eぶらあぼ 2017.4月号
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71ウィーン少年合唱団天上から届く癒やしのハーモニー文:東端哲也アルカスSASEBO 「Mプロジェクト」シューベルトの芸術にフォーカス文:笹田和人5/4(木・祝) ナタリー・シュトゥッツマン シューベルトを歌う7/22(土) アルカス・クァルテット 第7回定期演奏会9/17(日) 山田和樹(指揮) 横浜シンフォニエッタ12/3(日) エマニュエル・パユ&エリック・ル・サージュ デュオリサイタル2018.1/17(水) フォルクハルト・シュトイデ ニューイヤーコンサートアルカスSASEBO問 アルカスSASEBO 0956-42-1111※Mプロジェクトの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.arkas.or.jp/ アルカスSASEBOの『Mプロジェクト』は、年間を通じて1人の作曲家に着目し、異なるステージで同じ作曲家の作品を取り上げる中から、その音楽のみならず、人間像まで掘り下げてゆくオリジナル企画。2年目となる平成29年度は、生誕220年を迎えたシューベルトをテーマに据える。たくさんある魅力的な公演からいくつかご紹介しよう。 まずは、フランスの世界的コントラルト、ナタリー・シュトゥッツマンが、歌曲集「美しき水車小屋の娘」へ対峙。共演するピアノのインゲル・ゼーデルグレンとは、当曲を含む三大歌曲集の録音を発表し、「傑作に新たな側面と、内面的な深みをもたらした」と話題に。名演が期待できよう(5/4)。 そして、カナダ・オタワ国立芸術センター管弦楽団のコンサートマスター、川崎洋介(第1ヴァイオリン)をはじめ、西野ゆか(第2ヴァイオリン)、柳瀬省太(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)と一線楽団の首席級で組織された、座付きの弦楽四重奏団「アルカス・クァルテット」の第7回定期では、ゲストとしてチェロの山崎伸子が加わり、弦楽五重奏曲を取り上げる(7/22)。 また、俊英・山田和樹指揮の横浜シンフォニエッタは、交響曲第7番「未完成」を。ソリスト(曲目未定)には、一昨年の浜松国際ピアノコンクール優勝のアレクサンデル・ガジェヴも登場する(9/17)。 さらに、フルートの貴公子エマニュエル・パユは、ピアノの盟友エリック・ル・サージュを伴い、「“しぼめる花”の主題による序奏と変奏曲」を披露(12/3)。新年には、ウィーン・フィルのコンマス、フォルクハルト・シュトイデも出演、シューベルトの調べを聴かせる(1/17)。5/3(水・祝)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール、5/4(木・祝)14:00、6/16(金)13:30、6/17(土)14:00、6/18(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール、6/7(水)19:00 文京シビックホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040※上記および全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.japanarts.co.jp/wsk2017/ 1498年の創設以来、今日でも数多の少年(少女)合唱団の中で抜群の人気と実力を誇るウィーン少年合唱団。10~14歳からなる約100名のメンバー全員がアウガルテン宮殿で生活し、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナーとゆかりのある作曲家の名がついた4つのグループに分かれ、毎年そのうちのひとつが世界中でコンサート・ツアーを行うことで知られている。 日本にも1955年以来頻繁に訪れては音楽ファンを魅了し、近年では史上初の全4グループ合同演奏によるチャリティ公演を実施。東日本大震災の被災地支援を行ったのも記憶に新しい。 さて2017年はモーツァルト組が来日し4~6月にかけて全国各地を巡回。このうち東京では全6日間でA・Bそれぞれのプログラムを3公演ずつ演奏予定だ。気になる曲目だが先ずプログラムAは名曲セレクション。グレゴリオ聖歌に始まりバロックから現代まで宗教曲を中心とした選曲の第1部では、やはり組の名前であるモーツァルトのカンタータ「無限なる宇宙の創造者を崇敬する汝らが」が聴きどころ。第2部の〈ソーラン節〉や〈ふるさと〉等日本語歌唱も楽しみだ。対するBは「世界の旅」と題したプログラム。こちらの第1部では《カルメン》や《エジプトのジュリアス・シーザー》等オペラからも選曲。第2部では地元オーストリアの民謡から映画『メリー・ポピンズ』のナンバーや黒人霊歌まで大西洋を越えて旅し、〈花は咲く〉も。できれば両プログラムともぜひ!©www.Lukasbeck.com左から:ナタリー・シュトゥッツマン ©Simon Fowler/アルカス・クァルテット/山田和樹©Marco Borggreve/エマニュエル・パユ ©Denis Felix/フォルクハルト・シュトイデ
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