eぶらあぼ 2017.4月号
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57ピエタリ・インキネン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団2017 ブラームス・ツィクルス新時代のマエストロが挑むブラームス文:片桐卓也アラン・ギルバート(指揮) 東京都交響楽団第55回大阪国際フェスティバル2017提携公演 大阪特別公演ファン垂涎のコンビが、関西に登場!文:柴田克彦第689回 東京定期演奏会4/14(金)19:00、4/15(土)14:00 Bunkamuraオーチャードホール第326回 横浜定期演奏会 4/22(土)18:00 横浜みなとみらいホール第327回 横浜定期演奏会 5/20(土)18:00 横浜みなとみらいホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911第101回 さいたま定期演奏会 5/19(金)19:00 ソニックシティホール問 ソニックシティホール048-647-7722日本フィル 杉並公会堂シリーズ2017-18 第1回 5/21(日)15:00 杉並公会堂問 杉並公会堂03-5347-4450 http://www.japanphil.or.jp/4/23(日)14:00 フェスティバルホール問 フェスティバルホール チケットセンター06-6231-2221 http://www.festivalhall.jp/※同プログラムによる公演第830回 定期演奏会 Cシリーズ4/22(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 都響ガイド03-3822-0727 http://www.tmso.or.jp/ この4月から5月にかけて、日本フィルは首席指揮者インキネンと共に、ブラームスの交響曲のツィクルスを行う。4月14、15日の東京定期で、まず交響曲第3番と第4番を演奏。その後、4月22日の横浜定期で、「悲劇的序曲」と交響曲第2番、そしてニールセンのフルート協奏曲(独奏は首席フルートの真鍋恵子)が取り上げられる。5月に入ると、5月19日のさいたま定期(ソニックシティ)でリストの「レ・プレリュード」とピアノ協奏曲第1番(ソリストは田村響)と共に、ブラームスの交響曲第1番が演奏される。同じプログラムが、横浜(5/20)、東京(5/21 杉並公会堂)でも。 お気づきのように、インキネンはブラームスの交響曲を後半の2曲から遡るように第1番までツィクルスとして展開する。そこにはインキネンならではの深い意味合いがあると思うが、それはツィクルスを聴きながら、改めて考えてみても良いことだろう。インキネンは日本フィル ギルバートと都響の相性は抜群だ。ニューヨーク・フィル、サンタフェ・オペラの音楽監督を務めるアメリカ屈指の指揮者アラン・ギルバートと、このところ日本では稀有の立体的サウンドを構築している東京都交響楽団が、4月に大阪特別公演を行う。両者が、2011年初共演時のブラームスの交響曲第1番で、最初の一音から聴衆を魅了し、劇的かつ雄大な音楽で感嘆させたのは、もはや語り草。以後も16年1月のベートーヴェンの7番、7月のマーラーの5番など、共演ごとに衝撃的な名演を展開してきた。ギルバートの凄さは、都響のDNAに刻まれた有名曲で、新たな響きと鮮烈な表現を引き出している点。今や彼らは、絶対に聴き逃せないコンビと言っても過言ではない。 今回のプログラムでは、ベートーヴェンの「エグモント」序曲と交響曲第3番「英雄」がまず大注目。前記の各曲の成果を踏まえれば、これらおなじみの名曲を、重厚かつ繊細かつ躍動的な、耳にと演奏することを長く望んでいたと言う。 ブラームスの交響曲は、彼が作曲家として評価を得た40代以降に書かれた。満を持して、いや、苦闘の末につかみ新しい音楽として聴かせてくれるに違いない。もう1曲はラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」。ピアノ・ソロを弾く1979年イスラエル生まれのイノン・バルナタンは、ニューヨーク・フィルの初代アーティスト・イン・アソシエーションを務めたほか、欧米の一流楽団と共演を重ね、ギルバート&都響とのベートーヴェンでも見事な演奏を披露している。この盟友共演も見どころだ。 それにしても“フェスティバルホールに響くギルバート&都響の演奏”…。関西のファンにはむろん貴重な機会だが、東京で聴いてきた者にも興味が尽きない。取った成果だ。そこにはベートーヴェンへの敬意があり、バッハへの深い想いがある。インキネンと日本フィルがその真実に迫ることに期待したい。田村 響 ©武藤 章真鍋恵子ピエタリ・インキネン ©吉田タカユキアラン・ギルバート ©堀田力丸

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