eぶらあぼ2017.7月号
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60宮本笑里(ヴァイオリン)デビュー10周年アルバムとプレミアムなステージへの熱い想い取材・文:宮本 明Interview 「10年の間に、演奏活動はもちろん、キャスターなども経験させていただいて、最近やっと少しずつ、自分の思いを音で表現できるようになってきました」 今年デビュー10周年を迎えた宮本笑里。4月にニューアルバム『amour』をリリース、7月にはBunkamuraオーチャードホールで記念コンサートも開く。 アルバムは初のセルフ・プロデュース。大島ミチル、武部聡志、鳥山雄司、中島ノブユキ、羽毛田丈史、船山基紀、吉田翔平と、ほぼ1曲ごとに人を変えて書き下ろしの新曲や編曲を依頼する、たいへん凝った仕掛けとなった。 「これまでずっとお世話になってきたみなさん。それぞれの個性の魅力をぜひそのままぶつけてほしいなと思いました」 そしてヴォーカルのMay J.にフラメンコ・ギターの沖仁とゲスト陣も豪華。 「May J.さんとの録音は、ほぼ一発勝負。彼女も最初からものすごい集中力で歌ってくれたので、いい刺激を感じながら一緒に“歌う”ことができました。沖仁さんは、あのパッションあふれる演奏でヴィヴァルディを弾いたら絶対にカッコいいだろうと思っていました。吉田翔平さんのアレンジも素晴らしく、『四季』の〈冬〉で、とても新しくて面白い世界観を出してくれました」 プロデューサーとして一番こだわったのは音づくりだそう。ヴァイオリンの音色への探求がそのまま録音の音質・音像にも向かっているのだ。 「ヴァイオリンは特に録音が大変だと思うんです。私たちが聴いている音をCDで再現するのが難しいんですね。エンジニアさんがマイクのセッティングや接続ケーブルを工夫して、私の理想とする音色を作り上げてくれます。そこが不安だと集中して演奏できません。だから一番ベースになる部分でこだわっています。そこはぜひ聴いてほしいです。今までもなるべくスタジオでのミックスやマスタリングには立ち会って、プロデューサーさんの隣でディレクション作業を見るようにしていました。自分がその立場になるとは思ってもみませんでしたが、見ておいてよかったです。まだまだ一人で判断は難しいですけれども」 「絶対にいろんな思いが溢れてくる」とちょっと神妙に語る記念コンサートは、10年前のデビュー盤『smile』の発売月と同じ7月の開催。ジャスト10周年というわけだ。 「今回のアルバム曲を中心に、10年を振り返ります。ゲストにMay J.さんと沖仁さんも出演してくださる贅沢な一日。そして、羽毛田丈史さんを音楽監督に迎えたその日限りの特別バンド編成で、CDとはまた少し違ったサウンドもお楽しみください!」山田武彦(ピアノ) と東京室内歌劇場 vol.2“大人ムード”溢れる七夕の宵文:笹田和人 ピアニストとしてだけではなく、作曲やコンサートの“ホスト役”も務めるなど、マルチな活躍を続ける山田武彦を音楽監督に据え、その自在なピアノの音色で、東京室内歌劇場の実力派歌手たちから多彩な歌声を引き出すシリーズ第2弾が7月7日に開かれる。昨年デビュー30周年を迎えた山形由美が、今回もフルートと司会を担当。ソプラノ太刀川悦代、メゾソプラノ田辺いづみ、テノール島田道生、バリトン和田ひできら総勢11人の歌手たちが、ヴァイオリンの佐藤久成、ハープの山宮るり子ら名手の共演を得て、魅惑のステージ7/7(金)18:30 浜離宮朝日ホール問 コンサートイマジン03-3235-3777http://www.concert.co.jp/山宮るり子を繰り広げる。 プログラムは、2部構成。第一部は、まず「セレナードとはどんなものかしら」と題して、リートやオペラからの名曲、さらに、西洋文化に日本の感性を融合した「浅草オペラ」の懐かしい旋律も。そして、第二部では、歌曲から歌謡曲まで、日本語詞の美しさを探求。途中、山田のソロによる「フランク永井へのオマージュ」(新作・日本初演)では、その編曲の妙と美音が冴え渡る。終盤は「有楽町で逢いましょう」「中の島ブルース」など往年のヒット曲で“大人の七夕”を演出する。amour 宮本笑里 10周年記念コンサート7/22(土)18:00 Bunkamuraオーチャードホール問 サンライズプロモーション東京  0570-00-3337http://www.emirimiyamoto.com/CD『amour/宮本笑里』ソニー・ミュージックSICL-284¥2800+税山形由美佐藤久成山田武彦

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