333)11/26(日)いわき芸術文化交流館アリオス(ビザビジョン03-5778-3403) ホセ・カレーラスが紡ぐ、魅惑の歌声。直に触れられる私たち現代の聴衆は、何と幸せ者だろうか。もはや、彼の存在自体が“レジェンド”と言えよう。そんな現代スペインを代表する名テノールが、今秋来日する。「Intima~いとしいひと~」と題したリサイタルで、聴く者すべての心を揺り動かす、愛の歌の真髄を聴かせてくれる。 バルセロナに生まれ、23歳で本格デビュー、翌年にはヴェルディ国際声楽コンクールで優勝し、一躍スターダムへ。ミラノ・スカラ座など世界の檜舞台で活躍するも、40歳で白血病に罹患。しかし、2年後に復帰を果たし、43歳からは故ルチアーノ・パヴァロッティやプラシド・ドミンゴと共に「三大テノール」の活動を展開、幅広い聴衆を虜にした。 「私が取り上げる曲は、様々な表情を持ちつつも、必ずintimacy(親密さ、愛情)に溢れています。つまり、多くが愛する人に向けた歌です。だから、Intimaをタイトルに選びました」。イタリアの実力派ピアニスト、ロレンツォ・バヴァーイと共演するステージでは、南米の作曲家タタ・ナーチョの「いとしいひと」をはじめ、トスティ「かわいい口元」、ファルヴォ「彼女に告げて」など、長年慈しんできた名旋律を取り上げる。 「文化的な背景や思想が異なるため、国ごとに聴き手に違いがあります」と前置いて、「落ち着きがあり、熱心で知識が豊富」と日本の聴衆を評するカレーラス。「常に熱心に、敬意をもって接して下さることに、感謝の気持ちしかありません。日本へ行く“秋”を、楽しみにしています」と語る。エリソ・ヴィルサラーゼ(ピアノ) & 新日本フィルハーモニー交響楽団3曲の協奏曲で露わになる真の巨匠性文:高坂はる香11/23(木・祝)15:00 すみだトリフォニーホール問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 http://www.triphony.com/【関連公演】エリソ・ヴィルサラーゼ&アトリウム弦楽四重奏団11/28(火)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp/ 歩んできた人生がそのまま投影されたような、強さと風格、そして圧倒的な存在感。エリソ・ヴィルサラーゼがオーケストラと共演する姿からは、そんなことを感じる。 ジョージア(グルジア)に生まれ、モスクワ音楽院でゲンリフ・ネイガウスやヤコフ・ザークのもと学んだ彼女は、チャイコフスキー国際コンクールやシューマン国際コンクールで入賞し、ヨーロッパを中心に活発な演奏活動を行ってきた。日本では長年、優秀な若手を育てる名教師としての印象が強かったかもしれないが、2014年、11年ぶりに来日リサイタルを行って以来、日本のピアノファンからも、聴いておくべき巨匠の一人として改めて認識され直したといえる。近年は、すみだトリフォニーホールがさまざまな企画で継続的に招聘している。 今度の企画は、新日本フィルハーモニー交響楽団と3つのピアノ協奏曲を演奏するというもの。指揮は彼女がたびたび共演し、信頼を寄せるアレクサンダー・ルーディンだ。 曲目はまずモーツァルトの第15番、ベートーヴェンの第2番という、ともに変ロ長調の協奏曲。演奏機会の多くない古典派の名作で、ヴィルサラーゼの研ぎ澄まされたピアニズムをはっきりと聴くことができるだろう。そして、もう1曲はショパンのピアノ協奏曲第1番。ロマン派らしいピアノならではの表現が魅力の作品で、また違った一面を聴かせてくれる。3つの協奏曲を通して、最初から最後まで、彼女はその圧倒的な存在感をステージで放ち続けるに違いない。エリソ・ヴィルサラーゼ ©堀田力丸アレクサンダー・ルーディン

元のページ  ../index.html#45

このブックを見る