eぶらあぼ 2017.10月号
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62アンドレイ・バラノフ ヴァイオリン・リサイタル11/19(日)14:00 トッパンホール問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp/他公演 11/16(木)武蔵野市民文化会館(小)(0422-54-2011)アンドレイ・バラノフ(ヴァイオリン)ロシア作品の魅力を多くの人と共有したいと思います取材・文:寺西 肇Interview 豊潤な音色と、ほとばしる感性。2012年にエリーザベト王妃国際コンクールを制して一躍、国際舞台へ。多彩な活動を通じて、世界中の聴衆の心を捉えるロシア期待の俊英ヴァイオリニスト、アンドレイ・バラノフ。11月に「美しく、愛してやまないものばかり」と言う、思い入れ深い佳品の数々を来日リサイタルで披露する。 「両親は私が生まれる前から、私をプロにしようと決めていたのです。選択の余地はありませんでした」。5歳で始めたヴァイオリン。きっかけを尋ねるとこのような答えが返ってきた。かたや、脈々と受け継がれるロシアのヴァイオリン演奏の伝統について「常に感じるが、重要視し過ぎてはいない」と語る。 「自国の伝統や特有の音楽的手法は、確かに大切。私の師も、その礎を創ったレオポルド・アウアーの系譜に連なる演奏家でした。しかし、ロシア的なものだけを切り離して考えるべきではありません。例えば、イタリアの巨匠はかつて、ロシア音楽にも影響を及ぼしました。実は、アウアーもロシア人ではない。音楽の世界では、全てが共存しているのです」 12年には20世紀の巨匠ダヴィッド・オイストラフの名を冠した弦楽四重奏団を結成。 「ソロと室内楽にアプローチの違いはありません。音楽は、音楽。ひとつの完成された芸術作品であり、細部の全てが重要です。私はソロ曲を室内楽、室内楽をソロ曲のように弾こうと心掛けています」 今回の来日リサイタルでは、「常に親密さを感じ、その美しさを多くの人と共有したい」という、自国の作曲家が一つの軸に。 「プロコフィエフのソナタ第2番は技巧的で、色彩感に富み、まるでロシアのお伽話のようです。ステージで演奏する度に幸福感を感じますし、聴衆が深い興味と喜びを抱いていると実感します」 また、締め括りに置いたラヴェル「ツィガーヌ」について、意外にも「昨年まで、弾いた経験が無かった」と明かす。 「あまりにも有名で、すでに多くの奏者が弾いていて、自分が新しく出来ることは何も無いと思えたのです。しかし、ラヴェルは信じられない程の完成度と正確さで、奏者に何を求めているかを楽譜に指示している。奏者が自身の思い込みを脇に置き、指示通りに弾けば、その演奏は何倍も良くなると気づいたのです」 今回の共演ピアニストは、実妹のマリア・バラノヴァ。 「どんな時も、自分についてきてくれると確信を持てるので、私をとても自由にさせてくれます。特に、今回のように高い技量を要求する曲が多いプログラムには、彼女の存在は必要不可欠ですね」 少し唐突だが、人生の夢について尋ねてみた。 「幸せなことに、音楽から離れた夢を見る時間がありません。何せ、次に弾かなくてはならない作品の構想を練るのに、忙し過ぎるんです。自分が弾く作品を自由に選べるのは、幸せですね。演奏こそ、最高の喜び。最も大切な私の夢とは、新しいものを創り上げ、それを次の世代に遺していくことです」中井恒仁&武田美和子 ピアノデュオリサイタル “ピアノの芸術” vol.3絶妙なデュオで織りなすロシア音楽の大作文:飯田有抄 ソリストとしても活躍する中井恒仁と武田美和子が、精力的なコンサート活動やアルバム・リリースを通じてピアノデュオの魅力に磨きをかけている。2人は足し算ではなく掛け算でピアノ音楽の深さ、広さ、楽しさを伝え、国内外を問わず賞賛されている。 彼らは今年も「ピアノの芸術」を開催する。シンプルにして奥深さを感じさせるタイトルのこのシリーズも、今回で第3弾を迎える。各国の作品を紹介する「ピアノデュオ世界旅行」シリーズでは、幅広いデュオ・レパートリーを取り上11/22(水)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677http://www.proarte.co.jp/げてきた彼らだが、このシリーズでは連弾・2台ピアノに縛られず、昨年は独奏作品もプログラミングした。 今年は連弾と2台ピアノの大曲だ。チャイコフスキー自身の編曲による交響曲第6番「悲愴」(連弾)と、ムソルグスキー=ナウモフの「展覧会の絵」(2台ピアノ)である。ロシア作品の放つシンフォニックで奥行きのある音楽を、ピアノ芸術によってどう表現するのか。今回も息の合ったダイナミックな演奏に期待が高まる。©Toshiaki Yamada
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