201706
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178CDSACDCDCDブラームス:交響曲第2番 他/小林研一郎&読響マズルカ・アパシオナータ~ベスト・オブ・バリオス~/福田進一フランスのエスプリ Vol.2/山根弥生子スネアは唸り、そして飛翔する/新野将之ブラームス:交響曲第2番ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》序曲、歌劇《オベロン》序曲小林研一郎(指揮)読売日本交響楽団バリオス:マズルカ・アパシオナータ、追憶のショーロ、アイレ・デ・サンバ、コルドバ、フリア・フロリダ(舟歌)、ワルツ第4番、神の愛に免じて施しを(最後のトレモロ)、マドリガル(ガヴォット)、大聖堂 他福田進一(ギター)ドビュッシー:喜びの島、仮面、ピアノのために/ダンディ:フランスの古い輪舞の歌による幻想曲/フランク:「前奏曲、コラールとフーガ」/シャブリエ:「絵画的小品集」より/フォーレ:夜想曲第1番 他山根弥生子(ピアノ)イヴァン・トレヴィーノ:スパー/アスケル・マッソン:キム、小協奏曲/ベン・ワーランド:ペガサス/ボブ・ベッカー:印相/池辺晋一郎:スネアは唸り、そして飛翔する 他新野将之(スネアドラム)佐藤祐介(ピアノ)下払桐子、吉野由香(以上ファイフ)フォニックス・レフレクション(パーカッション・アンサンブル)オクタヴィア・レコードOVCL-00622 ¥3200+税マイスター・ミュージックMM-4007 ¥3000+税コジマ録音ALCD-9171 ¥2800+税録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9009 ¥2800+税小林研一郎が特別客演指揮者のポストにある読響と進める、ブラームス交響曲全集録音の第3弾。小林の円熟を伝える「第2番」で、落ち着きと風格を持った充実の名演に仕上がっている。第1楽章リピートなしで17分、第2楽章11分と遅めのテンポだが、不自然な重さや過剰な表現はない。各パートの表現意欲を発揮させて、音符の一つひとつをじっくり歌いこみながら、しなやかで自然な流れにまとめている。指揮者と曲の相性が良く、セッション録音のきめ細かさも加わり、ふっくらと温かいブラームスを堪能できる。併録のウェーバーも同様の好演で、小林の熱と読響の技が冴える。(林 昌英)バリオス作品集をどれか1枚、と言われたならば今後はこれを推すことになるであろう磐石の名奏。何よりも名器サントス・エルナンデス(1932年製)の、決して華美過ぎず底光りするような内面的な音色が素晴らしい。もちろんこの楽器の特性を引き出し得たのは福田の手腕である。どの曲からもその節回しの呼吸感、センスの良さや音色の作り方の巧みさが伝わる。多くはシンプルな構成の楽曲たちを、いかなる瞬間も決して一様に弾かずに微細な変化を織り込んで聴かせる技がさりげなく披瀝され、1曲毎に唸らされる。「ワルツ第4番」のレッジェーロさ、「最後のトレモロ」の“詩”をまず聴かれては。 (藤原 聡)山根弥生子は1950年代にパリでフレンチ・ピアニズムを継承する名手ラザール・レヴィのもと学び、58年マリア・カナルスコンクール優勝。以来、数々の意義のある録音を手掛けてきた。今回の新譜は、古き良き時代のパリを肌で知る彼女がフランスものの粋を伝えるアルバムの第2弾。ドビュッシーは複雑な色彩を表現する音で、シャブリエやフォーレは鮮やかで生き生きとした音で奏される。特に感性が光るのは、ダンディ「フランスの古い輪舞の歌による幻想曲」やフランク「前奏曲、コラールとフーガ」での繊細に音を混ぜ合わせたオルガン風の深い響き。作品が秘める魅力を浮かびあがらせる。(高坂はる香)打楽器のCDはいろいろあれど、これはスネアドラムに特化した超レアなディスク。世界的にもあまり例がないのではないか。まず曲を精巧なミニアチュアのように組み立てる新野の技術が聴きものだ。響き線を外したシンプルなロールの、心地よい音の粒立ちだけで、確かな力が実感できる。異なるテクニックを矢継ぎ早に繰り出すとか、強弱や奏法の変化によって細やかなニュアンスを表現するとか、地味なようでなかなか奥の深い世界で、リズム楽器にとどまらないスネアの知られざる一面に出会える。他の打楽器やピアノ、エレクトロニクスなどとのアンサンブル曲も適度に挟まれていて、飽きがこない。 (江藤光紀)

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