eぶらあぼ 2017.10月号
85/231

82安達朋博 ピアノリサイタル10/1(日)14:00京都府丹後文化会館(0772-62-5200)、10/4(水)19:00岡山/ルネスホール(岡山シンフォニーホール・チケットセンター086-234-2010)、10/20(金)19:00大阪/いずみホール(06-6944-1188)、10/27(金)19:00名古屋/三井住友海上しらかわホール(052-222-7117)、11/3(金・祝)19:00サントリーホール(プロアルテムジケ03-3943-6677)安達朋博(ピアノ)デビュー10周年はラストに「火の鳥」を弾いて燃え尽きたいですね取材・文:東端哲也Interview 「日本クロアチア音楽協会」代表として、20世紀初頭に活躍した同国初の女性作曲家ドラ・ペヤチェヴィッチから現代作曲家まで、知られざる作品群の魅力紹介という大役を務めつつ、独自の感性を持った華のあるピアニストとして様々なシーンで精力的に演奏活動を続けてきた安達朋博。今年は日本での本格的デビューから10周年にあたり、出身地の京都府京丹後市を皮切りに全国5ヵ所で開催されるリサイタルに掛ける意気込みにも、ひときわ熱がこもる。 「まずは渾身のショパンのピアノ・ソナタ第2番にご期待下さい。ショパンはピアノ弾きにとってあまりに王道の作曲家ゆえ、あえて避けるようなかたちで距離をおいていたのですが、ここに来て、もう誰に何を言われてもいいから、とにかく弾きたい! 自分で表現したい! という想いが強くなっているんです。今回、チラシやプログラムの曲目表記に『葬送』という副題をはずしたのは、“葬送”というイメージだけに囚われることなく、純粋に4楽章のピアノ・ソナタの傑作として先入観を持たずに聴いていただきたいからです」 ブゾーニ編バッハの「シャコンヌ」とラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番は、高校時代にエフゲニー・ザラフィアンツの演奏を聴いて心を掴まれ、彼に師事するためにクロアチア留学を決意したという思い出深い楽曲。 「特にバッハ=ブゾーニの『シャコンヌ』を弾くのは学生時代以来かも。2作品とも当時憧れたザラフィアンツ先生のような、隅々まで目が行き届いて、一つひとつの音に意味があるスケールの大きな演奏を目指します」 もちろん6年前に杉並公会堂で本格的な公演を始めた時から、毎年欠かさず続けてきたペヤチェヴィッチ作品の披露も。 「今年は2011年に日本初演したピアノ・ソナタ第2番を。その後も様々な機会に演奏してきましたが、その度に手応えを感じました。やはり彼女の集大成的な作品です。ショパンやラフマニノフと並べても見劣りしない」 そしてラストはアゴスティ編曲のストラヴィンスキー「火の鳥」で締める。 「デビュー10周年リサイタルの最後はサントリーホールの大ホールで飾ろうと決めていました。自分で電話してホールもおさえたんですよ(笑)。大きな会場でプレッシャーもありますが、幸運を呼ぶという伝説の“火の鳥”を描いたこの難曲を弾ききって燃え尽きたい! 本番まであとひと月、馴染みのない和声に戸惑いつつも奮闘中です」 いまはデビュー10周年の公演で頭がいっぱいだが、今後の夢はニューヨークのカーネギーホールとシドニーのオペラ・ハウスでの演奏(シドニー響との共演)とか。その日は案外、早く訪れるかもしれない。法村友井バレエ団創立80周年公演 『赤き死の舞踏』『騎兵隊の休息』『未来へ』E.A.ポーの小説による独創的なバレエがリメイクされて復活文:高橋森彦 本年(2017年)創立80周年を迎えた法村友井バレエ団(団長:法村牧緒)が記念公演を行う。 注目されるのが戸田邦雄(1915~2003)作曲による『赤き死の舞踏』。これは同バレエ団が1956年、エドガー・アラン・ポーの短編小説『赤死病の仮面』に想を得て創作したオリジナル作品のリメイクとなる。初演時、オペラや舞踊の音楽を精力的に発表していた戸田に作曲を依頼し、今回は当時の楽譜を基に新演出・新振付で挑む。死の病が蔓延する国を舞台に、恐怖とスリルに満ちた世界を扱いつつ“中世期におけ10/15(日)18:30 フェスティバルホール問 法村友井バレエ団06-6771-6475http://www.homuratomoi.com/『赤き死の舞踏』より ©尾鼻文雄るヨーロッパの貴族社会と民衆との対立、その底を流れるヒューマニズム”を原作から感じ取って舞台化する。振付を創作バレエの名手と目される篠原聖一に委ねて仕上がりに万全を期す。 他にプティパ原振付によるコミカルな佳作でロシア公演でも称賛された『騎兵隊の休息』、創立80周年の祝典曲『未来へ』(振付:法村圭緒)を披露。記念公演にふさわしい豪華演目に期待が高まる。

元のページ  ../index.html#85

このブックを見る