eぶらあぼ2017.5月号
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74新日本フィルの生オケ・シネマ Vol.2 『街の灯』~チャーリー・チャップリン没後40周年記念~オーケストラの実演と高画質で蘇るチャップリンの名画文:東端哲也リナルド・アレッサンドリーニ(指揮) コンチェルト・イタリアーノ音楽堂ヴィルトゥオーゾ・シリーズ モンテヴェルディ生誕450年記念特別公演「聖母マリアの夕べの祈り」メモリアル・イヤーに聴く宗教音楽の金字塔文:杉村 泉新日本フィルの生オケ・シネマ Vol.2 『街の灯』5/27(土)13:00 17:00 すみだトリフォニーホール公演記念トークイベント【出演:前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)】5/13(土)14:00 すみだトリフォニーホール練習室問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 http://www.triphony.com/6/3(土)16:00 神奈川県立音楽堂問 チケットかながわ0570-015-415 http://www.kanagawa-ongakudo.com/ 昨年5月、チャップリンの代表作『モダン・タイムス』の高画質デジタル修復版を、すみだトリフォニーホールの巨大スクリーンで新日本フィルの生演奏付きで完全シンクロ上映し、大好評を博した『新日本フィルの生オケ・シネマ』。この第2弾が今年も5月に開催される。 選ばれたのは米国で1931年1月に初公開された(※日本公開は34年1月)『街の灯』。10代の頃からヴァイオリンやチェロの演奏を得意としたチャップリンが、初めて全編の音楽を手掛けて作曲家としての才能を開花させた記念すべき作品だ。 物語は盲目の花売り娘(ヴァージニア・チェリル)に恋をした浮浪者チャーリー(チャールズ・チャップリン)が大富豪を装い、彼女の滞納した家賃と視力回復の手術代を稼ぐためにボクシングの八百長試合に挑む…というものだが、今回もチャップリン音楽の世界的権威として知られるティモシー・ブロックが2004 初期バロック最大の作曲家モンテヴェルディが誕生して450年の今年は、世界各地でアニバーサリー・イベントが目白押しとなっている。国内でも様々な演奏会が企画されているが、最も注目される公演のひとつが、コンチェルト・イタリアーノによる「聖母マリアの夕べの祈り」だ。 鍵盤奏者リナルド・アレッサンドリーニが1984年に創設したこのアンサンブルは、言葉の劇的な表現を重視した官能的とも言えるアプローチで、17~18世紀の音楽の演奏に新機軸をもたらした存在である。特にイタリアのバロック音楽の解釈において彼らが及ぼした影響は計り知れない。 30年にわたりヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂楽長を務めたモンテヴェルディ。彼がマドリガーレやオペラなどで培ったあらゆる書法を注ぎ込んだ代表作が、今回演奏される1610年出版年に復元したスコア(サントラ録音に使用された楽譜)を新日本フィルがブロック自身の指揮で生演奏。主人公のパントマイムに寄り添う絶妙な伴奏から大爆笑の音楽ギャグ、可憐なヒロインのテーマまで、製作当時は録音技術が未熟で再現不可能だったサウンドが時を超え、チャップリンが思い描いた通りのかたちで同ホールに甦る。もちろん映像も2Kデジタル・リマスター版と抜かりない。 上映の2週間前には映画と音楽の魅力を徹底解剖するトークイベント(有料/予約制)も開催。こちらも併せてぜひ!の「聖母マリアの夕べの祈り」である。歌劇《オルフェオ》にも登場したコルネット、トロンボーンなどによる輝かしいファンファーレに始まり、世俗的な薫りすら感じさせる独唱・重唱あり、最大10声となる合唱による詩編曲やマニフィカトあり、と聴きどころ満載。グレゴリオ聖歌を核として発展してきた教会音楽史のひとつの頂点に位置するこの晩課のための音楽を、声楽・器楽ともに精鋭揃いの現代最高のアンサンブルで聴くことのできる今回の機会。サン・マルコにも鳴り響いたであろう、そのサウンドをぜひ体験してみたい。左:リナルド・アレッサンドリーニ ©MORGAN ROUDAUT/NAÏVE 右:コンチェルト・イタリアーノ

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