eぶらあぼ 2017.10月号
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58ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団めくるめく刺激のヴァリエーション文:柴田克彦第654回 定期演奏会 10/21(土)18:00 サントリーホール第130回 名曲全集 10/22(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp/ ノット&東響を聴く妙味の一つが、斬新なプログラミング。それは、昨年4月の東京オペラシティシリーズにおける、リゲティ作品とヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団によるパーセル作品の交互演奏といった大胆な発想を交えながら、各曲を単独で聴いた時とは異なる立体的かつ清新な感覚をもたらしてきた。 この発想力が今期最も発揮されるのが、「変奏(ヴァリエーション)」をテーマにした10月定期だ。冒頭にいきなりリストの「バッハの名による前奏曲とフーガ」を、石丸由佳がオルガンで演奏。これは「B-A-C-H=シ♭-ラ-ド-シ」音型に基づく変奏曲である。すると次は4管編成の大管弦楽に一変し、シェーンベルクの「管弦楽のための変奏曲」が登場。12音の音列と共にこれまた「B-A-C-H」音型が用いられる。直前にリストの曲を耳にしているので、難解な音楽がより深く楽しめるという趣向だ。さらに後半は、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」で、ピアノとオーケストラによる24の変奏、ラヴェルの「ボレロ」で、様々な楽器による“音色の変奏”が披露される。 多彩な変奏の世界は十分に刺激的だが、それだけではない。シェーンベルクとラヴェルの作品は共に1928年の作。ラフマニノフも1934年の作ゆえに、同時期の楽曲の性格の違いも浮き彫りにされる。このほか、オルガン曲屈指の大迫力サウンド、ライヴでこそ実感できるシェーンベルク作品の複雑な綾、パリを拠点に活躍する児玉桃のピアノの名技、「ボレロ」における東響メンバーの妙技など、見どころが目白押し。かくもエキサイティングなコンサートは滅多にない。石丸由佳Music Program TOKYO “Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団小曽根 真(ピアノ) & ピーター・アースキン(パーカッション)共鳴しあうバーンスタインと熱いジャズ・サウンド文:藤本史昭10/14(土)17:00 東京文化会館 10/15(日)15:00 オリンパスホール八王子問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp/ 小曽根真をホストに、ジャズとクラシックの垣根を超えた“音楽”の刺激と感動を聴き手にもたらしてくれる『“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団』が今年も開催される。このコンサートでは毎年海外から一流ジャズ・ミュージシャンを招くのが恒例となっているが、今年のゲストはピーター・アースキン。希代のジャズ・グループ「ウェザー・リポート」への参加を皮切りに、現在に至るまでシーンのトップに君臨し続けるレジェンダリー・ドラマーの登場である。 そのアースキンとともに今回小曽根がチャレンジするのは、元祖“Jazz meets Classic”ともいえるレナード・バーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」。独奏ピアノがフィーチャーされると同時に大規模な打楽器セクションが重要な役割を果たす、まさに2人の共演にふさわしい作品だ。ジャズ・ミュージシャンだからこそのパフォーマンスが、リオ・クオクマン率いる都響とどのようなケミストリーを引き起こし、この傑作にどんな新しい生命を吹き込むのか…音楽ファンならこの希有な機会を見逃すわけにはいくまい。 一方第2部は、ポーランド出身のベーシスト、ダレク・オレスを加えたトリオによるセッション。演奏曲は当日のお楽しみということだが、フレッシュかつスリリングなステージになることはまちがいなし。ジャズの醍醐味である即興とインタープレイ、そしてそこから生まれるジョイを存分に享受したい。小曽根 真 ©大杉隼平ピーター・アースキン ©Rob Shanahanダレク・オレスリオ・クオクマン児玉 桃 ©Marco Borggreveジョナサン・ノット ©大窪道治
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