eぶらあぼ2017.5月号
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51ニルス・メンケマイヤー(ヴィオラ) ヴィオラ界の新星による“一夜限り”のリサイタル文:笹田和人ボリショイ・バレエ『ジゼル』『白鳥の湖』『パリの炎』初来日から60年!世界最高峰のバレエ団の伝統と進化を観る文:渡辺真弓6/8(木)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール問 渋谷区文化総合センター大和田ホール事務室03-3464-3252※18:15より渡部玄一(チェロ)、中村翔太郎(ヴィオラ)、松本和将(ピアノ)が出演するプレトーク有。http://www.shibu-cul.jp/『ジゼル』 6/4(日)、6/5(月) 『白鳥の湖』 6/7(水)~6/12(月)『パリの炎』 6/14(水)、6/15(木) 東京文化会館*配役、全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 スヴェトラーナ・ザハーロワが出演する公演(6/4、6/8 各日19:00)は完売問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/bolshoi_b2017/ ヴィオラに新たな地平をもたらすのは、彼かもしれない。ニルス・メンケマイヤーは、2006年にユーリ・バシュメット国際とドイツ音楽、両コンクールを制し、各国の第一線楽団と共演する俊英ヴィオリスト。注目の来日リサイタルでは、バロックから現代に至る多彩なレパートリーを披露する。 ドイツ・ブレーメンの出身。ミュンヘン音楽・演劇大学に学び、登竜門での実績を得た後に、ドレスデン・カール・マリア・フォン・ウェーバー音大教授、マドリッドのソフィア王妃高等音楽院准教授を経て、ミュンヘン音大教授に就任した。現在はオーケストラとの共演のほか、室内楽の分野でも活躍している。 また、これまでに数枚のアルバムを発表、いずれも高い評価を得ている。また、18世紀イタリアで活躍したジュゼッペ・カヴァレーリのヴィオラ作品を、手稿譜から蘇演したことも話題になった。今春にはリューゲン春の音楽祭の音楽監 ボリショイ・バレエは、常に「ボリショイ(露語=大きい)」の名に違わずスケール大きな舞台で、世界バレエ界の最高峰に位置してきた。今年は、1957年の初来日からちょうど60年。改めてボリショイ・バレエが我が国に及ぼした衝撃の大きさが実感できることだろう。 演目は、まずチャイコフスキーの名曲『白鳥の湖』。2001年に巨匠グリゴローヴィチによって改訂された決定版で、粒揃いの主役陣をはじめ、白鳥たちの一糸乱れぬ群舞が見どころ。アダン作曲の『ジゼル』では、ロマンティック・バレエの醍醐味を堪能したい。そして期待高まるのが『パリの炎』の日本初演。督のほか、ハイデルベルク・フィルのアーティスト・イン・レジデンスも務めている。 ステージ前半は無伴奏。バッハの無伴奏チェロ組曲第5番と、本来はヴィオールのためのサント=コロンブ「哀しみの墓」から「涙」と、まずはバロックを。さらに、「J.S.バッハへのオマージュ」の副題が冠された、ギリシャ出身の女性作曲家コンスタンティア・グルズィによる「新しい世界のための9つの子守り歌」(2012)を演奏する。 そして、後半は、ピアノの松本和将と共演。シューマン「おとぎの絵本」とヒンデミット「ヴィオラとピアノのためのソナタ」を弾く。まさに、ヴィオラの「過去・現在・未来」を駆け抜けるプログラム。フランス革命期のマルセイユ義勇軍の台頭を題材にしたバレエで、アサフィエフの作曲により1930年代に初演された。今回上演されるのは2008年にラトマンスキーが改訂振付した2幕版。ガラ公演などでお馴染みのジャンヌとフィリップのグラン・パ・ド・ドゥなど超絶技巧が散りばめられ、見どころ満載だ。 ソリストにはボリショイの誇るそうそ 俊英が新たな響きの世界への扉を開け放つ瞬間を、ぜひ見届けたい。うたるメンバーが並ぶ。女性陣は、至宝ザハーロワを筆頭に、旬のプリマ、スミルノワ、ボリショイとは初来日になるオブラスツォーワ、新進のステパノワ(4名ともマリインスキー・バレエの出身者!)、男性は、チュージン、オフチャレンコ、ラントラートフ、ゲストのワシーリエフなど。どのキャストを観ても、ボリショイの偉容に圧倒されること間違いなし。©Irene Zandel左より:スヴェトラーナ・ザハーロワ ©Takayuki Yoshida/オルガ・スミルノワ ©Hidemi Seto/エフゲーニヤ・オブラスツォーワ/ユリア・ステパノワ/セミョーン・チュージンアルチョム・オフチャレンコ ©Hidemi Seto/ウラディスラフ・ラントラートフ/イワン・ワシーリエフ ©Damir Yusupov
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