eぶらあぼ2017.5月号
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52ナレク・アフナジャリャン(チェロ)チャイ・コン覇者が挑む無伴奏の刺激的な世界文:宮本 明ボンクリ・フェス2017 “Born Creative” Festival 2017子どもと大人が最高にクリエイティヴになれる日文:飯尾洋一6/13(火)19:00 浜離宮朝日ホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040http://www.japanarts.co.jp/他公演(プログラム:バッハ無伴奏チェロ組曲全曲) 6/11(日)、6/15(木)京都府立府民ホール アルティ(075-441-1414)<デイタイム・プログラム>5/4(木・祝)11:00~17:00 劇場内各所<スペシャル・コンサート> 5/4(木・祝)17:30 コンサートホール東京芸術劇場問 東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296※ボンクリ・フェス2017の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.geigeki.jp/ 2011年に22歳で第14回チャイコフスキー・コンクールを制したアルメニアのチェリスト、ナレク・アフナジャリャン。すでに何度も来日して、ずば抜けた超絶技巧と、そのテクニックに裏打ちされたロマンティックな歌ごごろを聴かせている。今回は無伴奏の作品だけを集めたリサイタルを開く。 プログラムは、バッハ「無伴奏組曲第1番」および「第4番」、ジョージ・クラム「無伴奏ソナタ」(1955)、黛敏郎「BUN RAKU」(1960)、リゲティ「無伴奏ソナタ」(1948-53)。この楽器のためのバイブルであるバッハと20世紀作品を並置した刺激的な構成だ。前衛的な作品も多いアメリカ人作曲家クラム(1929~)だが、この無伴奏ソナタは、幻想曲や変奏曲などの伝統的な枠組みの上に書かれた現代作品。黛の「BUNRAKU」は、文楽 東京芸術劇場を会場として5月4日に開催される1日だけのフェスティバルが「ボンクリ・フェス2017」。作曲家・藤倉大がアーティスティック・ディレクターを務め、コンサートホールでのスペシャル・コンサートを中心に、ワークショップやデイタイム・プログラムなど、多彩なメニューが用意される。 「ボンクリ」とは「ボーン・クリエイティヴ=Born Creative」、すなわち「人はみな生まれながらにクリエイティヴである」という意味。藤倉大が子どもたちに向けて作曲教室を開いた際、「すべての子は新しい音楽や新しい音、変な音が好きだ」と感じたという。その創造性は大人になるにつれて失われていくが、この「ボンクリ」は「大人になっ(人形浄瑠璃)の印象をチェロに移した作品で、太棹三味線のバチさばきをピッツィカートで、義太夫節の節回しを弓奏で模す。アフナジャリャンは、「日本の文化を理解した上でオーセンティックに演奏したい」と語っている。リゲティの作品は、ウィーンへ亡命する前の若きリゲティによる、民族的な素材に根ざした音楽だが、ソビエト当局から演奏禁止を命じられたといういわく付きの作品。 アフナジャリャン本人が「どれも好きな曲ばかり」と言うように、以前の来日で聴かせて好評を得たピースも含まれており、自信をもって贈る、満を持しての再演というところなのだろう。聴き逃せない。ても子どもの創造性を持ち続ける人たちの作品」に触れるためのイベント。つまり、言ってしまえば現代音楽のフェスなのだが、「ボンクリ」と呼ぶことで、ぐっとオープンな姿勢が伝わってくる。 スペシャル・コンサートのプログラムには、藤倉大がデヴィッド・シルヴィアンと長年をかけて共作した「Five Lines」と「The Last Days of December」のライヴ版世界初演をはじめ、坂本龍一や大友良英の新作のほか、武満徹の「秋庭歌」、マデルナの「ひとつの衛星のためのセレナータ」、藤倉大のフルート協奏曲 (アンサンブル版日本初演)といった作品が並ぶ。演奏するのは、アンサンブル・ノマド(現代音楽アンサンブル)、伶楽舍(雅楽アンサンブル)、小林沙羅(ソプラノ)ほか。もちろん藤倉もエレクトロニクスで参加する。 おもしろいのは「スクリームの部屋」。スペシャル・コンサートに入場できない未就学児と同伴者向けに、同公演が別室で同時中継される。0歳児から体験できる「ボンクリ」。これは妙手だ。©Marco Borggreve伶楽舎小林沙羅 ©Nippon Columbiaアンサンブル・ノマド ©Maki Takagi藤倉 大 ©Seiji Okumiya
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