eぶらあぼ 2017.4月号
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46トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ オール・モーツァルト・プログラム3/30(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ミュージック・マスターズ03-3560-6765 http://www.music-masters.co.jp/ウェルナー・ヒンク(ヴァイオリン/ゲスト・コンサートマスター)トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズの演奏は特別で意欲的です取材・文:山田真一Interview 1995年の結成以来、150回以上の演奏会を行ってきたトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ(以下、TMP)は、この3月に新たに東京オペラシティを会場として活動を始める。そこで、今回、ゲスト・コンサートマスターをつとめるウェルナー・ヒンクに、その抱負を聞いた。 「私がTMPについて知ったのは2011年にゲスト・コンサートマスターとして参加依頼を受けた時です。ディスク録音があったので、それを聴き、大変興味を持ちました。そして、自分がコンマスとして出来ることがあると感じたのです。今回は、4年ぶりの参加ですが、以前の経験が素晴らしかったので、非常に楽しみにしています」 そして、TMPの特徴をこう語る。 「特別なアンサンブルです。初めて参加した時、とても意欲的だと感じました。TMPは本当に完璧な演奏、美しい音色を持っており、またオペラにおいても質の高い演奏ができます。私が参加したモーツァルトの《コジ・ファン・トゥッテ》やウェーバーの《魔弾の射手》は今でも忘れられない」 今回、モーツァルトの最初の交響曲と、最後の交響曲を演奏するが、その理由は、「2つの作品で交響曲第1番から第41番『ジュピター』まですべての創造力を結合させることができるから」と語る。 「第1番を演奏して『ジュピター』を演奏する。そのことで『ジュピター』のフィナーレに向けて大いに高揚できます。『ジュピター』の最終楽章に登場するテーマ、“ド・レ・ファ・ミ”は、交響曲第1番第2楽章にも登場します。このような音楽のフレームワークが見られるのです」 ところで、指揮者なしで『ジュピター』を演奏するのは至難な作業ではないのだろうか? 「私はクァルテット、そしてウィーン八重奏団での経験があります。ウィーン八重奏団は弦楽器と管楽器のアンサンブルなので小さいオーケストラ。『ジュピター』もまた大きな室内楽であり、例えばシェーンベルクのように複雑ではないので、コンマス主体により、指揮者なしで演奏するのは十分可能です」 コンサートでは、オペラ《フィガロ》序曲とアリアの演奏もある(この部分のみ、清水醍輝の指揮)。そんなオペラ作曲家としてのモーツァルトについては、「彼はオペラで最も才能が溢れていて、それゆえ彼は最高のオペラ作曲家だと考えています。物語の展開、ドラマの仕立て、いずれにおいてもモーツァルトは最高です」と語る。 「音楽演奏で重要なことは、気分や雰囲気の作り方」というだけに、新たなホールでどのようなモーツァルトを披露してくれるか、とても楽しみだ。4/2(日)14:00 sonorium問 カラフネット03-3366-1229 http://shuntominaga.org/SHUN TOMINAGA in sonorium vol.3 ドイツとロシア 光と影卓越した技巧と詩情で魅了文:笹田和人 ポルトガルとスペインで育ち、マドリード王立音楽院やドイツ・フライブルク音楽大学に学んだ、まさに“音楽的コスモポリタン”と言うべき、異色の経歴を持つピアニストの富永峻。ヨーロッパでの演奏活動を経て2010年に帰国、卓越したテクニックと正統派の演奏スタイルを兼ね備えた名手が、理想的な音響とフルコンサートグランドピアノを備え、洗練の中にも温もりのある小ホールsonoriumを舞台に展開するシリーズ・リサイタルが、3回目を迎える。 今回は、「ドイツとロシア 光と影」がテーマに。ステージ前半では、シューベルト「楽興の時」を核に据えた上で、同じシューベルトの「水車職人と小川」、シューマン「献呈」と2つの名リートを、リストによるピアノ編曲で披露。そして、後半には、ロシアの鬼才プロコフィエフからの“挑戦状”を思わせる、スリリングなテクニックに彩られたソナタ第6番「戦争ソナタ」を置く。富永の実力と表現力が、存分に堪能できるプログラムだ。 また、終演後には、聴衆が参加できるレセプションを予定。素顔のアーティストに触れられる、貴重な機会となろう。©林 喜代種

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