eぶらあぼ 2017.4月号
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48チョ・ソンジン(ピアノ)さらに深まる表現力とピアニズムを聴く文:長井進之介八王子音楽祭2017 八王子市市制100周年記念ヴェルディ 《アイーダ》(セミ・ステージ形式)永遠の“愛”と“平和”を歌い上げる「オペラのなかのオペラ」文:加藤浩子5/17(水)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/5/6(土)15:00 オリンパスホール八王子問 八王子学園都市文化ふれあい財団042-621-3005 http://www.hachiojibunka.or.jp/ 2015年にショパン国際ピアノ・コンクールの覇者となったチョ・ソンジンは、その4年前にはわずか17歳でチャイコフスキー国際コンクール第3位も獲得しており、実に幅広いレパートリーと音楽性をもつピアニストである。 特に近年の来日リサイタルではそれを実感させる多彩なプログラムが印象的だった。今年1月にはショパンの「24の前奏曲集」に加え、ベルクとシューベルトのピアノ・ソナタのプログラムで日本全国ツアーを行い、類まれな美音と作品の本質を自然に捉えるピアニズムを披露。さらなる高みに駆け上がっていることを確信させてくれた。 今回のリサイタルは前回ツアーの大好評に応えアンコール公演。新たなプログラムを引っ提げて東京芸術劇場に登場する。まずは最近の公演でも積極的に取り上げているドビュッシー。今回の演奏曲である「子供の領分」と「喜びの島」は、彼の色彩豊かな音色、 「オペラのなかのオペラ」という形容が、《アイーダ》ほど似合うオペラはない。「アイーダ・トランペット」を高らかに吹き鳴らす「大行進曲」で有名な、「凱旋の場」のスペクタクル。国と政治に引き裂かれながらも、愛を貫く恋人たち。美しいアリアや劇的な重唱、圧倒的な大合唱に華やかなバレエ…。《アイーダ》には、オペラという芸術に望まれるすべてがあるように思う。一方で、ふさわしいキャストを揃える難しさもあって、人気の割には意外に上演が少ないオペラでもある。 この5月、八王子市が市制100周年を鍵盤を華麗に駆け巡る鮮やかなピアニズムが存分に発揮されることだろう。 もちろん、彼の真骨頂ともいえるショパンの作品も演奏される。専属契約を結んだドイツ・グラモフォンから昨年リリースされたディスクでも非常に高い評価を得た「バラード」全曲だ。作品に対してひたすらに誠実に対峙し、楽譜が“視える”ような音楽の流れ、強弱、ニュアンスが聞こえてくる4つのバラードを記念して取り上げる《アイーダ》(セミ・ステージ形式)は、大いに期待される公演だ。八王子出身で、今まさに上昇気流に乗る川瀬賢太郎の指揮、美しくも躍動的な演出で人気沸騰中の岩田達宗の演出というゴールデンコンビで、人気オペラの真髄に迫るからだ。オペラの上演には“社会的な意義がある”という川瀬、常に話題を集める演出家として有名な岩田、ともにオペラへの情熱は超弩級。村上敏明(ラダメス)、小聴いて、さらに深まっていくチョ・ソンジンの表現力と華麗なピアニズムを堪能してほしい。林厚子(アイーダ)、福原寿美枝(アムネリス)、森口賢二(アモナズロ)など、日本を代表する顔ぶれが揃うし、オペラ公演でも高い評価を得る東京交響楽団の出演も頼もしい。合唱や助演には八王子市民が参加し、地元参加型で一大イベントを盛り上げる。これほど贅沢な公演だけに、オペラファンなら全国から駆けつけたい。そしてオペラ初心者なら絶好の入り口になる、ワクワクするような公演になるに違いない。©Harald Homann/DG左より:岩田達宗 ©大阪音楽大学/川瀬賢太郎 ©Yoshinori Kurosawa/小林厚子 /村上敏明/福原寿美枝/森口賢二
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