eぶらあぼ 2017.10月号
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56©K.Miura鈴木秀美(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 特別演奏会「第九」12/22(金)19:00 横浜みなとみらいホール演奏とレクチャーで迫る 交響曲第9番とその周辺12/15(金)19:00 神奈川県立音楽堂問 神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107 http://www.kanaphil.or.jp/鈴木秀美(指揮)新しいアプローチで「第九」の未知なる魅力を引き出す取材・文:オヤマダアツシInterview 何度も聴いて知っていると思っていた曲であるのに、新鮮な(ときに斬新な)演奏によってさらに新しい姿を見せ、驚きを与えてくれるのは心地よいことだ。ベートーヴェンの「第九」交響曲で、そうした発見の喜びを得たい方は、鈴木秀美の指揮による神奈川フィルの「第九」を聴き逃してはならない。チェリストとして18世紀オーケストラをはじめとするさまざまな楽団でこの曲を演奏し、さらには指揮者としてベートーヴェンの交響曲や「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲)」などを手掛けてきた経験と知識が、この公演に集約されるはずなのだ。 「実はプロのオーケストラを指揮して『第九』を演奏するのは、今回が初めてです。神奈川フィルとはこれまで第5番『運命』や第6番『田園』などをご一緒しましたが、こちらが提案する新しい演奏のアイディアにも面白がってくれますし興味を持って反応して下さいましたので、今回も新鮮な驚きをお客様に感じていただけるでしょう。曲の中にはベートーヴェンよりも古い時代の音楽、たとえばガンバ・コンソート(ヴィオラ・ダ・ガンバのアンサンブル)のように聞こえる部分もあり、そうした特徴のある響きをお客様に伝わるよう演奏してみたいと思っています」 さらには「第九」作曲の直前に生まれた大作、「ミサ・ソレムニス」との関係についても言及。この曲を指揮した経験が「第九」の作品観を変えたという。 「『ミサ・ソレムニス』は格段に演奏が難しく、余りにも斬新で理解の難しい部分もあります。『第九』はもちろん特別な作品であり、必要以上に神聖視したり崇められたりすることもありますが、壮大な『ミサ・ソレムニス』を知ることで『第九』はもっと身近な存在に感じられますし、言わばシンプルな作品だとも気づかされます。そうしたことを今回の演奏にも生かしたく、年末恒例の行事として華やかに演奏されることも多い『第九』ですが、もう一度この曲をお客様と一緒に考え直すようなコンサートにしたいと思います」 そうした鈴木の意図をもっと知りたいという方は、公演の1週間前(12/15)に神奈川県立音楽堂で行われる『演奏とレクチャーで迫る 交響曲第9番とその周辺』で、ぜひ予習を。「第九」「ミサ・ソレムニス」の抜粋、同時期に作られた弦楽四重奏曲やピアノ作品などを聴きながら、「第九」の背景やベートーヴェンの心境などを探るというプログラムだ。本公演ともども、今年の神奈川フィル「第九」公演は“発見”の宝庫になるだろう。第466回 日経ミューズサロンジャスミン・チェイ 日本デビューフルート・リサイタル名門オーケストラの首席を歴任した才女が日本デビュー文:林 昌英 数多くの世界の名手を紹介し続けている『日経ミューズサロン』に、母国の韓国で“天才”と言われているフルーティスト、ジャスミン・チェイが登場する。16歳でフィラデルフィアのカーティス音楽院に学んだ後、ニューヨークのジュリアード音楽院に入学。そして、シンシナティ交響楽団、ウィーン交響楽団と、米墺の名門オーケストラの首席フルーティストを経て、現在はソリストとして世界中で演奏活動を展開している。 チェイが日本デビューとなるリサイタルで組んだ曲目は、「Love in Paris-11/21(火)18:30 日経ホール問 日経ミューズサロン事務局03-3943-7066http://www.nikkei-hall.com/©Sangwook Leeパリに恋して」と題したオール・フランス・プログラム。ゴーベールとプーランクのソナタに、フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番のフルート版、そしてシャミナードのコンチェルティーノほか、ザルツブルクに学んだ碓井俊樹のピアノとの共演で、フルートとフランスの魅力をたっぷりと楽しませてくれる。アジアからアメリカ各地、そしてヨーロッパと、華麗に地域の壁を飛び越えてきたチェイが、日本でパリの精華をどう聴かせるのか、注目が集まる。

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