eぶらあぼ 2017.4月号
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54©Chris McGuireヤング・プレミアムコンサート Vol.45/9(火)19:00 ザ・シンフォニーホール問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp/第125回 スーパー・リクライニング・コンサート5/17(水)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp/※ツアーの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.concert.co.jp/ダニエル・シュー(ピアノ)大切なのは“心”から演奏するということ取材・文:高坂はる香Interview 1997年カリフォルニア生まれ、現在カーティス音楽院で学ぶダニエル・シュー。昨今、アメリカ育ちのアジア系ピアニストの活躍が目立つなか、彼もまた、これからが楽しみな若手の一人だ。2015年浜松国際ピアノコンクールで第3位に入賞。このとき演奏されたベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番について、海老彰子審査委員長が「18歳であれほど円熟した演奏ができるのはなぜだろうと驚いた」と話していたが、確かに彼の演奏には、若々しさの中にどこか渋さを感じさせるようなおもしろさがあった。 実はこの浜松コンクール、シューにとってアメリカ国外で演奏する初めての体験だったらしい。そしてこの入賞を機に、いろいろな演奏機会に恵まれるようになったそうだ。 今度の来日では、東京(Hakuju Hall)や大阪(ザ・シンフォニーホール)、思い出の地である浜松など6都市でリサイタルを行う。取り上げるのは、弾きたいという強い想いのある作品ばかり。 「先生の勧めや方向性にあわせて曲を選ぶという話はよく聞きますが、僕はとにかく自分が弾きたいものを選びます。そして曲を聴き、作曲家が求めるものを理解するためにたくさんの時間を費やし、自分の物語を描いていくのです」 各公演で少しずつ異なるプログラムが用意されているが、うち数曲は、浜松コンクールでも演奏して評価されたレパートリー。例えば東京公演などでは、前述のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番を演奏する。 「これは、僕にとってとてもパーソナルで多くの意味を持つ作品です。一次元的な感情の動きだけでなくあらゆる展開が隠れていて、演奏にも深みが求められます。弾くのが毎回楽しく、違ったものになります」 また別プログラムの大阪公演では、やはりコンクール中に演奏し、細やかな描写力で聴衆を魅了したムソルグスキー「展覧会の絵」を披露する。 「無限の色彩とキャラクターが埋め込まれたすばらしい作品です。曲は一つひとつ異なる絵画を表し、それぞれに物語があります。そして、そこに探求の余地と個性のあるところが魅力です」 カリフォルニア生まれのイメージに合う明るい笑顔を持った若者だが、以前、将来どんなピアニストになりたいかと尋ねたときは、急にまじめな表情になってこう話した。 「演奏することで、音楽を、そして神様の愛情を人と分かちあえるピアニストでいたい。なにより大切なのは心から演奏するということです。メッセージも魂もなく演奏するのは、才能の無駄遣いだと思うんです」 今度の日本ツアーを、心から楽しみにしているという。強い意志に支えられた、生命力あふれる音楽を届けてくれることだろう。第370回 定期演奏会5/26(金)18:45 広島文化学園HBGホール問 広響事務局082-532-3080http://hirokyo.or.jp/ジャン=クロード・カサドシュ(指揮) 広島交響楽団トロンボーンの若き名手による協奏曲にも期待文:笹田和人ファブリス・ミリシェー 超難関のミュンヘン国際コンクールで2007年、トロンボーン奏者として初の優勝を果たし話題をさらった、フランス・トゥールーズ出身のファブリス・ミリシェー。広島交響楽団の5月の定期演奏会にソリストとして登場し、パリ出身の指揮の名匠ジャン=クロード・カサドシュとの顔合わせで、アンリ・トマジの協奏曲を披露する。 ピアノとチェロ、トロンボーンを能くし、いずれでもコンクール優勝を果たすなど、幼くして非凡な能力を発揮。リヨン音楽院で学び、現在はザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルの首席奏者を務める。そんな名手をサポートするカサドシュは、音楽監督を務めるリール国立管弦楽団を世界第一級に押し上げた実力派だ。 20世紀フランスのトマジの協奏曲は、全てのトロンボニストに愛される傑作。精鋭集団・広響と傑作も相まって、幸せな“化学反応”が期待できそう。さらに、名匠の滋味あふれるチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」、ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」とも共鳴し、深い感動を呼ぶはず。ジャン=クロード・カサドシュ ©Ugo Ponte

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