eぶらあぼ2017.5月号
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178CDSACDCDCDR.シュトラウス:「ツァラトゥストラはかく語りき」、「英雄の生涯」/上岡&新日本フィルヴィアーノ・ユニバース/圭土&ヴァスコ“ヴィアーノ”古典派 二重奏曲の系譜/ウッラ・ブンディース&高田泰治死んだ男の残したものは/藤木大地R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」、交響詩「英雄の生涯」上岡敏之(指揮)新日本フィルハーモニー交響楽団崔 文洙(ソロ・ヴァイオリン)斎藤圭土:月冴えゆく、Seeker、サロルンカムイ~丹頂の舞~、Prayer of Boogie、完璧なお城変奏曲、富士山ブギ、桜ヴィアーノ【斎藤圭土(ピアノ) ヴァスコ・ヴァッシレフ(ヴァイオリン)】 他C.P.E.バッハ:シンフォニア ニ長調、ヴァイオリン・ソナタ変ロ長調/モーツァルト:同ト長調KV9、同ニ長調KV306/ハイドン:同ト長調Hob.ⅩⅤ:32ウッラ・ブンディース(ヴァイオリン)高田泰治(チェンバロ/フォルテピアノ)ヘンデル:オンブラ・マイ・フ/山田耕筰:この道/越谷達之助:初恋/アイルランド民謡:サリー・ガーデンズ/武満徹:小さな空、死んだ男の残したものは 他藤木大地(カウンターテナー)福田進一、大萩康司(以上ギター)西山まりえ(ハープ) 松本和将、加藤昌則(以上ピアノ)収録:2016.9/9、サントリーホール,9/11、横浜みなとみらいホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00621 ¥3200+税ユニバーサルミュージックUCCY-1078 ¥2593+税ナミ・レコードWWCC-7832 ¥2500+税キングインターナショナルKKC 046 ¥オープン昨年9月から新日本フィルの音楽監督に就任した上岡敏之。その就任記念となった公演は上岡得意のR.シュトラウス・プロで(彼らの初共演も同作曲家プロだった)、よく練られた流麗で美しい名演を実現。「譜面通り」に全力を尽くし、その結果として慣習と違う表現になることも恐れない上岡だが、もともと緻密に書かれているシュトラウス作品はそのスタイルと相性が良い。当盤でも自在な緩急に加え、細かいニュアンスと雄大に歌いあげた全体像が矛盾せず味わえる。両大作で気合のソロを聴かせるコンサートマスターの崔をはじめ、同団新時代への前向きな思いも伝わる好演だ。(林 昌英)凄腕キャトルマン(連弾)兄弟「レ・フレール」の活動で知られるピアニスト(斎藤圭土)と英国ロイヤル・オペラハウス管のコンサート・マスターを務めるスター・ヴァイオリニスト(ヴァスコ・ヴァッシレフ)による人気ユニットの第2弾。圭土ならではのコンポーズの妙とヴァスコのアレンジ手腕の融合は更なる高みに。真骨頂のブギ・ウギ風ピアノ曲から「瀕死の白鳥」ならぬ「丹頂の舞」あり5楽章からなる壮大な「変奏曲」ありと楽曲の世界も広がり、冒頭曲のブルガリアン・ヴォイスら欧州からゲスト参加も豪華。二人で手掛けた某高級チョコレートの企画曲「Seeker」の収録も嬉しい。 (東端哲也)ドイツ古楽界をリードするバロックヴァイオリンの女王ウッラ・ブンディースと、ドイツと日本の両方を拠点に、時代ごとの鍵盤楽器を多彩に弾き分けての快演を聴かせている俊英・高田泰治。注目の“国籍と世代を超えた異色デュオ”による録音の第3弾は、エマヌエル・バッハ、モーツァルト、ハイドンによって成された、前古典期から古典期までのヴァイオリン・ソナタの劇的な進化(=深化)を辿る。たとえ速いフレーズでもエッジを立てぬ女王の繊細なプレイに、チェンバロとフォルテピアノを巧みに弾き分け、ぴったりと寄り添う俊英。“奏でる喜び”が、ダイレクトに聴き手へ伝わって来る。(笹田和人)日本人カウンターテナー史上初となる、ウィーン国立歌劇場でデビューを果たした藤木大地の初アルバム。日本歌曲をはじめ、アイルランドにイングランド、スコットランド民謡という、藤木のレパートリーの核を成す作品を収録。美声はもちろんだが、彼の歌で一番特徴的なのは、言葉の表現に一切の妥協がないことである。それぞれの語がもつ響きの美しさを追求した上で行われる“詩を語る”歌唱は、各曲に壮大なドラマを創り出していくのだ。特にディスクタイトルにもなった武満徹の「死んだ男の残したものは」は、悲しみから希望への変遷の描写が鮮烈な印象を残す。(長井進之介)

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