eぶらあぼ 2017.10月号
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93文:オヤマダアツシホールアドバイザー小川典子企画 Noriko’s Day vol.5小川典子ピアノ・リサイタルデビュー30周年はオリジナリティ満載のプログラムで10/21(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 http://www.kawasaki-sym-hall.jp/ ミューザ川崎シンフォニーホールのホールアドバイザーとして活躍し、多彩な企画・演奏で楽しませてくれるピアニストの小川典子。5回目を迎える『Noriko’s Day』もそのひとつだ。これまでも自身の演奏を中心に、ファミリーも楽しめるプログラムを組んできたこのシリーズだが、今年はデビュー30周年および浜松国際ピアノコンクールでの審査委員長就任を記念したリサイタルで、充実した演奏を聴かせてくれる。 そのプログラムは、長くイギリス在住である小川ならではの「英国国歌『ゴッド・セイヴ・ザ・キング』による7つの変奏曲」(即興演奏を得意としたベートーヴェンの、隠れた注目曲!)にはじまり、パッションあふれる演奏が期待できる「熱情」ソナタ、そしてピアニズムの頂点を宣言するかのようなリストのピアノ・ソナタも。さらには2015年の浜松ピアノコンクールで第2次予選課題曲だった「イルミネイテッドベイビー」の作者、山根明季子をゲストに迎え、プレトークと同曲の演奏を。タイトルだけでも目を引く作品を次々に発表している山根だが、新感覚の音楽に対する演奏のヒントや、現代の音楽に対する小川のアプローチなどが聞けるかもしれない。 終演後には、小川が選んだアマチュア・ピアニストたちによるミニ・コンサート、そしてホワイエでは仮装OKのハロウィーン・パーティーも。1日を音楽で遊ぶ! という気分でミューザ川崎へ。エレクトーンと奏でるフルートと協奏曲の夕べ豊かな可能性を拓く新機軸のコンサート文:片桐卓也11/2(木)19:00 ヤマハホール問 ヤマハ音楽振興会 コンサート企画グループ03-5773-0820http://www.yamaha-mf.or.jp/ フルートとエレクトーン。ありそうで、なかなかお目にかからない共演かもしれない。しかも、フルートは日本を代表するフルーティスト・工藤重典で、エレクトーンは洗足学園音楽大学電子オルガンコース教授を務める赤塚博美が担当する。このふたりは初顔合わせということだ。 さて、そのコンサートの曲目だが、モーツァルト「フルートと管弦楽のためのアンダンテ」、J.S.バッハ「管弦楽組曲第2番からバディネリ、ポロネーズ」、ビゼー「『アルルの女』第2組曲よりメヌエット」、マスネ「タイスの瞑想曲」、そしてドップラー「ハンガリー田園幻想曲」、後半にはサン=サーンス「ロマンス」とイベール「フルート協奏曲」が並ぶ。いつもの工藤のコンサートらしい、豪華なラインナップである。そして、フルートとピアノのための作品ではなく、フルートとオーケストラのための作品が並んでいる。 つまりエレクトーンがオーケストラの代わりをするということになるのだが、エレクトーンの可能性はオーケストラの編曲だけには終わらない。もっとエレクトーンらしい個性的な音の世界があり、それがどのように表現されるかが、楽しみである。そこに工藤のフルートが加わることにより、通常のオーケストラ付きフルート曲という枠を超えた、新しい音の世界に出会える可能性が膨らむ。フルートの名曲が、どんな新しい表情を見せるのか、それを楽しめるコンサートになりそうだ。工藤重典赤塚博美 小川典子 ©武藤 章山根明季子
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