eぶらあぼ 2017.4月号
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76ミカ&リチャード・ストルツマンミカ・ストルツマン(マリンバ)マリンバとクラリネットが織りなす“最前線”のアルバム登場取材・文:宮本 明Interview マリンバとクラリネットのデュオによるCDは世界初だという。日本のマリンバ奏者ミカ・ストルツマンが、夫のクラリネット奏者リチャード・ストルツマンと録音したアルバム『デュオ・カンタンド』。彼女のジャンルを超えた幅広い人脈を物語るように、チック・コリアやジョン・ゾーン、大島ミチルらの提供作品が並ぶ。チック・コリア自身も即興演奏で参加した。 「予定ではチックの『シー・ジャーニー』を私たちがデュオで演奏して、そこに即興で加わってもらうつもりでした。でもスタジオで私たちの演奏を聴いた途端、『これはデュオで完成している音楽だから、僕は入れないよ』と断られてしまったんです。ところが私が落胆したのを察してか、チックはいきなり彼のマネージャーに連絡して、その曲のメロディ譜を取り寄せ、『これで3人でアドリブでやろうよ』って。私もリチャードもクラシックの演奏家なので、アドリブはジャズの人にはかなわないと思っていますが、チャンスを逃してはいけないと必死で。何の準備も打ち合わせもなかったのですが、4テイク目でOK。『シンプルなほどいい音楽になる時がある。それが今だ。これでいい』と褒めてくれました」 熊本の天草出身。中学校の吹奏楽で打楽器に出会い、地元の音楽大学に進んだが、最初プロの演奏家になるつもりはなく、卒業後は小中学校の吹奏楽部を指導していた。ところが27歳の時、東京でカナダの打楽器アンサンブル「ネクサス」の演奏を聴いて衝撃を受ける。 「目からウロコ。あのように洗練された音を出す打楽器奏者になりたい、と思い、プログラムに載っていたメンバーのビル・カーンに手紙を書き、アメリカで1ヵ月間彼にレッスンを受けたのです。人生が変わったのはそこからだったと思います。何度かトロントやニューヨークに通い、最終的に2008年にニューヨークに移住しました」 スーツケース2つだけを抱えての再スタートだった。もともとファンだったというストルツマンとのロマンスが芽生えたのもその頃。彼のバッハ「ゴルトベルク変奏曲」の録音で共演したのがきっかけだった。 「リチャードは音楽を咀嚼して完全に自分のものにしてから演奏する人。ものすごい練習量には、一緒にいて勉強させられます」 タイトルの「カンタンド Cantando」は“歌うように”の意味。 「マリンバが一般の音楽ファンにコミュニケートできていない気がして歯がゆく思っていました。歴史に残る曲を選んだので、マリンバとクラリネットの新しいサウンドを、ぜひ音楽として聴いてください」 また、6月には彼らのライヴも東京と高崎で開催されるので、アルバムを聴いてから足を運んでみてはいかがだろうか。4/2(日)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京佼成ウインドオーケストラ チケットサービス0120-692-556 http://www.tkwo.jp/東京佼成ウインドオーケストラ 吹奏楽大作戦2017 ―Mの秘密―名作に秘められた“秘密”とは?文:柴田克彦大井剛史 ©K.Miura 「Mの秘密」って何? 東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)の「吹奏楽大作戦2017」が開催される4月は、作曲家・真島俊夫の一周忌。そこで今回は、冒頭に挙げたタイトルで、オール真島プログラムが披露される。ここ30年の吹奏楽経験者で彼の作品や編曲を演奏したことがない人は、まずいないだろう。明快で精緻で格調を湛えたハイセンスな音楽…今回はそれにどっぷり浸ることができる。 演目は、コンクールの名課題曲=「波の見える風景」「コーラル・ブルー」「五月の風」、TKWOの委嘱作=「三つのジャポニスム」の「祭り」ほか、不朽の名作が目白押し。吹奏楽ポップスの大定番「オーメンズ・オブ・ラブ」「宝島」(真島氏が「編曲は印税が入らないんだよね」と言っていたのを思い出す)もあるし、指揮、演奏や舞台での体感コースもある。何よりこれらを大井剛史&TKWOの最高レベルの演奏で聴けるとなれば、見逃せるはずもない。それにしても“M=真島”以外に何か“秘密”があるのか? 答えは当日(?)。CD『Duo Cantando』発売記念リチャード&ミカ・ストルツマン デュオリサイタル6/27(火)19:00 ヤマハホール問 アスペン03-5467-0081http://www.aspen.jp/6/21(水)19:00 高崎シティギャラリー問 高崎シティギャラリー027-328-5050http://www.takasaki-foundation.or.jp/gallery/CD『デュオ・カンタンド/ミカ&リチャード・ストルツマン』日本コロムビア COCQ-85334¥3000+税

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