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622017.9/13(水)~2018.1/10(水)日本特殊陶業市民会館フォレストホール、愛知県芸術劇場大ホール問 中京テレビ事業052-588-4477 http://cte.jp/ 名古屋のクラシック音楽シーンを華やかに彩る「名古屋クラシックフェスティバル」が今年も開催される。日本特殊陶業市民会館フォレストホールと愛知県芸術劇場大ホールを舞台に、この9月から2018年1月までの全7公演にわたって、トップレベルのアーティストたちが続々と登場する。 まず9月13日に開幕を飾るのはロシアの俊英、ダニール・トリフォノフ。チャイコフスキー・コンクール第1位をはじめ輝かしいコンクール歴を誇り、着実にキャリアを積み上げる名手が、ショパンをキーワードにしたリサイタルを開く。ショパンの名作ピアノ・ソナタ第2番「葬送」を軸に、モンポウとラフマニノフによる2種類の「ショパンの主題による変奏曲」を並べたプログラムが興味深い。 10月9日はポーランド出身のラファウ・ブレハッチが得意のレパートリーを披露する。05年のショパン・コンクール優勝で注目を浴びて以来、ブレハッチがレコーディングでも取り上げてきた3人の作曲家、バッハ、ベートーヴェン、ショパンの作品を集める。ここでもショパンの「葬送」ソナタが演奏されるので、トリフォノフとの比較もまた一興だろう。 10月29日はヴァレリー・ポリャンスキー指揮ロシア国立交響楽団によるロシア管弦楽曲集。グリンカの《ルスランとリュドミラ》序曲やボロディンの「だったん人の踊り」、チャイコフスキーの祝典序曲「1812年」や交響曲第5番など、だれもが親しみやすい超名曲がそろった。ロシアの楽団ならではの豪快なサウンドを堪能したい。 11月3日は今回の目玉公演ともいえるアンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団。ギル・シャハムとのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と、マーラーの交響曲第1番「巨人」が演奏される。ネルソンスを音楽監督に迎えて新時代を迎えた名門楽団の今を聴く好機が到来する。現代最高峰の指揮者と北米屈指のスーパー・オーケストラの共演ともなれば、期待はいやがうえにも高まる。 オペラ・ファンにとって聴き逃せないのは、11月16日のハンガリー国立歌劇場 《ランメルモールのルチア》。“ベルカントの女王”として長く君臨する大ベテラン、エディタ・グルベローヴァの舞台に接する貴重な機会となる。超絶技巧が求められる「狂乱の場」は最大の見せ場だ。 11月28日はフィリップ・ジョルダン指揮ウィーン交響楽団が、ウィーンゆかりの二大「ハ短調」交響曲を聴かせる。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」とブラームスの交響曲第1番という、まるでメインディッシュがふたつ並んだかのような豪勢なプログラムである。ウィーンのオーケストラにとって得意のレパートリーであることはもちろん、首席指揮者フィリップ・ジョルダンの作品解釈も聴きどころ。名指揮者アルミン・ジョルダンの息子であり、パリ・オペラ座の音楽監督も兼務する旬の才人である。 18年1月10日はヤツェク・カスプシック指揮ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団。ショパン・コンクールのファイナルでおなじみのポーランドの名門楽団が、15年ショパン・コンクール第2位のシャルル・リシャール=アムランとの共演で、ショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏する。まさにショパン・コンクールの“再現”だ。ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」では、フェスティバルの掉尾を飾るにふさわしい熱演を期待したい。第35回 名古屋クラシックフェスティバル世界のトップ・アーティストたちが名古屋に集結!文:飯尾洋一左より:エディタ・グルベローヴァ/ハンガリー国立歌劇場 《ランメルモールのルチア》より/フィリップ・ジョルダン ©Johannes Ifkovits/ヤツェク・カスプシック ©Juliusz Multarzynski/シャルル・リシャール=アムラン ©Elizabeth Delage左より:ダニール・トリフォノフ ©Dario Acosta/DG/ラファウ・ブレハッチ/ヴァレリー・ポリャンスキー/アンドリス・ネルソンス ©Marco Borggreve/ギル・シャハム ©Luke Ratray

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