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58 ©尾形正茂ユーリ・シモノフ(指揮) モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団共演:大谷康子(ヴァイオリン)6/27(火)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200/コンサート・ドアーズ03-3544-4577http://www.concertdoors.com/大谷康子(ヴァイオリン)チャイコフスキーの協奏曲で多彩な表情を伝えたい取材・文:山田治生Interview ヴァイオリニストの大谷康子は、今、ソロ・ヴァイオリニストとしてますます活動の幅を広げている。 「もちろん、東京交響楽団のコンサートマスターの仕事をやらせていただいた時期から平行してソロでの演奏活動をしていましたけれど、当時ソニーの社長だった故・大賀典雄さんからずっと『ソロだけにしなさい』と言われ続けていました。もう少し早く言うことを聞いておいたら海外での活躍の場も今以上だったでしょう。やりたいことをやらせていただいて、毎日、感謝です。今、自分が音楽がこんなにも好きだったのかとあらためて思います。大好きなヴァイオリンに3歳で出会った運命にも感謝しています」 Hakuju Hallでは、昨年12月から10年にわたるリサイタル・シリーズを開始した。この5月にはウィーンのムジークフェラインでのリサイタルや、ウクライナでのキエフ国立フィルとの共演の機会もあり、司会&演奏を務めるBSジャパンの音楽番組『おんがく交差点』も好評を博している。また、昨年からは公益財団法人練馬区文化振興協会の理事長として、音楽を通して思いやりのある社会づくりを目指す。もちろん、ソリストとしてオーケストラとの共演の機会も増えた。 6月27日には、ユーリ・シモノフ&モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団とともにミューザ川崎シンフォニーホールでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾く。 「私はチャイコフスキーの協奏曲の第1楽章のソロの出だしにこだわりがあるんです。オーケストラから音を受け継いで、バトンタッチしてリレーするような一体感で入りたいと。そして、可憐な乙女が、日本でいうなら、引き戸を引いて『こんにちは』と言ってお話が始まる。そんなイメージで弾ければいいな、といつも感じています。若い頃は人を圧倒するような迫力で弾いていたかもしれませんが、いまでは、ピアニッシモはどこまでもピアニッシモに、ほんの少ししか聴こえないような音で弾きたい。ミューザ川崎のような良いホールではどんな弱音でも聴こえますから。強いところは宇宙の果てまで届くように、第3楽章は走り回って弾きたいくらいの感じで(笑)。テレビ番組で様々なジャンルの音楽家との共演も増えてきていることもあって、私の表現の幅が広がってきたのだと思います。音楽のいろいろな表情をみなさんにお伝えしたいですね」 モスクワ・フィルはコンドラシンの時代から大好きなオーケストラだという。 「協奏曲は、オーケストラとソリストが対峙したり、協調したり、自分の主張をしたり、リレーをしながら音楽を作りあげていくところに醍醐味がありますね。今回も、名門のオーケストラと音で会話するようなやりとりをしたいし、やれると思う。楽しみでワクワクしています」9/8(金)~9/25(月) Bunkamura シアターコクーン 5/27(土)発売*兵庫、静岡、名古屋公演あり問 ホリプロチケットセンター03-3490-4949 http://hpot.jp/stage/rashomon/百鬼オペラ『羅生門』芥川の人生と世界観をイスラエルの鬼才が舞台化文:乗越たかお左より:吉沢 亮、柄本 佑、満島ひかり ©奥山由之 インバル・ピント&アブシャロム・ポラックはイスラエルを拠点に活動し、世界中でも大人気の振付家・演出家である。日本で共同制作した大ヒットミュージカル『100万回生きたねこ』の演出でダンス以外にもファン層を拡げた。 そんな彼らが、なんと芥川龍之介に挑むという。『羅生門』『藪の中』を中心に『河童』『鼻』『蜘蛛の糸』といった作品や、芥川自身の人生までも一つの作品に編んでいくのだそうだ。しかも日本が誇る様々な「Yokai=妖怪」を取りこんだキャラクターが登場する。そこでタイトルが「百鬼オペラ」となっているのである。 主演は、すでに十分なモノノケっぽさ&知的な面も併せ持つ柄本佑、『100万回~』の初演時にインバル達の世界に住まう演技を見せた満島ひかり。そしてダンサー陣にはインバルの独特なスタイルの魅力を踊りこなせる贅沢なメンツが揃えられた。音楽も共演経験のある阿部海太郎。ミュージシャン達も舞台上を歩き回る予定だという。 時を超えて愛され、親しみやすくも深い哲学的な示唆に富んでいる芥川作品が、イスラエルの特異な才能と出会い、どう立ちあがるか、楽しみである。

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