eぶらあぼ 2017.10月号
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68篠﨑史子 ハープの個展 ⅩⅣ10/2(月)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)問 東京コンサーツ03-3200-9755 http://www.tokyo-concerts.co.jp/篠﨑史子(ハープ)活動45周年のステージは“自身への挑戦”取材・文:伊藤制子Interview ハープは優雅なイメージのある楽器だが、時に激しく、またドラマティックにと、多種多様な表現力をもつ。これまで数々の名演を披露してきたハープ奏者の篠㟢史子が、今年14回目となる「ハープの個展」を開催する。1972年から続けてきた現代音楽を中心とするシリーズで、45周年となる今年は全曲委嘱新作という構成に挑む。 「ハープには誰もが知っている“これぞ”という名曲は意外と少ないんです。レパートリーを増やしていきたいという意味も込めて、今回は7分ほどのソロ、デュオの新作を9人の作曲家に委嘱しました」 ベテランから若手まで、日本の創作界を担っている顔ぶれだが、最年少が薮田翔一だ。 「薮田さんは東京音大在学中に副科でハープを受講されていたんです。新作『祈りの風』は演奏が難しいソロ曲ですが、タイトル通り心地よい風が起きるような魅力に溢れていますね」 ソロ曲はさらに4曲委嘱している。この中で権代敦彦の作品は篠㟢への“献呈”として書かれている。 「権代さんの新作はソロの『夕やけ』という作品で、左手の動きに難しい部分がありますが、チャレンジしたいですね。一柳慧さんは時間の感覚が独特でとてもユニークな作風ですし、近藤譲さんは、彼ならではの知的な線の動きを楽しんでいただける新作になると思います。湯浅譲二さんには2013年作曲の箏歌『雪は降る』をハープのために書き直していただきました。三好達治の詩を用いていて、私が歌う部分もあります」 デュオ作品では篠㟢和子との母娘共演となる。実は和子は幼い頃はバレエに熱中し、ハープを本格的に始めたのは意外と遅かったというから驚きである。 「親子ですけれど、演奏はお互いに違う面もあるので、そうした点にも注目していただきたいですね。鷹羽弘晃さんの『バタフライ・エフェクト』、猿谷紀郎さんの『94の聯絡(れんらく)』は楽器2台の掛け合いがおもしろいものになりそうです。池辺晋一郎さんの『バイヴァランスⅫ』は彼が書き継いできたシリーズの一曲に位置づけられるものになります。野平一郎さんには私も和子も委嘱したことがあるのですが、『ミロワール・アルダン Ⅱ』は野平さんらしい洗練された響きに彩られていると思います」 演奏順は各作品をもう少し吟味しながら決めることになるという。 「今回の演奏会はハープによる自分自身への挑戦ととらえていますので、私のチャレンジの軌跡を聴いていただけると嬉しいです」 45周年の次は50周年へ。この先の活動にも数多くのファンが期待していることだろう。イザベル・ファウスト(ヴァイオリン) & アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ)~モーツァルト・チクルス~(全3回)現代屈指のコンビが天才の深奥に迫る文:柴田克彦 この公演のチケットが入手可能ならば、急いだ方がいい。王子ホールにおけるイザベル・ファウストとアレクサンドル・メルニコフのデュオだ。正攻法のアプローチに精妙なニュアンスをこめて楽曲の本質を抉る世界屈指のヴァイオリニストと、雄弁で生気に充ちた敏腕ピアニストの名コンビは、同ホールでベートーヴェン(2012年)、ブラームス(14年)のチクルスを行い、絶妙なコラボを披露してきた。 そして今回は「モーツァルト・チクルス」。3日にわたる注目のヴァイオリン・ソナタ公演だが、第1日ならまだ間に合第1日 10/12(木)19:00 王子ホール ※第2日・第3日は完売問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 http://www.ojihall.jp/う。演目は、協奏曲風のK.306、ダイナミックなK.302、ストリナザッキとモーツァルトの名手共演のために書かれた光輝を放つ傑作K.454に、このほど抒情的なK.301が追加された。つまり華麗なプログラムに、天才の二重奏ソナタのスタート(K.301)と頂点(K.454)を体感する妙味が加わった。古楽にも造詣の深い2人のモーツァルトは期待大だし、ファウストのこまやかな古典演奏は小空間がベスト。これはビッグ・チャンスだ!©Marco Borggreve
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