eぶらあぼ 2017.10月号
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75ディエゴ・マテウス(指揮) 読売日本交響楽団伝説的ドラマーも登場! 打楽器が熱い2日間文:飯尾洋一第201回 土曜マチネーシリーズ 12/2(土)14:00第201回 日曜マチネーシリーズ 12/3(日)14:00東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp/ なるほど、この手があったか、と唸らさせたのが、12月に開かれるディエゴ・マテウス指揮読響のプログラム。ウェザー・リポートで活躍し、映画『ラ・ラ・ランド』でも演奏したという伝説的なドラマー、ピーター・アースキンが招かれ、彼のために作曲されたターネジのドラムス協奏曲「アースキン」が日本初演される。2013年にドイツで初演された新作である。ジャズに影響を受け、これまでアースキンを含む多くのジャズ・ミュージシャンたちと協働してきたターネジが書いたドラムス協奏曲。はたしてどんな作品なのか、期待が高まる。 そして、この日、ターネジ作品と並んでもう一曲、打楽器が重要な役割を果たす作品が演奏される。ラヴェルの「ボレロ」だ。スネアドラムが刻むボレロのリズムが延々と続くというこの名曲、言うなれば、裏返しになった打楽器協奏曲とでもいうべきだろうか。まさに組合せの妙。どちらも大いに客席をわかせるのではないだろうか。 もうひとつのキーワードはジャズ。ターネジと同じくジャズからインスピレーションを受けた、ガーシュウィンの「パリのアメリカ人」とバーンスタインの「キャンディード」序曲が合わせて演奏される。躍動するリズムに身を委ねたい。 指揮のディエゴ・マテウスは「エル・システマ」育ちのベネズエラの新鋭。欧州各地のオーケストラや歌劇場で活動の場を広げる逸材だ。初共演の読響に熱風を呼び込むか。上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団デンマークにまつわる名曲と秘曲文:オヤマダアツシ第579回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉10/14(土)14:00 サントリーホール#5 特別演奏会 サファイア〈横浜みなとみらいシリーズ〉10/15(日)14:00 横浜みなとみらいホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp/ 北欧4国の中でもドイツに隣接し、ユトランド半島と400を超える大小の島から成るデンマーク。実は今年、日本との外交が樹立して150年という記念すべき年を迎えている。そして、首都を代表するオーケストラのひとつ、コペンハーゲン・フィルの首席指揮者を務めているのが上岡敏之なのだ。となれば、新日本フィルの10月定期で、デンマーク関連のプログラムが予定されていることも納得だろう。 コンサートはデンマークを代表する作曲家、ニールセンの雄大なコンサート用序曲「ヘリオス」で始まり(ギリシャ留学の際、エーゲ海にのぼる朝日からインスピレーションを得て書いたという注目すべき曲)、後半にはやはりデンマークを代表する作家、アンデルセンの有名な『人魚姫』をモティーフにした、ツェムリンスキーの交響詩が取り上げられる。こちらの大作はワーグナーからマーラー、そしてシェーンベルクへとつながっていく19世紀後半~20世紀初頭の音楽史に、キラリと光る星のような存在。もし前記の作曲家たちに魅了されているなら、この作曲家と曲を知らないのはもったいない。 この2曲に加え、清水和音をソリストに迎えて充実した響きが実現するであろう、グリーグのピアノ協奏曲を。デンマーク、そして北に位置するノルウェーの名曲が並ぶこの夜は「あなたがまだ知らない名曲」を攻略するチャンスかもしれないのだ。清水和音 ©Mana Mikiピーター・アースキンディエゴ・マテウス ©Lucas Dawson上岡敏之 ©堀田力丸
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