eぶらあぼ2017.7月号
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47アフラック クラシックチャリティーコンサート名曲&名演で子どもたちに励ましを!文:オヤマダアツシ9/12(火)19:00 サントリーホール問 カジモト・イープラス0570-06-9960 http://www.kajimotomusic.com/ リニューアル・オープンしたサントリーホールに、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の潑剌とした演奏が響く。指揮はもちろん音楽監督の井上道義だが、コンサートは、小児がんと戦いながら毎日を送っている子どもたちと、それを支えているご家族のために行われるチャリティー公演なのだ。ユニークなアヒルのCMでおなじみ、「アフラック」の主催によるこのコンサートは、音楽を楽しんで社会をサポートするという有意義なもの。 演奏されるのはモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。井上とOEKの得意とする曲であり、生き生きとした演奏を聴かせてくれるのは間違いない。音楽の中から湧き出てくる生命感はモーツァルトの魅力そのものであり、同時に生きる喜びや希望を共有できるだろう。 さらにはもう1曲、フランスの作曲家ドビュッシーが子どもたちのために書いたバレエ音楽「おもちゃ箱」も演奏される。この曲、知らないからと敬遠してしまうのはもったいない面白さなのだ。舞台はおもちゃ箱の中。主役となるのは道化師、少女、兵士という3体の人形たち。警官や水夫、ピエロなどさまざまなキャラクターも登場する。彼らに命を吹き込むのは、井上によるユニークな語りと演出。同じ指揮者とオーケストラによる前回の公演に接したときは、オーケストラの楽員も芝居に加わって盛り上げていたため、今回も期待大だ。充実した音楽を楽しみ、子どもたちに思いをはせるひとときを。井上道義 ©Mieko Urisaka上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団ヴィルトゥオーゾでサプライズ!文:柴田克彦第8回ルビー〈アフタヌーン コンサート・シリーズ〉リクエスト・コンサート7/21(金)、7/22(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp/ 上岡敏之の新日本フィル音楽監督就任1年目のシーズンが終わろうとしている。1年通して実感するのは、彼の既成概念に囚われないプログラミングやアプローチによって、オーケストラのテイストも徐々に変化してきたこと。それは今後のさらなる進化を期待させてやまない。さて、シーズンを締めくくる7月の定期演奏会〈ルビー〉では、「リクエスト・コンサート」が実施される。これは昨年9月~今年2月の定期演奏会でリクエスト応募用紙を配布し、会場、ウェブ、ファックスで投票された楽曲の中から、上岡自身がプログラムを決定し指揮するという企画。定期演奏会では前代未聞ともいえるユニークな試みだ。 選ばれたのは、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番とベルリオーズの「幻想交響曲」。リクエスト上位曲の中から、直近の演目等を勘案した上で「幻想」を選び、それに即してパガニーニを組み合わせたとの由。上岡は「今回テーマを『ヴィルトゥオーゾ』と決めて、この2曲を選んだ」旨を述べている。確かに、ヴァイオリンの難技巧満載の協奏曲と、オケのヴィルトゥオージティが存分に発揮される交響曲。しかも両作曲家は交流があっただけに、1つのプログラムとしても意味深い。 独奏は戸田弥生。エリーザベト王妃国際音楽コンクールの優勝以来活躍を続ける名手であり、正確な技巧と情熱的な表現はパガニーニにも相応しい。そして「幻想」は、聴きなれた曲も一から洗い直して耳を奪う(本人は「楽譜通り」と話す)上岡が、いかなる表現を聴かせるのか? どうみても興味津々。シーズン最後にサプライズの予感が漂う。戸田弥生 ©木之下 晃上岡敏之 ©堀田力丸

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